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位置に付いて~走った! 転んだ!! でも起き上がって、ゴール!!――京商、アスリートヒューマノイド『マノイ』を発表

2005年09月21日 23時15分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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“2005 プラモデル・ラジコンショー”
“2005 プラモデル・ラジコンショー”は23、24日が一般公開日

京商(株)は21日、東京・有明の国際展示場(東京ビッグサイト)の会議棟内会議室にプレス関係者を集め、アスリートヒューマノイド『マノイ(MANOI)』を2006年6月に発売予定であると発表した。予定価格は15万円。これは、国際展示場の西ホールで本日から24日まで(一般公開日は23、24日)開催されるホビー製品の展示会“2005 プラモデル・ラジコンショー”の一環として行なわれたイベント。発表会場では、その動作デモ機を使った“走る”デモンストレーションが行なわれたほか、同社では2006年8月にアスリートヒューマノイドによるアスリート競技“KYOSHOアスレチクスヒューマノイドカップ”を開催予定としている。



マノイのデザインを担当した高橋智隆氏マノイのデザインを担当した高橋智隆氏

発表会場には、代表取締役社長の鈴木正之氏、代表取締役会長で“京商ヒューマノイドプロジェクト”のプロジェクトリーダーの鈴木明久氏、マノイの開発に不可欠なアクチュエーター(駆動制御モーター)や関節部を開発した近藤科学(株)の代表取締役社長の近藤博俊氏、デザインを担当したロボ・ガレージ(京大ベンチャーインキュベーション)の高橋智隆氏らが列席し、マノイ開発の背景や意図を説明するとともに、将来の競技会に向けた夢などを語った。

ABS製キャラクタースーツを着たマノイの試作機 かなり足を上げてもバランスを保つことができる ポーズを決めるマノイ
ABS製キャラクタースーツを着たマノイの試作機が片足立ちのポーズを決めるところ残念ながらこちらは走れないものの、かなり足を上げてもバランスを保つことができるバランス立ちを終えて、「どうだっ!」とばかりにポーズを決めるマノイ

マノイは、ABSのオリジナルキャラクタースーツ(外装)を採用したホビーロボットで、同社では“1/5スケール”と呼称する体長約40cmのヒューマノイド(詳細なスペックは現時点では未公開)。ラジコン制御可能な17軸の関節(さらに手足に4軸拡張可能)を持ち、走ったり手を振ったり走る前のポーズ(スタンディングスタート)を取ったりするほか、倒れた後で自分で体を支えて起き上がる、といった動作も軽やかにこなせる。これらの動作はコントローラー(プロポ)経由で指令を出しているが、ユーザーがプログラミングして変更することも可能。同社ではマノイの発売に合わせてプログラミング初心者でもWindows環境で自由に動かせるための、初心者にも使いやすいプログラミング環境を提供するべく開発中としている。

プロジェクトリーダーの鈴木明久氏
代表取締役会長で“京商ヒューマノイドプロジェクト”のプロジェクトリーダーの鈴木明久氏

マノイのネーミングは、ヒューマノイド(humanoid)から、“人の要素”を示す“hu”と“~的”というあやふやさを排除するべく“d”をカットして付けたもの。純粋な機械生物としての意味をこめた。……と説明書きにはあるが、プロジェクトリーダーの鈴木明久氏は、「とにかくヒューマノイドに関する言葉は登録済みの名前が多くて大変だったが、これなら大丈夫だった。最後は私が決めた」と裏話を披露した。

代表取締役社長の鈴木正之氏
代表取締役社長の鈴木正之氏

会場で最初に挨拶に立った社長の鈴木正之氏は、自社のスローガンである“遊びにまじめな会社”を引き合いに出して、「これ(スローガン)に忠実に、新時代をにらんで開発を続けてきたのが今回発表するマノイ。大人の鑑賞(や使用)に耐えるホビー商品として幅広い世代に受け入れられるだろう」と自信を見せた。

“2004年のKHR-1の発売で、ヒューマノイドの市場が大きく成長した”と自信を見せる
“2004年のKHR-1の発売で、ヒューマノイドの市場が大きく成長した”と自信を見せる

