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ベンキュー、K.Y.Lee CEOの来日記者会見を開催――同社のブランド戦略について語る

2005年05月24日 22時25分更新

文● 編集部 小西利明

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携帯電話MP3プレーヤー『BenQ Z2』を手にした台湾ベンキュー コーポレーションCEOのケイ・ワイ・リー氏(中央)。左はアジア・パシフィック地域の販売マーケティング担当 代表取締役社長のエイドリアン・チャン氏、右はベンキュー ジャパン ディレクターのディビッド・デン氏
携帯電話MP3プレーヤー『BenQ Z2』を手にした台湾ベンキュー コーポレーションCEOのケイ・ワイ・リー氏(中央)。左はアジア・パシフィック地域の販売マーケティング担当 代表取締役社長のエイドリアン・チャン氏、右はベンキュー ジャパン ディレクターのディビッド・デン氏

ベンキュー ジャパン(株)は24日、台湾ベンキュー コーポレーション社(BenQ)CEOのケイ・ワイ・リー(K.Y.Lee、李焜耀)氏の来日に合わせて都内にて記者会見を開催。同社のビジネスとブランド戦略について講演した。

BenQのビジネスについて語るリーCEO
BenQのビジネスについて語るリーCEO

BenQはそもそも1984年に、台湾Acer Computer社の一部門として設立。2001年に独立、同時期に日本市場にも参入している。BenQ自身は最終製品を製造販売しているが、その傘下にコンピュータや周辺機器用の各種部材を製造する多数のグループ企業を抱えるまでに成長している。リーCEOはBenQの社名の由来について、設立理念である“Bringing Enjoyment and Quality to Life”から取ったものであると語った。2004年の売上は、BenQ本体が49億ドル(約5243億円)、グループでは105億ドル(約1兆1235億円)に達したという。そして成長の要因として、日本企業に多い垂直統合型ではなく、各グループ企業が独自に競争力を持てるような垂直分業型のモデルを採用した点にあると述べた。またグループ企業の中でも液晶パネル製造を手がける台湾AU Optronics社は、TFT LCDパネル分野では最大の企業であり、今後も継続して技術開発のための投資を続けると表明。また市場の成長を促進するために、コンピューティングとコミュニケーション、家電(コンシューマーエレクトロニクス)などの“3C”を、トータルに提供することが必要であるとした。



BenQグループの企業群。液晶パネルや通信モジュール、光ドライブなど、コンピュータで使われるさまざまなコンポーネントを製造する企業群で校正される BenQグループの2003年と2004年の収益を示すグラフ。グループ全体では100億ドルを超えた
BenQグループの企業群。液晶パネルや通信モジュール、光ドライブなど、コンピュータで使われるさまざまなコンポーネントを製造する企業群で校正されるBenQグループの2003年と2004年の収益を示すグラフ。グループ全体では100億ドルを超えた

リーCEOは同社がBenQブランドとして確立されてからの3年半の歩みについても触れ、現在では液晶ディスプレーの世界市場で5位、液晶プロジェクターでは7つの主要市場で1位、18の市場でトップ3に入っており、記録型DVDドライブ市場でもナンバー2の地位にあるとした。またリーCEOは、同社がデザイン分野を非常に重視しているとの姿勢を示した。各事業部ごとにデザインチームが存在し、全社では3000人規模のデザイン・エンジニアが働いているという。これについては、CEOに続いて登壇したアジア・パシフィック地域の販売マーケティング担当 代表取締役社長のエイドリアン・チャン(Adrian Chang)氏がさらに詳しく説明を行なった。

チャン氏は同社の流通戦略について、“DEEP”というキーワードを掲げて説明を行なった。Dは“Design”デザインと差別化の意味で、西洋的な要素と東洋的な要素を技術と品質により統合するとした。2つめのEは“Efficiency(効率)”、3つめのEは“Experience(体験)”で、最後のPは“Preference(優先傾向)”とし、BenQを魅力的で好まれるブランドとして消費者に受け入れられ、それによって優先的に購入されるブランドとするとした。また“東洋と西洋の融合”についてチャン氏は、興味深い例えを用いて説明した。米デル社や米IBM社はコーポレートカラーとして青を使っており、青には合理的や論理的といった意味合いがある、一方で消費者向けの商品を手がける日本企業、富士通や東芝、トヨタ自動車、ホンダなどは赤がブランドのイメージカラーであると述べ、赤はより消費者よりの色であるとした。そのうえでBenQは、これら色で示される正反対の概念を融合する、青でも赤でもない紫をコーポレートカラーとしたと述べた。

青と赤にイメージされる正反対の概念を融合するという意味を込めて、BenQのコーポレートカラーは紫になったという 東洋と西洋の融合がデザインに取り入れられた例としてチャン氏が挙げた同社製品。天板に筆文字が描かれた中国市場向けのノートパソコンや、画家クロード・モネの絵が描かれたスキャナーがそれだ
青と赤にイメージされる正反対の概念を融合するという意味を込めて、BenQのコーポレートカラーは紫になったという東洋と西洋の融合がデザインに取り入れられた例としてチャン氏が挙げた同社製品。天板に筆文字が描かれた中国市場向けのノートパソコンや、画家クロード・モネの絵が描かれたスキャナーがそれだ

またチャン氏は同社のデザイン部門がブランドイメージ向上に果たしている貢献についても触れ、液晶ディスプレーを初めとする同社の製品が、米国や日本など、世界各地で評価されて、デザインの賞を多く獲得していること、ファッションデザイナーとのコラボレーションなどの展開も行なわれていることを披露した。

2004年にグッドデザイン賞を受賞した同社製品 昨年9月に開催されたミラノのファッションショーでは、同社がデザインした液晶ディスプレーを、モデルが手にして登場した
2004年にグッドデザイン賞を受賞した同社製品昨年9月に開催されたミラノのファッションショーでは、同社がデザインした液晶ディスプレーを、モデルが手にして登場した

質疑応答で今後の日本でのビジネス展開について問われたリーCEOは、国内外で評価の高い液晶ディスプレーやプロジェクターに、さらに注力したいと語った。

リーズナブルな価格ながらも高画質で知られるBenQの液晶ディスプレー製品。ビジネス用途に向いたシンプルな製品から、コンシューマー市場向けのデザイン重視の製品まで、幅広く展開する
CD-R表面に絵や文字を描ける“ライトスクライブ”機能対応のDVD±RWドライブ『DW1625』 フラッシュメモリー型のMP3プレーヤーも多数手がける。デジタルカメラとMP3再生、FMラジオチューナーを内蔵する小型GSM携帯電話『BenQ Z2』(日本未発売)などの変わり種も
CD-R表面に絵や文字を描ける“ライトスクライブ”機能対応のDVD±RWドライブ『DW1625』フラッシュメモリー型のMP3プレーヤーも多数手がける。デジタルカメラとMP3再生、FMラジオチューナーを内蔵する小型GSM携帯電話『BenQ Z2』(日本未発売)などの変わり種も

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