日本オラクル(株)は24日、同社都内オフィスにおいて、Windowsプラットフォーム市場に対する戦略説明会を開催し、Microsoft .NETテクノロジーに対するコミットメントや中堅・中小企業市場に向けた取り組みについての説明を行なった。この中で同社執行役員でシステム事業統括 システム事業推進本部長の三澤智光氏は「オラクルはWindowsと.NETにコミットする」と述べ、同社製品はWindowsおよび.NETプラットフォーム、.NETの外部連携に対して完全にコミットするとした。
執行役員 システム事業統括 システム事業推進本部長の三澤智光氏 |
同社の各製品はこれまでも、Windows版の提供や関連技術への対応などを行なってきているが、今回改めてWindowsおよび.NETテクノロジーに対するコミットメントを表明した狙いは、三澤氏によると「“プラットフォームはWindowsと.NET、でもデータベースはオラクル製品を使いたい”というユーザーへの安心感」を改めて広くアピールすることにあるという。
三澤氏が挙げたコミットメントの2つの大きな柱と取り組みは以下のとおり。
- Windowsおよび.NETへのコミットメント
- SQL Serverより早いCLRストアードプロシージャーおよびWindows x64への対応
- .NET開発環境のサポート、“Visual Studioユーザーグループ”への協賛
- 同社製品全ラインナップでのWindows対応
- .NETの外部連携へのコミットメント
- ウェブサービスを連携させるためのワークフロー記述言語“BPEL(Business Process Execution Language)”により、.NETも含めた水平連携環境を実現
- 認証管理基盤“COREid”による、.NET/Active Directoryを含めたあらゆるユーザー情報/アクセス管理の統合
年商1000億円以下の中堅・中小企業におけるDBMSライセンス売上高シェア(2004年実績) | 年商100億円以下の中堅・中小企業におけるDBMSライセンス売上高シェア(グラフ左は2004年実績、右は2005年見込み) |
また三澤氏は、日本国内の中堅・中小企業向け市場における同社ビジネスの近況を説明。同氏が引用した(株)矢野経済研究所の資料(2004年実績)によると、年商1000億円以下の中堅・中小企業におけるDBMS(DataBase Management System)のライセンス売上高シェアは、日本オラクルが47%で、マイクロソフト(株)(26%)を抑えて第1位となっているという。ただし、さらに細かく年商を区分した場合、年商100億円以下の企業でのライセンス売上高シェアは、マイクロソフトの37.3%に対して日本オラクルは34.0%で第2位となっている。2005年見込みでは、2社の差はさらに縮まると見られるというが、三澤氏は、この規模の企業を対象とした市場ではさらなる取り組みの強化が必要だとしている。
システム事業統括 営業推進本部の一志達也氏 |
続いて登壇したシステム事業統括 営業推進本部の一志達也氏は、Windows市場に対する戦略と具体的な取り組み内容、パートナー協業について解説した。同氏によると、日本オラクルによるWindows市場に対する取り組みは、大きく“.NETインテグレーション/開発環境のサポート”“SQL Server/Accessからのマイグレーション”“Office製品群とのインテグレーション”の3つからなるとしており、それぞれに対する取り組みは次のとおり。
- .NETインテグレーション/開発環境のサポート
- .NET環境からOracleデータベースへの接続を行なうミドルウェア“Oracle Data Provider for .NET”によるOracle製品の機能の活用
- Visual Studioに統合されたOracle開発環境“Oracle Developer Tools for Visual Studio .NET”の提供
- Windows版のOracle Database 10g Release 2でのみサポートされる“Oracke Database Extensions for .NET”の提供
- グレープシティ(株)との協業による相互動作検証
- SQL Server/Accessからのマイグレーション
- 価格/機能/セキュリティー面での優位性の提供
- SQL Serverユーザー向けの無償移行セミナーの開催
- Accessユーザー向けの移行支援サービスの提供
- ISV向けの検証センターの設置
- アルファテック・ソリューションズ(株)との協業による移行サービスの提供
- Office製品群とのインテグレーション
- テニック(株)“KeySQL”シリーズでのOracle DatabaseとExcelの連携機能の提供
SQL Server 2005で搭載される新機能を、これまでのOracle Databaseが先取りしている例 | SQL Server 2005とOracle Database 10g R2のスケーラビリティー比較 | |
SQL Server 2005に対する同社製品の“優位性”を示したスライド |
なお、この日の説明会には、上記の施策の中で取り上げられたパートナー企業3社の代表者が出席し、Oracle関連製品/サービスに関してコメントした。
グレープシティ マーケティング・コミュニケーション本部 本部長の福地雅之氏。Visual Studio 6ユーザーの.NET環境への移行を促進したい同社は、Visual Studio 6+Oracle Objects for OLEによるデータベースアプリケーションを利用しているユーザーの動向が展開の鍵になるとしており、日本オラクルとの協業を重視 |
アルファテック・ソリューションズ 取締役 執行役員 プラットフォーム・ソリューション事業部長の椿正義氏。ハードウェア/ソフトウェア両面を熟知した上でのデータベースシステム設計力/運用能力/セキュリティーソリューションと、これまでのSQL Server→Oracle Databaseへの移行実績を生かし、移行サービスを提供するとしている |
テニック マーケティング営業部 シニアマネージャーの高橋真人氏。ExcelをフロントエンドとするOracle Database用ツール“KeySQL”によるOffice/Oracle連携を紹介。次期バージョンの『KeySQL6.0』(2006年3月予定)では、集計機能の強化、管理機能の追加、ユーザビリティー向上などが図られるという |