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日立超LSI、10万回書き換え可能な非接触式ICチップを発表――TRONSHOW2005にプロトタイプを展示

2004年12月09日 00時00分更新

文● 編集部 伊藤咲子

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(株)日立超LSIシステムズは7日、書き換え可能な非接触式ICチップ『ミューチップRW』と読み取り/書き換えを行なうリーダー/ライター『リーダ/ライタ』を発表した。同製品のプロトタイプは、東京大学教授の坂村健氏を会長とする非営利の任意団体“T-Engine(ティー・エンジン)フォーラム”と(社)トロン協会が主催するイベント“TRONSHOW2005”の会場において、デモンストレーションされている。

ミューチップRWとリーダ/ライタ アプリケーションの画面
ミューチップRWは、写真手前の透明のカードに埋め込まれている。写真左の三脚の上に載っている白いボードと薄紫色のセットトップボックスがリーダ/ライタミューチップRWの内蔵メモリーには110バイトのデータ書き込み領域があり、データの書き換え可能回数は10万回。ID以外の情報を書き込んでおけば、毎回データベースを参照することなく情報が取り出せる
ミューチップRWの標準インレット 標準インレットは曲げても使用可能
ミューチップRWの標準インレット標準インレットは曲げても使用可能

ミューチップRWのプロトタイプ『NWD6502』と、量産タイプ『NWD6503』は同日、T-Engineフォーラム内のグループ“ユビキタスIDセンター”によって、ユビキタスID技術に対応したUHF帯域(2.45GHz帯)を使用するucodeタグ(ucode 認定 Category1 Class1(※1))に認定された。同センターは、モノや場所を自動識別するための基盤技術の確立と、ユビキタスコンピューティング環境の実現を目指し、ユニークなIDが割り当てられた電子透かし“ucode”が付与された“ucodeタグ”の標準化と認定作業などを行なっている。NWD6502/NWD6503は、同センターが規定する実装仕様に対応し、またNWD6503チップは非接触ICタグの国際標準規格であるISO/IEC 18000 part4、NWD6502チップはISO/IEC 18000 part4 CDに準拠したインターフェースを備える。

※1 ユビキタスIDセンターは、ucodeタグの通信の“物理層インターフェース”に応じて、“Category”(0~3の全4カテゴリー)を規定している。Category1は、RFタグ(非接触インターフェースを備えたRFIDや非接触ICカード)。“Class”(0~6の全7クラス)は、ucodeタグの満たすべきセキュリティー機能に応じて規定されているもので、“Class1”は物理的に同一もしくは類似のものを作成することが困難なものに付与される



日立超LSIシステムズ取締役社長の小切間 正彦氏 東京大学教授の坂村 健氏
日立超LSIシステムズ取締役社長の小切間 正彦氏東京大学教授、産学共同のプロジェクト“TRONプロジェクト”リーダー、(株)横須賀テレコムリサーチパークの研究事業“YRPユビキタスネットワーキング研究所”所長の坂村 健氏

ミューチップRWは、縦1.5×横1.5mmのチップに128バイトのメモリーを内蔵し、18バイトの読み出し専用(書き換え禁止)領域と、110バイトのデータ書き込み領域を搭載する。データの書き換え可能回数は10万回で、データ書き込み領域にID以外の情報を書き込んでおけば、毎回データベースを参照することなく情報が取り出せる。ISO/IEC18000 part4に準拠した2.45GHz帯のマイクロ波を使用しているので、標準インレット(幅70×奥行き4.8×高さ0.4mm)使用時にはリーダ/ライタとの通信距離が、読み出し時で約600mm、書き込み時で550mmという。またLF(125~135kHz)/HF(13.56MHz)/UHF(900~950MHz)といった周波数を採用するICタグと比較して実装時のアンテナサイズが小さいため、インレットをさらに小型化したり、ラベルに埋め込んだりということが容易だという。“アンチコリジョン”に対応し、例えば流通分野で箱に収められた製品に1個1個貼られたタグなど、理論的には128個、メーカーの実験では30個まで複数のタグを同時に読み込むことができる。また、“衝突防止機能(輻輳制御機能)”によって、周囲に複数のミューチップRWがあっても、リーダー/ライターで正しく読み書き可能という。

