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MediaFLOの日本展開についても言及!

米クアルコム、MediaFLOの普及を促進する携帯電話向け放送サービス対応ユニバーサルチップを発表

2006年05月26日 17時36分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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米クアルコム(Qualcomm)社は現地時間の26日、携帯電話向け放送サービスの3方式をサポートするシングルチップのユニバーサル・ブロードキャスト・モデム(UBM)ソリューションを発表した。対応する放送方式はクアルコムが推進するMediaFLO(メディアフロー)、日本で配信が始まっているワンセグ(ISDB-T)、欧州で主流のDVB-H(Digital Video Broadcast-Handheld)で、韓国で実施されているワンセグ放送は含まれない。これにより北米/欧州/アジアなどの地域において携帯電話向け放送サービスを展開する通信事業者が同一プラットフォームで対応できるとしている。

クアルコム ジャパンの取締役会長の松本徹三氏
クアルコム ジャパンの取締役会長の松本徹三氏。時には立ち上がって、身振り手振りを交えて熱弁をふるった松本氏だが、今月31日に日本法人の会長職を退き、米国本社の上級副社長としてサンディエゴに活動拠点を移すことが決まっている

同日、米クアルコムの日本法人、クアルコム ジャパン(株)は東京・南青山の同社オフィスにプレス関係者を集め、UBMソリューションの記者説明会を開催した。会場には取締役会長の松本徹三氏が出席し、UBMソリューションのメリットを説明するとともに、MediaFLOの現状や日本での展開についても解説した。

新UBMソリューションと従来製品との違い
従来のMediaFLO対応チップセットと、新UBMソリューションの違い

今回発表されたUBMソリューションは、MediaFLO対応チップセットの第2世代に当たり、従来RF(Radio Frequency、無線信号受信)とOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex、直交周波数分割多重)の2チップ構成だった第1世代製品(米Verizon Wireless社向け)を1チップ化したもの。さらに以下のような特徴がある。

対応周波数帯
470MHz~862MHz(従来は698MHz~746MHz)
周波数幅
5/6/7/8MHz(同6MHz)
周波数ネットワーク
MFN(複数周波数ネットワーク)(同SFN(単一周波数ネットワーク))
チップ構成
1チップ(同2チップ)
対応放送方式
MediaFLO/ワンセグ(ISDB-T)/DVB-H(同MediaFLOのみ)
出荷時期
2007年1~3月(同出荷中)

UBMソリューションの採用によるメリット
UBMソリューションの採用によるメリット。日本で言えば、MediaFLOとワンセグを1つの端末に1チップで実装でき、小型化や省電力化、開発コストの低減にメリットがあると説明

製造プロセスは65nmで、来年1~3月にサンプル出荷を開始。来年末頃(約10ヵ月後)には搭載した携帯電話機が各メーカーから登場する見込みだという。



「空き地を子どものための野球場に使わせてほしい、と言ってるようなもの」
MediaFLOのサービス開始前倒しに熱弁をふるう松本氏

さらに松本氏は、今年末にVerizon Wirelessによって米国で試験運用が始まるMediaFLOの特徴や日本での展開について、国内向けにサービス提供の可能性を模索する企画会社“メディアフロージャパン企画株式会社”(2005年12月設立)にKDDI(株)(80%)と共同出資している立場から、「あくまでもクアルコムの意見として」と前置きしながら、身振り手振りを交えて熱弁をふるった。

UBMの対応周波数と現在の日本での同電波帯の利用状況
UBMの対応周波数と現在の日本での同電波帯の利用状況、および2012年以降の利用予定。比較的高い周波数帯を通信(上り下り)専門に、低い周波数帯を放送(下り)専門にと使い分けたのは日本だけで、これを整理し直そうというのが、総務省によるデジタル放送普及の狙いだと説明

まずMediaFLOは、広範囲を少ないアンテナでカバーするプッシュ型の携帯端末向けデジタル放送で、リアルタイム放送のほか“蓄積型クリップキャスト”(端末に番組をダウンロードしておき、ユーザーが好きな時間に再生できる)も行なえるのが特徴。米国では今年末に試験サービスを開始する予定で、前述の第1世代チップを韓国サムスン電子社/LG電子社、米モトローラ社、および日本の京セラ(株)/シャープ(株)の5社に提供し、これらメーカーからMediaFLO対応端末が登場する予定であることを明かした。

日本ではすでに4月1日にサービス開始されている携帯端末向けデジタル放送“ワンセグ”と重なる部分も多いが、ワンセグは無料放送が主体で携帯キャリアーもコンテンツホルダー(番組制作/権利者)もビジネス化に苦労しているのに対し、MediaFLOは最初から有料放送によるビジネスモデル(一部番組については無料放送も行なう)を視野に入れている点が大きく異なる。

携帯端末における通信と放送の全体像
「自分でもよくできた、分かりやすい図だと思う」と自画自賛した、携帯端末における通信と放送の全体像。MediaFLOはワンセグやモバHO!など、既存のデジタル放送に必ずしも重なるものではなく、利用形態やビジネス面でも相互補完し合えると自信を見せた

日本でのサービスについては、アナログ放送が停波する2011年7月の時点で開放される電波帯域のうち710MHz~722MHz(53/54チャンネル)をMediaFLOに使えるよう、総務省に働きかけを行なっているが、この割当方針は今年7月までに回答が出るとされている。

ただし、仮に割当が決まったとしても実際に放送サービスが始められるのは2012年以降になるため、クアルコムとしてはそれまでに“地域ごとに空いている周波数帯”をMediaFLOの放送に使わせてほしいと要請するつもりがあるという。つまり、現在のTVやラジオ放送のようにある地域では○MHz、別の地域に移動すると△MHzという具合に地域ごとに受信できる周波数を変えても、MediaFLOのサービスを開始したいという意向だ。松本氏はこれを、「2012年に大きなビルが立つとしても、それまでの間に今ある空き地で子どもたちが遊べる野球場を作らせてほしいと頼むようなもの。放送は通信と違って、端末から電波を発信することがないので、仮に端末が出回ったままでも後から混信するような心配がない。2012年になったら、野球場の施設はすべて取り去って更地にしてお返しする」と、例え話をまじえて説明した。

同社ではこの暫定的なサービス開始時期を2008年初頭目標というが、これは今回発表されたUBMソリューションが量産出荷され、搭載端末が出回る時期を見越しての発言だと思われる。

日本におけるビジネスモデルの一例
日本におけるビジネスモデルの一例。必ずしもこうなる、というものではなく、あくまでもクアルコムの一意見だという。新放送会社に当たる部分を新たに設立して、コンテンツをまとめてMediaFLO形式に変換し、配信を行なう。視聴者は視聴料を毎月の通話・通信料などに合わせて通信キャリアーに支払い、その一部(視聴料分)を新放送会社がコンテンツホルダーに分配するという図式。なお、この新放送会社を設立する場合には、今のKDDIが80%、クアルコム20%という出資比率は継続せず、多くの通信キャリアーが参加しやすい組織にするだろう、とも語った

また、「一部メディアでは、“ワンセグ vs. MediaFLO”という書き方もされているが、そんなつもりは毛頭ない」とも述べ、ワンセグによって携帯電話機でTVを視聴する習慣が根付けばMediaFLOにとっても普及の足がかりになると説明して、ワンセグの普及はMediaFLO立ち上げの援軍たる存在であることを強調した。

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