日本相撲協会、大相撲観戦者向けの情報配信サービス“Sumo Live TV powered by Intel”を発表――国技館の土俵でも「インテル入ってる?」
2005年05月09日 22時16分更新
(財)日本相撲協会は9日、両国国技館内の新常設サービスとして大相撲関連の映像情報等を配信する“Sumo Live TV powered by Intel”を発表した。大相撲一月場所/五月場所/九月場所中に両国国技館に無線LAN(IEEE 802.11b/g、2.4GHz)対応のノートパソコンを持参すれば、“大山親方の相撲基礎講座”“国技館館内マップ”などの情報コンテンツを観客席にいながら閲覧できる。サービスは無料。
握手を交わす日本相撲協会 理事 広報部長の高砂 浦五郎氏と、インテル(株)代表取締役共同社長のグレッグ・ピアーソン(Greg Pearson)氏 |
東京・墨田区の両国国技館(写真提供:日本相撲協会/インテル) | 国技館館内(写真提供:日本相撲協会/インテル) |
高砂氏(元大関 朝潮) |
Sumo Live TV powered by Intelは、相撲ファン層の拡大と、顧客満足の向上を目的として計画されたもの。主要なコンテンツ(いずれも動画を含む)は以下のとおりで、日本相撲協会の理事で、広報部長の高砂 浦五郎氏によれば「大相撲の魅力を知ってもらう。そして、国技館を知ってもらう」ことを目的としたラインナップだという。サービスは五月場所初日の8日に開始されており、本場所中の午後3時前後から取り組み終了まで、配信される。なおコンテンツの再生には、Internet Explorer 5以上、Windows Media Player 9が必要。
- 大山親方の相撲基礎講座
- 相撲のしきたりなどを解説
- 裏方さんの仕事紹介
- 力士が土俵に入るまでの流れ等を紹介
- どすこいFM放送席中継
- 国技館来場者向けのFMラジオ放送“どすこいFM”の放送席から中継
- 相撲博物館
- 相撲の歴史などを紹介
そのほか、国技館内マップ、本日の星取り表、どすこいFM(音声)を配信する。
どすこいFM放送席中継より。コンテンツの閲覧は、インテルのノートパソコン用プラットフォーム“Centrinoモバイル・テクノロジ”搭載機が推奨されている |
Sumo Live TV powered by Intelのサービス開始にあたっては、インテル(株)がシステムの実装/運用面や宣伝/マーケティング面などで“トータルアドバイザー”としてサポートしている。インテルは昨年、サーキット“ツインリンクもてぎ”(栃木県茂木町)で、やはり無線LANを使った観客向け情報配信サービス“Pit Live TV powered by Intel”をスタートさせている。今回の日本相撲協会とのプロジェクトは、代表取締役共同社長 グレッグ・ピアーソン氏によれば「インテルの技術をいろんな方に知っていただきたい、これまで使ったことのないユーザーに新規のアプリケーションを積極的に紹介していく一環」として捉えているのだという。今後は、大相撲の各種懸賞などのスポンサーもする予定だ。
土俵をまわる懸賞(写真提供:日本相撲協会/インテル) | 記者発表会会場に飾られていたインテルの旗 |
無線LAN/配信システムの構築はエヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム(株)が、サービスの運用は(株)ニッポン放送プロジェクトが担当した。
Sumo Live TV powered by Intelにアクセスするための専用の無線LAN基地局(※1)は、国技館内に合計4台設置されている。コンテンツはマルチキャスト配信技術を使って配信され、国技館が収容できる観客数は最大1万1000人だが、最大6万人が接続可能という。各基地局は干渉を防ぐために異なる周波数を使用し、個別のESS ID(Extended Service Set ID)が設定されている。NTTブロードバンドプラットフォーム サービス開発部の眞部利裕氏によれば「来場者全てが無線LANの専門家ではないので、なるべく簡単にコンテンツにアクセスできるようにしたい」として、観戦者はノートパソコンに基地局のESS IDを設定するだけで、認証を必要とせずにコンテンツにアクセスできる。セキュリティー対策について眞部氏は、国技館館内のサービスなので外からハッキングされる可能性は少なく、「(同じアクセスポイントを使っている他人の共有フォルダ等は)アクセスポイントやスイッチで“折り返し禁止”としているので、基本的には見えない」といった対策を講じているという。
※1 インターネットにはアクセスできない天井に設置された無線LAN基地局(写真提供:日本相撲協会/インテル) | コンテンツ配信サーバー(写真提供:日本相撲協会/インテル) |
システムの構築コストなどは非公表。日本相撲協会は、今後は両国国技館以外の会場への導入やコンテンツの増強などを検討している。ただし、テレビ放送のような、インターネットによる大相撲の中継については消極的で、高砂氏は「今の時点では」と前置きをしながら、「あくまでもパソコンはパソコンの世界、映像は映像の世界」と切り分けている。