(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモとNTTドコモグループ8社は29日、第2世代携帯電話サービス“mova”に対応する携帯電話機として『RADIDEN(ラジデン)』を発表した。RADIDENは、AM/FM/TVの3バンドチューナーを内蔵し、AM/FMラジオ放送とテレビ放送の音声を聴くことが可能なストレート型のモデル。製造はソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ(株)で、発売日は現在のところ未定。価格はオープンプライスで、編集部による予想実売価格は1万円台前半。
キー配置は“premini(プレミニ)”シリーズとよく似ている。ただしサイズは、高さ117×幅49×厚さ20mmと、preminiシリーズの中では大型の『premini-II』(高さ105×幅46 ×厚さ19.4mm)よりも大きい | 携帯電話面の裏側には、ラジオ用のディスプレーとラジオ用の操作ボタンが並ぶ。上部にある7つのボタンにはそれぞれ別の周波数がセットされ、押すだけでラジオ局の選択が可能だ |
ターゲットは40・50代男性層
プロダクト&サービス本部プロダクト部長 永田清人氏 |
RADIDENの主なターゲットユーザは、ポータブルラジオ利用者の7割以上を占めているという、40~50代の男性層だ。(株)ニッポン放送の本社が入る東京・千代田区で行なわれた製品発表会には、NTTドコモからプロダクト&サービス本部プロダクト部長 永田清人氏が出席して「ラジオで青春時代を過ごした40~50代の方へ、ラジオのノスタルジックなイメージを訴求していきたい」と述べた。
製品発表会にはAMラジオ3局のパーソナリティーも登場し、RADIDENの魅力について語った。左よりニッポン放送の垣花 正(かきはな ただし)氏、文化放送の野村 邦丸(のむら くにまる)氏、TBSラジオの中村尚登(なかむら ひさと)氏。最近では50~60代のリスナーも、携帯電話から番組にメールを送ってくれるのだという |
AMチューナーを搭載する携帯電話機はRADIDENが国内初だが、AMの周波数はFMと比較して外部からの影響を受けやすく、また携帯電話機の内部回路で発生する様々な周波数成分からノイズが発生しやすいといった、技術的課題があった。また、周波数の特性からAMのアンテナはサイズが比較的大きくなるため、小型機への搭載が困難なのだという。そこで今回は、新技術を採用したラジオチューナーを採用するとともに、既に成熟したmovaを携帯電話機のプラットフォームとしたことで、これらの問題をクリアした。永田氏によればRADIDENのターゲットとなる40~50代の男性層は約80%がmovaを利用しているが、将来的な第3世代携帯電話サービス“FOMA”での展開は、需要の問題とは別に小型化などまだまだ技術的なハードルがあるようだ。
片面は携帯電話機、もう片面はポータブルラジオ
RADIDENの、movaシリーズの中での位置付けは、“premini(プレミニ)”の各機種や『Music PORTER』『Lechiffon(ルシフォン)』などと同じく、独自の切り口を持った“コンセプトモデル”に属する。RADIDENのiモード対応携帯電話機としての機能は、『SO213iWR』という型番が示すようにmovaの中でもエントリーに位置づけられる“21xi”シリーズと同等で、カメラ撮影や赤外線通信、iアプリなどには対応していない。
端末デザインは、片側に携帯電話機としての操作系、反対側にラジオとしての操作系を集中させ、同社が“デュアルフロントデザイン”と呼ぶ裏表のない構成になっている。また、携帯電話/ラジオの機能や操作系が、それぞれ独立しているのが特徴。操作ボタン/液晶ディスプレーはそれぞれ別になっており、液晶ディスプレーは、携帯電話面には約1.9インチのTFTカラー液晶パネル(128×160ドット/6万5536色表示)を、ラジオ面にはバックライト内蔵のモノクロ液晶パネル(23.1×16.7mm)を備えている。ラジオ番組の聴取時は、競合他社のFMラジオが聴ける携帯電話機のようにラジオの操作を携帯電話のメニュー画面から行なうのではなく、端末のラジオ面にある“一発選局7つボタン”など押しボタンとモノクロ液晶ディスプレーで操作する。また、操作ボタンは携帯電話用/ラジオ用と一目でわかるようにキートップもしくはキーサイド文字色で分けられ、携帯電話の操作ボタンは白の文字色、ラジオの操作ボタンはアンバー(オレンジ)の文字色が用いられている。
