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【最新パーツ性能チェック(Vol.31)】64bit対応Pentium 4とWindows XP Professional x64 Edition RC1で64bitのパフォーマンスを探る!

2005年03月30日 23時15分更新

文● アスキープラス編集部 野口岳郎

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3D性能はやや落ち気味? エンコードは変わらず

 今回のテストCPUはPentium 4-3.60FGHzなので、比較対象として、Pentium 4-560、Pentium 4-570Jを用意した。Pentium 4-560、Pentium 4-570は32bitのみの対応なので32bitのWindows XP Professionalで、Pentium 4-3.60FGHzはWindows XP Professional x64 Editionで動かした。動作環境はすべて共通で、マザーボードは“i925XE”チップセットのインテル製「D925XECV2」、メモリはDDR2-533-1GB(デュアルチャネル)、ビデオカードはPCI ExpressのRADEON X700Pro搭載カード(VRAM256MB)を使用した。
 Pentium 4-560JとPentium 4-3.60FGHzは、EM64T対応かどうかを除けばほぼ同じなので、性能は同じであるべきものだ。そこで差が出ていれば、それはOS環境の違いにもとづくものということになる。

 グラフ1~6の結果はすべて32bitのベンチマークテストによるものだが、Windows Media Video、3DMark 2001など、多くのテストでPentium 4-3.60FGHzとPentium 4-560がほぼタイスコアになっている。確かに、32bitアプリケーションが“ほとんど性能劣化なく”64bitOS上で動くことをうかがわせる。ただ、明らかな差が出ているものもいくつかある。3DMark 05では、明らかにPentium 4-3.60FGHzのスコアが振るわない一方、FinalFantasyでは逆にPentium 4-3.60FGHzがクロックで200MHzまさるPentium 4-570Jより高いスコアを出している。またPCMark 04のCPUスコアもかなり良い。

3DMark 2001 3DMark 05
3DMark 2001の結果。クロック通り3DMark 05の結果。3.6Fがふるわない
Unreal Tournament 2003 Final Fantasy XI ver.2
Unreal Tournament 2003の結果。これも3.6Fが苦戦Final Fantasy XI ver.2。これはなぜか3.6Fが大幅リード
PCMark 04 Windows Media Encoder
PCMark 04。3.6Fが優勢。ただ、570Jには及ばずWindows Media Encoder。棒が短いほうが高速。単位は秒。ほぼクロック通り

 Windows XP Professional x64 Editionでは、32bitのアプリケーションは動くが、32bitのWindows XP用のドライバは利用できない。そのため、今回はATIが公開する32bit用、64bit用それぞれ最新のバージョンのドライバを入れたが、両者のバージョンが一致していない(32bitのほうが新しい)。3DMark 05のスコアの差はここに由来する可能性もある。FinalFantasyやPCMarkで好結果が出ているのは、64bitで書かれたOS本体の機能を使う部分が比較的多い、ということだろうか。いずれにしても、32bitから64bitのオーバーヘッド分だけ常に遅い、というわけでもないのは、64bit化を考えている人にはうれしい結果だろう。


驚くべき64bitアプリの速度!もう32bitには戻れない!?

 さて、注目は7~10のテスト結果だ。これらは、同一アプリケーションの32bit版と64bit版とで性能を比較したものだ。まずは純CPU性能のチェックとしてSandra 2005だが、同クロック/同コアのPentium 4-560Jに比べ、Pentium 4-3.60FGHzはCPU演算(整数)が16%、マルチメディア(浮動小数点)では実に27%も高速化している。もちろん、実クロック3.8GHzの570Jも上回るスコアだ。一方で、昔ながらの浮動小数点(x87)は逆に3%のマイナスとなっているほか、SSE2による浮動小数点(倍精度)、マルチメディア(16bitデータ×8のSIMD)は5~7%の伸びとなっている。
 浮動小数点(x87)の性能が低めなのは気がかりだが、SSE以降、浮動小数点のSIMD演算がサポートされているから、特別な関数を使いたい場合を除きx87を使わなければならないケースは減っており、これはあまり問題にならないだろう。むしろ、使用頻度の高い通常演算における整数、マルチメディアにおける浮動小数点が大幅な伸びを見せていることのほうが重要だ。これらはともに、レジスタ増の恩恵を受けているものと考えられる。
 基本性能がこれだけ伸びていれば、アプリケーションの性能も伸びて当然だ。期待に違わず、Panorama Factory(複数の画像を連結して1枚の大きな画像を作るソフト。デジカメを持って自分のまわりをぐるっと一周するだけで、結構インパクトのある絵を作ってくれる)とVirtualDub(フリーのビデオ編集・加工ソフト)は、32bit版に加え、β版ながら64bitバージョンが公開されているので、性能を比べてみたところ、ともにPentium 4-560(32bit)に比べ、Pentium 4-3.60FGHz(64bit)は30%前後も高速に処理が完了した。これは実際にさわっていてはっきりわかるような差だ。

Sandra CPU Sandra マルチメディア
Sandra CPU。整数演算が16%高速化Sandra マルチメディア。浮動小数点が25%も高速に!
VirtualDub Panorama Factory
VirtualDubで画像のリサイズと圧縮。短い方が高速。単位は秒。570Jを寄せ付けない圧倒的な速度を実現!Panorama Factoryで6枚のデジカメ画像を連結。短い方が高速。単位は秒。これも劇的な高速化が得られた

 同じクロックのCPUで、仮にあらゆるアプリケーションがこれほどの性能向上を見せるのであれば、32bitのCPU、32bitのOSを使い続ける理由はない。CPU性能の伸びが鈍った、と言われたここ1~2年だが、2005年は思いもよらぬ場所から大きなスピードアップのボーナスがもたらされることになりそうだ。


●2月28日発売のアスキープラス2005年4月号では、Windows XP x64 Editionの詳細レポートと、各社64bitCPUの性能を徹底検証する特集記事を用意しています。こちらもぜひごらんください。
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