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NEC、デスクトップパソコンのデータバックアップが可能な有機ラジカル電池を開発――UPSより高効率

2005年08月05日 19時33分更新

文● 編集部

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日本電気(株)は5日、電源トラブルなどでデスクトップパソコンへの電力供給が停止した場合に、作業中のデータをHDDに格納(バックアップ)する間、パソコンを駆動できる有機ラジカル電池を開発したと発表した。

有機ラジカル電池は、有機ラジカル化合物を活物質(蓄電材料)とし、ラジカル(不対電子)の酸化/還元反応を利用して充電/放電を行なう電池で、化学反応の速度がほかの電池に比べて10倍以上高速であるため、短時間充電や大電流で利用できるのが特徴。安定なラジカル化合物を利用するタイプを同社が2001年に提案したという。今回開発した有機ラジカル電池は、ラジカルを高分子鎖に結合させたプラスチック材料(ポリラジカル)として、PTMA(ポリテトラメチルピペリジノキシメタクリレート)に特殊な化学処理を行ない耐久性を高めるとともに、高出力を出せる電極を採用することで、安定性と高出力を可能にしたという。また、プラスチック材料を活物質としたことで、異常時にも発煙や発火の危険性がなく、水銀/鉛/カドミウムなどの有害物質も使用していないなど、安全性が高く、環境にもやさしいとしている。

実証実験に利用した有機ラジカル電池は、4個直列にしたサイズが幅55×奥行き16×高さ45mm、重量が88gで、UPSと異なりパソコンに内蔵できるのが特徴。常時インバーター方式のUPSでは機器に供給される前に10~36%のエネルギーが失われるが、有機ラジカル電池ではエネルギー損失もないという。実証実験は、同社製デスクトップパソコン(Pentium 4を搭載し消費電力は最大228W/平均96W)を利用し、新開発の有機ラジカル電池(35W)を4個直列(140W)に接続して実施。パソコンには、AC電源の供給が停止すると異常を検知して有機ラジカル電池に切り替え、作業中のデータをHDDに格納する仕組みも組み込んだという。

同社では、今後、実用化を目指して積極的に研究/開発を強化するとしている。

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