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マイクロソフト、技術カンファレンス“Microsoft Tech・Ed 2005 Yokohama”で基調講演を開催――.NETを核とした“接続されたシステム”がさらに広がる

2005年08月04日 20時11分更新

文● 編集部 内田泰仁

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米マイクロソフト コーポレート バイスプレジデントでディベロッパー ディビジョン担当のエス・ソマセガー氏“接続性”(通信)の歴史“アプリケーション開発”の歴史
.NETを基盤とした“接続されたシステム(Conneted Systems)”の構造モデル

リリース間近の製品の解説を行なったソマセガー氏は、まず冒頭に“接続性”と“アプリケーション開発”の進化について説明し、このうち接続性の歴史については、1844年の有線通信(電報)や1876年の電話(「ITデマンドが生まれた瞬間」と紹介)など誕生から、今日のインターネットや.NETの普及にまで続く歴史を紹介した。この中で同氏は、2004年時点でのインターネット利用者は約5億人で、2005年にはこれが10億人に達するとの見通しを示し、“あらゆるシステムが相互に接続される時代”の到来と、同社が.NET戦略で示した相互接続性の重要度とその一層の進展を強調した。また、アプリケーション開発の歴史については、1980年代の“オブジェクト指向”、1990年代の“コンポーネントベース”、そして2000年以降の“サービス指向”へと続く経緯を紹介。ここでも.NETを核とした相互接続性、相互運用性の高さに触れ、企業などのITインフラにおける“Windows Server System”の優位をアピールした。



SQL Server 2005、Visual Studio 2005、BizTalk Server 2006Windows Server 2003 R2
ソマセガー氏が取り上げた製品の主な特徴や新機能

SQL ServerとオラクルおよびIBM製品の比較Visual StudioとJavaプラットフォーム向け開発環境との比較。Javaについてはベースとなる開発環境はいずれもEclipse
競合製品との価格比較。ここでのトータルコストとは図左端の機能を追加していった場合の総計
データベース市場での“ライセンス数”ベースのシェア。金額ベースの場合はマイクロソフトは3位になる

ソマセガー氏の講演の中で大きく取り上げられた製品は、SQL Server 2005、Visual Studio 2005、Windows Server 2003 R2。同氏はこれらの製品と競合製品の価格差(基本的なライセンス価格では同社製品が競合製品に及ばないケースも少なくなかったが、実運用上欠かせない機能/オプション類を積み上げていった場合には競合製品よりも安い、というのがソマセガー氏の主張の要点)などにも言及。特にデータベース市場においては、金額ベースのシェアでは、競争相手のIBMやオラクルに続いて第3位となっているものの、ライセンス数ベースではこの両者を上回るシェアを獲得しているといい、同社としてはトータルコスト面で両社の製品よりも安く、かつライセンス数では両社を上回っているという点を高く評価すると述べた。さらに、セキュリティーを最重要視した開発により、他社に比べ脆弱性の報告数も減っているとアピールした。



SQL Server 2005/Windows Server 2003 R2のデモでは、運用中のサーバーに障害が発生したときのスムーズなフェイルオーバーを実演。壇上に設置された小型サーバー(プリンシパル)とミラーサーバー役の日本HPのエンタープライズ向けサーバー“HP Superdome”を監視サーバー(ウィットネス)が管理するというシステムで、デモでは、実際に小型サーバーを“爆破”(火薬を使って本当に破壊!!)し、すみやかにミラーサーバーに業務が移行する様子を見られた。同社としては、“エンタープライズ=大型ハードウェア”という見方を必ずしもせず、このデモのように小型サーバーであっても用途次第でエンタープライズ用とみなして製品を展開するとしている
マイクロソフト内での“Windows Server System”の展開

さらに同社は、“Windows Server System”のエンタープライズ方面への展開の強化をこの講演でも強調しているが、これに向けた取り組みのひとつとして、大規模なIT基盤を持つ“自社内”への“Windows Server System”の積極的な展開をひとつの“事例”として紹介している。



基調講演後に行なわれたプレス向け説明会より。左からソマセガー氏、豆蔵 代表取締役副社長の山岸耕二氏、マイクロソフト エンタープライズ プラットフォーム本部 業務執行役員 本部長の勝屋信昭氏マイクロソフトと豆蔵の協業の狙い
“enThology for .net”の構成と内容

またソマセガー氏は講演の中で、開発ライフサイクル管理環境の強化に向けた新しい取り組みとして、システム開発業務改革ソリューション“enThology”を擁する(株)豆蔵との協業を発表した。今回の協業により豆蔵は、マイクロソフトのシステム開発基盤『Microsoft Visual Studio 2005 Team System』およびソフトウェア設計および開発の手順“Microsoft Solutions Framework”を中核に用いるシステム開発業務管理ソリューション“enThology for .net”の提供を行なっていくとしている。『enThology for .net』は、企業の情報化戦略策定から情報化投資の最適化までを一貫して支援するサービスで、ユーザーのビジネス目標とシステムで実現できる目標を合致させ、この目標を達成できうるITシステムを構築するために用いられる方法論/プロセス/ツール/再利用可能な資産などで構成される。

基調講演終了後にはこの協業に関するプレス向けの説明会が開催されたが、この中でソマセガー氏は、「(今回の協業によりマイクロソフトは)初めて開発ライフサイクル管理のビジネスに入っていく」として、豆蔵との協業により、チームによる統合的な開発推進の支援強化を図っていくと述べた。

なおソマセガー氏の講演ではこのほか、Visual Studio 2005の最新プレビュー版となる“July Community Technology Preview”日本語版を10日からMSDN サブスクリプション会員向けにダウンロード提供すると発表されている。Visual Studio 2005のプレビュー版は、4月からβ2が提供されているが、今回提供される“Community Technology Preview”は、ユーザーやパートナーの早期評価および早期フィードバックを目的として通常のβ版よりも短いサイクルで公開される“中間プレビュー版”と位置付けられたバージョン。今回提供されるバージョンでは、チーム開発支援環境“Visual Studio 2005 Team System”が日本語版として初めて提供される。



今後の“Windows Server System”のロードマップ。これまで明らかになっているものから大きな変更はない。次期サーバーOS“Longhorn Server”は2007年予定

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