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ソフトバンク、2005年度第1四半期の連結決算を発表――「いよいよ5年ぶりにトンネルを抜ける」

2005年08月10日 22時40分更新

文● 編集部 伊藤咲子

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代表取締役社長の孫 正義氏
代表取締役社長の孫 正義氏

ソフトバンク(株)は10日、2005年度第1四半期の決算(2005年4月~6月)を発表した。連結での財務業績は、売上高が2586億円(前年同期比76%増)で、営業損益が31億円の損失(前年同期は38億円の損失)と赤字幅が縮小した。経常損益は130億円の損失。決算説明会に出席した代表取締役社長の孫 正義氏は、「トンネルは出口があるもの。いよいよ我々ソフトバンクも、5年ぶりにトンネルを抜けそうだ」とプレゼンテーションを始めた。



「2005年度は数百億円単位の黒字が出る」

営業損益を事業別にみると、固定通信事業は、昨年12月に開始した“おとくライン”の初期投資で140億円の損失を計上した。おとくラインについては、販売体制の強化を目標とした(株)インボイスとの業務/資本提携と、営業体制の見直しに伴い第2四半期に約70億円の特別損失を計上する見込みであることが発表された。

四半期ごとの連結売上高推移 四半期ごとの連結EBITDA
四半期ごとの連結売上高推移。なお、ソフトバンク・インベストメント(株)が連結子会社から持分法適用関連会社に異動し、2005年度第1四半期からイーファイナンス事業の売上高は計上されない四半期ごとの連結EBITDA(営業損益+営業費用に含まれる減価償却費および固定資産除却費)
四半期ごとの連結の営業損益推移 おとくライン部門を除いた、四半期ごとの連結の営業損益推移
四半期ごとの連結の営業損益推移おとくライン部門を除いた、四半期ごとの連結の営業損益推移

一方ブロードバンド・インフラ事業は、営業損失は前年同期から138億円改善した4494億円となった。なかでもADSL部門は、2004年度第4四半期(2005年1月~3月)に営業利益が19億円と黒字転換したが、今期は36億円の黒字と利益を拡大した。孫氏は、「インフラ事業というのは損益分岐点に到達するまで大きな設備/先行投資を伴うが、一旦損益分岐点を越えれば、そこから先は急激に利益が拡大、安定的に成長できる性格を持っている」と、今後も堅調に利益が拡大することを強調した。

また、ADSL事業が好調なことを受けて、連結の営業損益全体で6月には5億円の単月黒字化を実現している。孫氏は「7月、8月と黒字が拡大し、この1年間つまり2005年度の営業利益は、数百億円単位の黒字が出る」と見込みを述べた。

連結の営業損益で6月には単月黒字化を実現している
連結の営業損益で6月には単月黒字化を実現している


「大いに評価される時代がもうじきやってくる」

ソフトバンクは、ビジネスモデルの成長の過程を

  1. 回線/ISP事業からコンテンツ提供まで“一気通貫・垂直統合モデル”の事業立ち上げ期
  2. サービスの拡充によって“面をとって深堀りする”収益性の追及期
  3. 他社にインフラや課金プラットフォームを提供して収益機会の拡大を図る“更なる拡大”期の3つのステージ

――に分け、現在は第3のステージにいるとした。グループ企業はそれぞれ、ソフトバンクBB(株)が493万人、ヤフー(株)が542万人、日本テレコム(株)が348万人の決済サービスが利用なユーザーを抱えており(※1)、今後はグループ会社の決済機能を共通化し、コストメリットの創出と顧客満足度の向上を目指すという。

※1 いずれも2005年7月現在の数字。ソフトバンクBBはYahoo! BBの契約者数、ヤフーは“プレミアム会員”の契約者数、日本テレコムは個人の音声サービス契約者数

そのほか、今後注力する事業領域として、IP映像配信サービス事業と、携帯電話事業が挙げられた。

孫氏は「4年間、インフラの先行投資ということで、とても大きな赤字を出した。その結果、ソフトバンクグループの企業価値、株価はおおいに過小評価されてしまったと私は考えている。これが、グループとして営業利益の黒字化、しかもそれが大幅に拡大していくめどがいよいよ立った。これからより適正な評価がなされ、今から数年後にソフトバンクの事業モデルが世界で最も進んだものとして、デジタル情報化社会の先進カンパニーとして大いに評価される時代がもうじきやってくると、自信を深めている」と、業績発表を締めくくった。

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