マイクロソフト、車載情報端末向けプラットフォーム『Microsoft Windows Automotive 5.0』を発表――開発環境の強化が進む
2005年07月12日 23時22分更新
米マイクロソフト社バイスプレジデントのトッド・ワーレン氏 | 車載情報端末の技術の“今”と“将来” |
“Windows Automotive Conference 2005”の基調講演を行なった米マイクロソフト社バイスプレジデントのトッド・ワーレン(Todd Warren)氏は、技術革新により、乗り物で移動する際、移動距離は長く、移動時間は短くなり、「世界が小さくなっている」いるが、この移動の間をいかに楽しむか、いかに活用するかが今後の課題であるとしている。そこでマイクロソフトでは、人と人/人と情報をつなぎ、移動時間を有効に活用し、移動をより楽しむための“デジタル・ライフスタイル”製品を提供し、ユーザーの「車の中でのエクスペリエンスを充実させていく」と車載情報端末分野での取り組みの意気込みを語った。
また、今後の車載情報端末の進化は「これまでの10年よりも大きな変化がこれからの10年で起きる」と予測、現時点で実現している技術や機能をベースに、通信機能の充実によるリアルタイムコラボレーションや“Connected Car”の実現、マルチメディアコンテンツ機能の強化によるデジタル・エンターテインメントの高度化、シームレスな情報へのアクセス、コンテンツの著作権保護を考慮したDigital Rights Management(DRM)技術の取り込みなどが進んでいくと述べた。
マイクロソフトのオートモーティブビジネスユニット シニア アカウント マネージャ、清水尚利氏 | カーナビゲーションシステム市場の規模予測 | メーカー純正のカーナビゲーションシステムの装着率 |
ワーレン氏と平野氏のセッション終了後には、報道関係者向けの説明会がカンファレンス会場内で行なわれた。説明会では、ワーレン氏と平野氏が再度講演を行なったほか、マイクロソフト オートモーティブビジネスユニットのシニア アカウント マネージャである清水尚利氏が、車載情報端末市場の動向について解説した。これによると、2004年3月時点で全世界510万台規模のカーナビゲーションシステムの市場は、今後も成長を続け、2008年3月には900万台規模になると予測される。2005年度の日本メーカーの生産台数は、全体の約2/3を占めると見られているという。また、広範な普及の目安となるデータとして、メーカー純正のカーナビゲーションシステムの装着率が取り上げられた。このデータによると、1997年以降装着率は年々上昇を続けているが、中でも、ディーラーオプション品やライン装着品の比率が高まっており、今後、自動車を購入した時点で車載情報端末を搭載している例はさらに増えると見られるという。
清水氏によると、メーカー純正品装着率はヨーロッパ市場でも拡大傾向にあるといい、欧米で需要の拡大が見込まれているポータブル型のカーナビゲーションシステムとあわせて、車載情報端末の世界的な市場は今後も拡大するとしている。さらに日本では、運転中の携帯電話の使用が法律で禁止されていることから、車載情報端末を利用したハンズフリー通話の登場と、車載端末が通話機能を持つことに伴う車載端末へのデータ通信機能の登場が期待できるという。また、カーナビゲーションシステムは現在、DVD搭載タイプからHDD搭載タイプへの切り替え時期にさしかかっているといい、マイクロソフトとしては、Windows Automotiveの採用拡大に向けた大きなチャンスの時期だとしている。
ケンウッド『HDM-555』 | 松下電器産業『NHDN-W55G』 | アルパイン『VXH-061 MCVi』 | ||
カンファレンス会場に展示されていたWindows Automotiveベースの日本メーカー製の車載情報端末 |