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サン・マイクロシステムズ、新UltraSPARCプロセッサー搭載の“Sun Fire CoolThreads サーバ”を発表――設置面積/消費電力当たりの性能を重視した“環境にも優しい”サーバー

2005年12月07日 23時42分更新

文● 編集部 内田泰仁

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サン・マイクロシステムズ(株)は7日、同社が開発した新プロセッサー“UltraSPARC T1 プロセッサ”(開発コード名“Niagara”)を搭載したラックマウント・サーバー“Sun Fire CoolThreads サーバ”シリーズ2製品を発表した。高スループットと高エネルギー効率を特徴とするUltraSPARC T1により、サーバー台数/設置面積/電気使用料などの大幅な削減を実現する製品で、ターゲットとなる用途は、ウェブサーバー、アプリケーションサーバーなど。

『Sun Fire T2000 サーバ』

この日発表された“Sun Fire CoolThreads サーバ”シリーズのラインナップと主なスペック、価格、出荷時期は以下のとおり。

『Sun Fire T1000 サーバ』

CPU
UltraSPARC T1-1.0GHz×1
コア/実行スレッド数:6/24または8/32
メモリー
2~16GB
HDD
80GB(7200rpm/SATA接続/3.5 インチ)、0または1台(最大1台)
インターフェース
10/100/1000BASE-T×4
本体サイズ
1U/幅44.5×奥行き48.3×高さ4.3cm/最大9.1kg
対応OS
Solaris 10(1/06以降)
参考価格(税別)
46万1000円~
出荷開始時期
2006年1月下旬

『Sun Fire T2000 サーバ』

CPU
UltraSPARC T1-1.0GHzまたは1.2GHz×1
コア/実行スレッド数:4/16、6/24、8/32
メモリー
8~32GB
HDD
73GB(1万rpm/SAS接続/2.5 インチ)、2台(最大4台)
インターフェース
10/100/1000BASE-T×4、USB 1.1×4
本体サイズ
2U/幅44.5×奥行き64×高さ8.8cm/最大17kg
対応OS
Solaris 10(3/05 HW2以降)
参考価格(税別)
109万5000円~
出荷開始時期
12月中旬

UltraSPARC T1の特徴同社サーバーが搭載するプロセッサー(UltraSPARC T1/UltraSPARC IV/AMD Opteron)の“得意分野”の住み分け

UltraSPARC T1は、従来のUltraSPARCシリーズとバイナリー互換を持った、1チップで最大32スレッドを同時実行できるマルチコア/マルチスレッド技術と低消費電力(約73W)を同時に実現する“CoolThreads テクノロジー”を搭載したプロセッサー。動作周波数は1.0/1.2GHzで、従来製品のUltraSPARC IV/IV+より低く抑えられているが、コアの単純化や、コア同士の相互接続とメモリーコントローラーの統合などにより消費電力と発熱を抑制。これにより、高スループットと設置面積当たりの性能効率の高さを同時に実現した“環境にも優しい”製品だという。

同社は、得意とする用途について、ユーザー数/アクセス数/トランザクション数の増加に対する追従性(スループット性能)が重要とされるアプリケーションとしており、具体的には、ウェブサーバー、アプリケーション・サーバー、Java仮想マシン、ミドルウェア、ストリーミング配信などで、スループット性能の大幅な向上が特に期待できるとしている。

“Sun Fire CoolThreads サーバ”と競合他社製品の性能比較。表の一番右列の項目が同社が提唱する新評価基準“SWaP”の比較

このUltraSPARC T1を搭載した“Sun Fire CoolThreads サーバ”『Sun Fire T1000 サーバ』『Sun Fire T2000 サーバ』は、データセンターが抱えている電力供給/発熱対策/設置場所の確保などの問題の解消する、“設置面積あたりのスループット性能”“消費電力あたりのスループット性能”の向上を目指した製品。同社によると、『Sun Fire T1000 サーバ』と1U/2WayのXeonサーバー(動作周波数3.16GHz)と比較した場合、5倍の性能、1/5の消費電力、4倍の設置効率を実現しているという。

また同社は、新サーバーの投入に合わせて、サーバー評価の新しい基準として、設置面積および消費電力当たりの処理性能を表わす“SWaP(Space,Watts and Performance)”を提唱(性能÷(設置面積×消費電力)で算出)。UltraSPARC T1が得意とするウェブサーバーなどの分野においては、他社競合製品に比べ4.5~14倍のSWaP率をマークしたとしている。

代表取締役社長のダン・ミラー氏新製品で実現した顧客の“要望”

この日行なわれた記者発表会で登壇した同社代表取締役社長のダン・ミラー(Dan Miller)氏は、新製品を「物理的なスペース、消費電力の削減、性能の面で大幅な向上を果たしたプロセッサー」を搭載する「革命的な進化を遂げた製品」と表現。「10年後には我々はこの日のことを、コンピューティングの新しい突破口を切り開いた、1986年(=初代SPARCの発表)に匹敵する“すごい日”だったと振り返ることになるだろう」と述べた。

米サン・マイクロシステムズ ストラテジックインサイト・オフィス バイスプレジデントのスティーブ・キャンベル氏

発表に合わせて来日した米サン・マイクロシステムズ社 ストラテジックインサイト・オフィス バイスプレジデントのスティーブ・キャンベル(Steve Cambell)氏は、設置面積および消費電力当たりの処理性能を重視するという新製品のアプローチは「将来を書き換える、ブレークスルーの発見」だと述べ、新製品により、

  • インターネットユーザー/アプリケーション/デバイスの急増
  • 環境に対する配慮(原油価格の高騰/温暖化/エネルギー需要の増大/法規制)
  • スペースの問題

の同時解決を実現するとした。

現時点では、UltraSPARC T1の“CoolThreads テクノロジー”を利用できるOS環境は、同社のSolaris 10に限られているが、キャンベル氏によると、同社では今後、UltraSPARC T1の設計情報のオープンソース化を進め、他社による次世代システムやアプリケーションの開発に貢献していくとしている。また、UltraSPARC T1の得意分野としては、ウェブサーバーやアプリケーション・サーバーなどが挙げられているが、高スループットと高演算能力が同時に求められるデータベース用途などに向けては、開発が進められている次期UltraSPARC“Rock”で対応していくとしている。

なお同社では、新製品の販売促進に向け、

  • 同社用賀オフィスの展示スペース“Customer Briefing Center”での実機展示やアプリケーション・デモ
  • 同オフィスの実証試験施設“iForce Ready Center”でのアプリケーション稼動確認/ベンチマーク
  • 実機の貸出プログラムや試用後に購入できる“Try & Buy”プログラム
  • 開発者向けの特別販売
  • 販売パートナー向けの支援プログラム

などを実施するという。

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