コンピューターソフトの権利保護団体である米Business Software Alliance(ビジネス ソフトウェア アライアンス、以下BSA)は25日、都内・赤坂のホテルニューオータニにおいて“BSA2004年度活動報告および2005年活動方針記者説明会”と出した説明会を開催した。説明会にはBSA日本顧問弁護士の石原 修(いしはらおさむ)氏、日本担当事務局長の増渕賢一郎(ますぶちけんいちろう)氏が出席し説明を行なった。
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BSA日本顧問弁護士の石原 修氏 |
初めに石原氏が、2004年度の活動内容について報告した。2004年度の世界のソフトウェア違法コピー調査結果では世界の違法コピー率が36%で、損害額は約3兆2000億円に達しており、日本では違法コピー率が29%(ワースト7位)で、損害額が約1800億円(ワースト5位)であったと説明した。また、企業内の違法コピーを告発した“組織内違法コピー情報件数”は、年々上昇し2004年度では昨年の178件から15%増の203件であったと説明した。2004年度の活動内容について石原氏は、「ライセンス等の管理をすでに実施している企業は、さらに高度な管理を目指しているが、まったく管理を行なっていない企業については、依然違法コピーについての認識が不足している」と、管理している企業と管理していない企業が両極端になりつつある状況を説明した。
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日本担当事務局長の増渕賢一郎氏 |
続いて増渕氏が2005年度の活動方針について説明した。2005年度の動向については、著作権法の罰則強化(1月1日施行)(
※1)や個人情報保護法の施行(4月1日)などを挙げた。従来から行なっている知的財産の創造/保護/活用を促進する活動“政策提言”や違法コピーに関する情報の収集や調査/分析を通じて権利保護活動を支援する“権利保護支援”、ビジネスソフトウェアの著作権を尊重する教育/啓発活動を通じて知的財産に関する意識の向上を図る“教育啓発活動”に大きな変更はない。今回、“政策提言”“権利保護支援”には大きな変更点はなく、“教育啓発活動”において新しいアプローチを行なう。
主な活動内容として以下の活動と支援を挙げた。
※1 著作権法の罰則強化 5年以下の懲役または500万円以下の罰金または併科。法人への罰金の上限が1億5000万円に
- 経営者による“再点検”指示につながる活動
- ・企業への訪問活動
- ・安心して“再点検”できるための制度づくり
- ・管理を評価する仕組みづくり
- ・個人情報と情報セキュリティーと関連づけた啓発活動
- 管理担当者の支援
- ・相談窓口の常時開設
- ・管理マニュアルなどの参考資料の強化
- ・管理セミナーの回数増加
“再点検”のための制度は現在検討中だが、ソフトウェアメーカーと協力して、再点検実施期間中の違法コピー発見については損害賠償などの訴訟は行なわないなどのキャンペーンを考えているという。
また今後、BSAがコンサルティングを行なう企業に対して、社内モラルの向上や対外的な信頼性の向上を図る目的で、“ソフトウェア資産管理コンソーシアム”(※2)が定義するソフトウェア管理の指針“ソフトウェア資産管理評価規準”を採用すると発表した。
※2 ソフトウェア資産管理コンソーシアム マイクロソフト(株)やアドビシステムズ(株)、監査法人トーマツなどが中心と管理基準が企業の間に行き渡り、業界の標準となるよう設立されたコンソーシアム。
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ソフトウェア資産管理評価規準 |