KDDI、パソコン/携帯電話向け音楽総合サービス“au LISTEN MOBILE SERVICE”を発表――「iPodに十分対抗できる」
2006年01月19日 23時10分更新
KDDI(株)および沖縄セルラー電話(株)は19日、“au”ブランドの携帯電話機とパソコンを連携させた音楽総合サービス“au LISTEN MOBILE SERVICE(略称はLISMO:リスモ)”と、第3世代携帯電話サービス“CDMA 1X WIN”に対応する7機種を発表した。7機種のフラッグシップ機は、4GB HDD内蔵の“MUSIC-HDD”こと『W41T』、デザイン開発事業“au design project”第5弾でプロダクトデザイナーの深澤直人氏による『neon(ネオン)』。どちらも製造は(株)東芝だ。7機種の発売は1月下旬より順次で、前出のW41Tは2月上旬、neonは2月下旬。価格はいずれもオープンプライス。
左上から時計回りに『neon』『W41H』『W41T』『W41S』『W41K』『W41SA』『W41CA』 |
W41T | neon |
製品発表会には、EZ「着うたフル」から『恋のダウンロード』という曲で2月にメジャーデビューするという音楽ユニット“仲間由紀恵 with ダウンローズ”も出席。仲間さんはボーカルを担当する |
パソコンでもケータイでも音楽は“au”
KDDIの音楽事業の象徴ともいえる“EZ「着うた」”のダウンロード数は、2006年1月末に3億を突破する見込み。携帯電話機向け音楽配信ビジネスに大きな自信を持っているKDDIだが、新たに立ち上げるLISMOは、2000万契約を超えるauの携帯電話機の普及を支えにした、携帯電話機/パソコン向けの複合サービス。携帯電話機では『au Music Player』、パソコンでは『au MUSIC Port』という自社開発のアプリケーションを用い、ダウンロードしたEZ「着うたフル」や音楽CDからパソコンのHDDに録音した楽曲などをシームレスにやり取りする。事業のコンセプトは“auが音楽をもっと身近に”“音楽が人と人とを繋ぐ”“音楽がケータイとパソコンを繋ぐ”の3点で、「家ではau MUSIC Port、外ではau Music Player。いつも音楽とともにいてほしい」と執行役員 コンテンツ・メディア事業本部長の高橋 誠氏は説明する。
代表取締役社長の小野寺 正氏 | 執行役員 コンテンツ・メディア事業本部長の高橋 誠氏 | |
高橋氏が手にしている人形はLISMOのマスコットキャラクター(リス) |
au MUSIC Portとau Music PlayerでKDDIが提案するライフスタイル |
2つのアプリケーションの主な機能と、関連サービスは以下のとおり。
携帯電話向けアプリケーションのau Music Player
今回発表された7機種すべてにプレインストールされている。EZweb網からダウンロードしたEZ「着うたフル」や、音楽CDから読み込み携帯電話機の内部/外部メモリーに記録した楽曲の再生が可能。イコライザー機能を備えるほか、メールやEZweb関連機能を使いながら音楽を再生する機能を備える。
また、au Music Playerにはプレイリストの交換機能があり、それをメールに添付してユーザー間でやり取りできる。楽曲によっては、そのままダウンロードサイトにジャンプし購入できる。
さらに、ユーザー自身のプロフィールや、音楽に対するコメント/レビューを公開し、音楽の趣味などを通じて他のユーザーと交流できるSNS“うたとも”サービスをアプリケーションから利用できる。なお、うたともなど一部サービスは有料で、月額315円となっている。
パソコン向け音楽管理転送アプリケーションのau MUSIC Port
auの携帯電話機でダウンロードしたEZ「着うたフル」のバックアップ機能、EZ「着うたフル」と同じHE-AAC方式/48kbpsでのCD音源の録音とauの携帯電話機への転送機能、auの携帯電話機に記録されたアドレス帳/スケジュール帳/写真/動画/電子メールのバックアップ機能を備える。対応OSはWindows XPのみで、auのウェブサイトから誰でも無料でダウンロードできる。
またKDDIは、今年4月にパソコン向け音楽配信サイト“DUOMUSIC STORE(デュオミュージック ストア)”を立ち上げ、パソコン用の音楽配信事業に乗り出す予定。au MUSIC PortとDUOMUSIC STOREはシームレスに連携する。利用料金はauの通信通話料とともに請求され、クレジッドカード番号などを入力することなく、auの携帯電話に設定した4桁の数字で個人認証を行なう。
au MUSIC Portでは、EZ「着うたフル」同様、楽曲の歌詞も確認できる | 携帯電話機で撮影した写真をパソコンにコピーし、バックアップをとることも可能 | |
au MUSIC Portの画面イメージ |
DUOMUSIC STOREのイメージ |
ゲーム/動画/電子書籍……とサービスを拡大していく
製品発表会では、KDDIが行なったポータブルオーディオプレーヤーやインターネット音楽配信サービスに関する街頭インタビューの模様が放映された。改めて言及するまでもなく、その市場は『iPod』や“iTunes”が席巻しているのだが、10名を超えるインタビュー回答者の口からはそれらの名前が一度も挙がることはなく、記者団からはiPod/iTunesに関する質問が多く寄せられた。それに受ける形で高橋氏は、「iPodの場合、配信の仕組みから端末までワンセットにして提供されている。その部分は我々も意識をして、auならではの音楽シーンを、携帯電話機を核としてパソコンを含めてどうやって提供していくか検討した」と明かしただけでなく、「iPodの出荷台数は発表されていないが、携帯電話機の場合は1000万~2000万台という数字が見えているので、飛躍的な数で伸びることが予想される。そういう意味で、(iPodに)十分対抗できるサービスだ」と強気な姿勢も見せた。
また、KDDIによる携帯電話機/パソコン向けの音楽以外のコンテンツ配信ビジネスについては、「LISMOのようなものを切っ掛けに、auユーザーには携帯電話機だけではなく、例えば自宅ではパソコンを使って楽しむような、新しいライフスタイルを提案していきたい。将来的には、例えばゲーム/動画/電子書籍のような、いろんな世界が新しいアプリケーションを中心に展開できるのではないか。携帯電話機からパソコンに広がるサービスを、いろいろなジャンルで今後拡大していきたい」と、意欲を見せた。詳細は現時点で明らかにされていない。