日本電気(株)は7日、厚さが0.3mmで曲げることができ、30秒以内の高速充電も可能な二次電池“超薄型フレキシブル二次電池”を開発したと発表した。
“超薄型フレキシブル二次電池”は、プラスチックの一種である有機ラジカル材料を正極に利用する“有機ラジカル電池”。有機ラジカル電池は、有機ラジカル化合物を活物質(蓄電材料)とし、ラジカル(不対電子)の酸化/還元反応を利用して充電/放電を行なう電池で、化学反応速度がほかの電池に比べて10倍以上であるため、短時間充電や大電流で利用できる特性を持つ。
“超薄型フレキシブル二次電池” |
今回開発した“超薄型フレキシブル二次電池”は、電極に薄膜化技術を採用して厚さを0.3mmとしたほか、電界液が浸透した“ゲル状態”の有機ラジカル材料を利用することで曲げることができるのが特徴。また、有機ラジカル材料中を電解質イオンがスムーズに移動できるため、充電反応における抵抗を小さくでき、充電時間も30秒以内に短縮できたという。エネルギー密度は1cm2あたり約1mWhで、アクティブ型RFIDタグに利用した場合は1回の充電で数万回の信号発信が可能。カドミウム/鉛などの重金属を使用しないため、環境にもやさしいという。
同社では、ICカードや電子ペーパー、アクティブ型RFIDタグなどのユビキタス社会で利用されるデバイスに内蔵できるだけでなく、ウェアラブルコンピューターなどにも応用できるため、ユビキタス社会の実現に貢献できるとしており、今後、電池のエネルギー密度を高めるとともに、1回の充電で使用できる時間を長くしたり、充電時間を短くしたりすることで、高性能で信頼性の高い超薄型フレキシブル二次電池の実現を目指すという。