ラジオ放送局の切り替えは、一発選局7つボタンの1~7のボタンにあらかじめ設定されている周波数に切り替えられるほか、携帯電話を持って国内を移動する際には、現在地の“エリア”を選ぶだけでプリセットされた周波数が自動的に変更される。エリアの変更の際には、“北海道”“東北”のように地域の名称がテキストで画面表示されるわけではなく、地域ごとに割り振られた数字を設定するため、説明書で地域と数字の対応を確認する必要がある。受信するAM/FM/TV放送の切り替えは、バンド/設定ボタンを押すだけで切り替え可能だ。
携帯電話面から見た場合の左側面は、携帯電話関連のキー操作をロックするスライドスイッチや、スクロールキーなどを搭載する。イヤホン端子のふたはスライドタイプなのでぶらぶらせず、イヤホンを装着した状態で周囲の物に引っかかることがない | 携帯電話面から見た場合の右側面は、ラジオの電源スイッチや音量ボタンなどラジオの操作に関するキーでまとめられている |
メニュー画面はpreminiとほぼ同一 | 文字入力方式は、おなじみの『POBox』を搭載する |
なお、AM放送は本体内蔵のアンテナで受信できるが、FM放送やTV放送を聴く際には、アンテナとして付属のイヤホンを接続する必要がある。FM放送はステレオ受信にも対応しており、付属のイヤホンマイクに付いているモノラルイヤホンを、別売りのステレオイヤホンに変更することでFMステレオ放送を楽しめる。また、受信している放送はイヤホンだけでなく、内蔵のモノラルスピーカーでも楽しめる。連続受信時間は、AMラジオが約20時間、FMラジオが約14時間、TVの音声は約13時間。iモードやメール機能を使いながらラジオを聴くことが可能で、付属のイヤホンマイクでラジオ番組を聴取中に通話を受けた場合は、ラジオの音声が聞こえなくなり、応答できる。電源スイッチも個別に用意されているので、“携帯電話機としての機能はOFFでラジオとしての機能はON”といった使い方もできる。
パッケージは専用の取っ手付きタイプ。モノラルイヤホンマイクや、充電台も付属する | ラジオは電源のオートオフ機能も備える。自動的に電源OFFになるタイミングは、30/60/90/120分から選択可能だ |
聖子ちゃんも応援!
全国民放AMラジオ47局がキャンペーン
RAGIDENの記者発表に合わせて、全国民放AMラジオ47局は、“あなたに伝えたい~ 言い出せなかった“ありがとう””という統一キャンペーンを、同じ建物の別会場で発表した。これは、全国のAMラジオ局の番組にて、リスナーに“いいだせなかった“ありがとう””というテーマのメッセージを募集するというもの。優秀作は、11月にキャンペーンキャラクターの松田聖子さんが、パーソナリティを務める特別番組で紹介する予定だ。また、メッセージの応募者の中から抽選で30名にRADIDENが贈られる。
文化放送 野村 邦丸氏、TBSラジオ 中村尚登氏と、ニッポン放送の上柳昌彦氏(うえやなぎ まさひこ)が統一キャンペーンとRADSIDENについて語った。ライブドアのニッポン放送買収劇の話題に触れ、上柳氏がラジオに対する思いを熱く語る場面も |
松田聖子さんも会見に登場。キャンペーンソング“しあわせな気持ち”は、いろんな人に対する“ありがとう”や“幸せ”というイメージから歌を作ったという |
RADIDENのスペック
- ディスプレー
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メイン:1.9インチ半透過型TFT液晶パネル(128×160ドット、6万5536色表示)
最大表示文字数120字(12文字×10行)
サブ:23.1×16.7mmモノクロTN液晶パネル - 連続通話時間
- 約120分
- 連続待受時間
- 約320時間
- 連続ラジオ再生時間
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AM:約20時間
FM:約14時間
TV:約13時間
- 本体サイズ/重さ
- 幅49×厚さ20×高さ117mm/約122g
- 本体カラー
- “Black&Silver”
- 発売時期
- 2005年秋
- 価格
- オープンプライス(編集部予想実売価格は1万5000円前後)