次に会長でプロジェクトリーダーの鈴木明久氏が壇上に立ち、「実は今日ここで(発表会の開始前に)“初めて歩いた”というのが実情ですが、来年の発売とイベントに向けて完成度を上げつつある。ここ1、2年でヒューマノイドへの関心やマスコミへの露出が急増している。単なるロボット、ヒューマノイドではなく京商らしいヒューマノイドとは何かを追求しながら5年前から開発を続けてきた。まずかっこいいこと、仕上がり感がいいことが一番(ABS樹脂を使ったスーツの装着を示す)。一般の人にわかりにくいのはまずい。イノベーティブ(革新的)でなくては」と、同社が強い意気込みで取り組んでいる姿勢を強調した。

マノイのデザインを担当した高橋氏が、ABSカバーをまとったマノイを立たせているところマノイのデザインを担当した高橋氏が、ABSカバーをまとったマノイを立たせているところ

続いて、マノイのデザインを担当した高橋氏が挨拶に立った。高橋氏は京都大学ベンチャー・インキュベーション(ベンチャー企業の立ち上げを産学協同で助成するシステム)の第1号入居者で、ロボットの開発を行なうベンチャー企業ロボ・ガレージを設立した。同氏は2004年/2005年の“ロボカップ”(ロボットの世界的な競技会)で優勝を果たすなどロボットクリエイターとしても知られる。氏は「自分で購入して所有できる、買って作って育てられるロボットを作りたい、というコンセプトに共感して、京商とコラボレーションに至った。所有する喜びを得るだけでなく、カスタマイズしたり、競技に向けてプログラミング(動きの制御)するといった工夫でも楽しんでもらいたい」と抱負を語った。

近藤科学の代表取締役社長の近藤博俊氏
近藤科学の代表取締役社長の近藤博俊氏

最後に、マノイの先祖にあたる『KHR-1』を2004年に開発・発売した近藤科学の近藤氏が登場し、「新たにロボット専用サーボを開発して、これを元に試作品(会場で走るデモを行なったもの)を作った。プロジェクトリーダーからは『とにかく走れ! ロボットは走らなきゃダメだ!』と厳しい難題を与えられて、関節やアクチエーターを改良し、とりあえず走らないまでも這い回るくらいには至った(※1)。従来はアルミ削り出しだった関節部を樹脂に変えたり、コード類も(関節の内側に)まとめられるようにするなど改良もしているので、本体の設計もしやすいと思う」と、謙遜含みに開発の苦労を明かした。

この発言には近藤氏の謙遜が多分に含まれており、実際に会場では“体が瞬間的に宙に浮く”という意味での“走る”には見えなかったものの、一歩一歩踏みしめて重心移動するのではなく、“体を前傾させて次々に足を送り出す”という“走る動作”が確実に行なわれた

“走る”デモ “スタンディングスタート”のポーズを決め 駆ける駆けるマノイ!
ABSカバーを持たないマノイ試作機による、“走る”デモ足を引いて“スタンディングスタート”のポーズを決める。これで前傾姿勢になり、走り出す準備が完了駆ける駆けるマノイ! 集まったカメラマンからも一気にフラッシュの雨が浴びせられる
勢いが付きすぎたか、顔から転んだマノイ 手を振るポーズで応えるマノイ

なお、近藤科学ではマノイの開発にも使われたサーボ(型番:4024)とコントロール基板などをマノイの発売に先駆けて、今年11月頃に発売するとのこと(価格など詳細は未定)。また、4024と互換性があり、高トルクのサーボ(型番:4014)も発売予定で、「マノイのユーザーが部分的に高出力を得たいなど、改造にも使えるだろう」と述べた。

また、KYOSHOアスレチクスヒューマノイドカップは、5mの歩行(走行)にかかる時間を計測して競うもので、2006年中に3~4回実施予定(ただし、場所は現在公募中)。将来的にはマノイのスケール(1/5)に合わせて、100m走の1/5の20m走や、マラソンの1/5にあたる約8kmの長距離走も行ないたいと夢を膨らませている。

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