ミューチップRWは、2005年第2四半期(4月~6月)から量産出荷する予定。また、それに先立ち、9日よりミューチップRWのプロトタイプ(100個)とリーダー/ライター、アンテナ、評価ソフトなどをセットにした評価キットを95万円で販売する。

なおミューチップRWの1個あたりの現在の価格は、50個パックで5万円(1個1000円)。日立超LSIシステムズ取締役社長の小切間 正彦(おぎりま まさひこ)氏は「大変高いと認識している」という。「量産では、来年末に1個100円を目指したい。ただ、これでもまだ高いので、最終的には20円くらい、その後、(無線ICタグの単価を5円以下と低価格にする経済産業省の)“響プロジェクト”の成果を導入してさらに安くしたい」(小切間氏)

同社は今後の予定として、PCカードタイプのリーダー/ライターの開発(2005年6月目標)、CFカードタイプの開発、T-Engineへの搭載を目的とした2.45GHz帯/13.56MHz帯に対応するリーダー/ライター製品の開発を挙げた。



TRONSHOW2005で展示中

TRONSHOW2005は9日まで東京・千代田区の東京国際フォーラムで開催される(入場料1000円、事前登録で無料)。会場の見どころは3日に記者発表されたが、トロンプロジェクト、T-Engineプロジェクトのほか、日立超LSIシステムズ、(株)アプリックス、NECエレクトロニクス(株)、パーソナルメディア(株)、マイクロソフト(株)、モンタビスタ ソフトウェア ジャパン(株)など約40の企業/団体によるTRON/T-Engine関連の最新成果を紹介している。

NECエレクトロニクスのブース1
NECエレクトロニクスのブースより。T-Engineを搭載した小型の組込み用応用製品『teacube(SEMC5701)』、V850/ME2ボード2台をEthernetで接続。写真奥の黒電話はマイク/スピーカーの役目を果たし、これらでVoIP電話を実現
NECエレクトロニクスのブース2
同じくNECエレクトロニクスのブースより。teacubeに音声認識のアプリケーションをインストールし、マイクを通じて自動通訳(日本語を英語に変換)を行なうというデモ
パーソナルメディアのブース
パーソナルメディアのブースより、今月2日に発表されたばかりの、T-Engineアーキテクチャー上にMontaVista Linuxを移植した『T-Linux/SH7751R評価キット』。MontaVista Linuxは、T-Kernelのミドルウェア群のひとつとして稼動し、Linuxのアプリケーションを実行できる
T-Engineプロジェクトの展示ゾーン1 T-Engineプロジェクトの展示ゾーン2
T-Engineプロジェクトの展示ゾーンよりその(1)。ユビキタスID技術を使った“食品トレーサビリティシステム”などを紹介。写真の展示は、生産現場(メロン農家)で、太陽電池搭載の『pT-Engine 』を使って温度や湿度などを計測して畑の環境情報を取得しているというもの。その(2)に続くその(2)。ICタグが付けられて出荷されたメロンは集荷場に到着。『ユビキタスコミュニケーター』を使って出荷チェックを行なっているイメージ。その(3)に続く
T-Engineプロジェクトの展示ゾーン3 T-Engineプロジェクトの展示ゾーン4
その(3)。スーパーに到着したメロン。専用リーダーでICタグを読み込むと……。その(4)に続くその(4)。生産物情報、産地情報などがわかる。「静岡県御前崎市の指研太郎さん」が作ったメロンで、「静岡県音質農業協同組合 静南支所」という集荷場を経由してきたという設定。糖度は「14%以上」で、「今月10日が食べごろ」という。ちなみにメロンは模型
T-Engineプロジェクトの展示ゾーン5その(5)。視覚障害者誘導用ブロックにICタグが埋め込まれ、白杖の先に内蔵された専用リーダーで情報を読み込んでいる。白杖にはbluetoothの通信機能が備え付けられており、bluetooth対応ヘッドセット(写真では未装着)を通じて、交差点情報や、付近の商店/施設等の情報を、歩行者に伝えるのだという


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