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iWork '05

(前編)エフェクトの追加やビルド機能の改良で表現力がさらに豊かに

2005年06月30日 21時18分更新

文● 河村政雄

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■ウェブ用の素材作りにFlash機能を活用

iWorkの購入目的がPagesのみというユーザーもいるだろう。しかし、せっかく付いてきたKeynoteを使わないのはもったいないので、Flash書き出し機能でウェブ用の素材が作れないか試してみた。

まずは大きさだ。付属のテーマは800×600または1024×768ドットに最適化されており、ページ内の部品としては大きすぎる。縦横ともに200ドット未満には設定できないため、600×200でタイトル用アニメを作ってみた(図1)

作成中 できたもの
図1 ビルドは、直線が画面の端から滑り込んできたあとで文字が現れるように設定。Flash形式にしてもハイパーリンクは有効なので、ナビゲーションバーのような素材は作れそうだ

しかし、書き出し後の動作でいくつか問題点があることがわかった。まず残念なのは、 圧縮/拡大/軌道など、新バージョンで追加された派手な文字エフェクトの多くが、単なるフェードインになってしまうこと(図2)。動作も、書き出し後はややもったり感が出てしまう。また、テキストのサイズが微妙に変化することもある。

Keynote Flash
図2 文字には「拡大」が設定してあり、Keynoteでは左図のように表示されるが、Flash形式だと右図のようにテキスト全体がフェードインで表示されてしまう。文字のサイズも若干小さくなっている

結論としては、Keynoteで積極的にウェブ用素材を作るには弱いが、うまく利用すれば、マクロメディア(株)の「Flash MX 2004」に比べてはるかに安価なFlash作成環境として使えるだろう(※2)。なお、QuickTime形式ならアニメーションは完全に再現されるので、iMovie用のタイトル作りなどには活用できそうだ。

■プレゼンが楽になる数々の補助機能

Keynote 2には、マルチモニター環境でプレゼンを行う際に、2台目のモニターに経過時間やノート(注意書き)を表示する「発表者ディスプレイ」機能が追加された(図5)。プレゼン会場の照明が暗くて、手元の時計や資料が見にくい場合に重宝するだろう。

「環境設定」でカスタマイズ
図5 発表者ディスプレイに表示する内容は「環境設定」でカスタマイズできる。タイマー/経過時間やノートを表示可能だ

また、新バージョンはスライド内のオブジェクトにハイパーリンクを設定する機能を備 えており、再生中にクリックするとあらかじめ指定したスライドにジャンプできる(図6)。同機能を利用してスライドショーの道筋をあらかじめ何通りか作っておけば、プレゼンの途中で残り時間に応じて説明内容を飛ばしたりすることが可能だ。

ハイパーリンク
図6 ハイパーリンクは別のスライドだけでなく、別のKeynoteファイルやウェブページ、メールメッセージを開くようにも設定できる。リンク先はメニューから選択する

スライドショーを自動で実行する機能も強化されている。従来はQuickTimeムービーに書き出す必要があったが、新バージョンでは、クリックで開始するトランジションとビルドを、指定した時間が経過したら自動的に開始するようにも設定できる。ただし、通常のスライドと同様に「esc」キーで停止できてしまうため、来場者の手に触れる環境での再生には適していない。ヘルプには、キーボードを取り外すように書かれているが、ノート型マックでは困難なので、せめてパスワード入力で再生を停止するなどの機能が欲しかった。

スライド内でウェブページを表示できるのも、特筆すべき点だ(図7)。例えば、ウェブサイトの立ち上げを含む新企画や、競合他社のサイトをプレゼン内で使う場合に重宝するだろう。

スライドショーの再生時に自動更新
図7 スライド内に表示されるウェブページは、「ハイパーリンク」インスペクタで「自動アップデート」を有効にしておくと、スライドショーの再生時に自動更新される。なお、今回作成したプレゼン/Flashのファイルは、筆者が実務で使用予定のものだ

スライドショーの書き出し形式として、新たにFlashが追加されたのも大きい。同 形式の場合、トランジションやビルドはクリックで開始できるほか、前述のハイパーリンクも有効なので、Keynoteが組み込まれていないマックやウィンドウズでも再生可能なスライドショーを作成できる。さらに、Keynoteでウェブページ用のFlash素材を作るという裏技的な使い方も可能で、プレゼンに興味のない人にとってもKeynoteの利用価値が多少なりとも生まれた(コラム参照)。ソフトが2本しか付属しないiWorkでは、ユーザーの購入意欲に関わる重要な改良と言える。

ワンポイントチェック

iWork '05には、KeynoteとPagesそれぞれに約150/190ページの印刷されたマニュアルと、ショートカットを紹介したカードが付属する。操作方法を調べながら作業するには冊子のマニュアルが便利。これは非常にポイントが高い。

※2 各種のブラウザーできちんと表示されるようにFlashムービーをウェブページ内に埋め込むには、objectタグとembedタグを記述する必要がある。「Dreamweaver」や「GoLive」では、Flashファイルを読み込むだけでタグを生成してくれるので楽だ。

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