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Aterm WR6600H

Aterm WR6600H

2004年07月20日 00時00分更新

文● 宇野貴教

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Aterm WR6600H

NECアクセステクニカ

現在の無線LAN規格ではIEEE 802.11gとIEEE 802.11aが最も通信速度が速いが、オフィスやホットスポットでの利用を考えるとまだまだIEEE 802.11bも必要だ。そのため、現在は11bを使っているが、将来は11g/11aへシフトしたいと考えているユーザーも多いだろう。そういった複数の無線LAN規格を同時にフォローしたいユーザーに最適な無線LAN対応ブロードバンドルーターが、NECアクセステクニカの“Aterm WR6600H”シリーズだ。

WR6600Hはルーター単体パッケージの『Aterm WR6600H』のほかに、無線LAN PCカード『Aterm WL54AG』が付属する『Aterm WR6600H ワイヤレスセット(TC)』、有線LAN-無線LANコンバーター『Aterm WL54TE』が付属する『Aterm WR6600H ワイヤレスセット(TE)』の3モデルが用意される。セットモデルに付属する無線LANカードとアクセスポイントは、いずれも本体の仕様に合わせ、IEEE 802.11aまたはIEEE 802.11b/11gの合計3種類が利用可能である。利用する無線LANの規格の選択/変更は、付属のユーティリティーまたはウェブブラウザーから手動で行ない、電波状況に応じて無線LAN規格を自動変更する機能は持たない。

本体正面本体背面。LAN用のEthernetポートは4基。それぞれにアクセスランプがついているので、有線接続に問題がある場合も見つけやすい

ブロードバンドルーターとしての機能は、UPnPやVPNパススルーなどここ最近の製品として押さえておくべきものはすべて搭載されており、家庭向け製品としては十分なものを持つ。さらにPPPoEマルチセッションの接続先は最大3カ所に加え、DMZホスティングやIP unnumbered対応などにより公開サーバーの運用にも有利など、上級者にも耐えうる仕様を装備している。有線LANのスループットはPPPoEモードでメーカー公称実測値87.7Mbps(評価データはメーカーウェブサイト参照)とFTTH接続であってもまったくストレスを感じさせない高性能を誇る。

本機はこれに加えて、Atheros Communicationsの“Super AG”による無線LANの高速化に対応する。これはフレームバースティング、無線ネットワーク最適化、リアルタイム圧縮により無線LANのスループットを向上させる技術だ。データ圧縮が絡むため、効果のほどはやりとりするファイルにより異なるが、最大2倍程度の速度上昇が期待できるとされている。パフォーマンスを重視するユーザーには見逃せない機能となるだろう。セキュリティー機能はスタンダードなWEPのほか、ESS-IDステルス機能や最新セキュリティー規格のWPA-ASK(TKIP/AES)に対応する。WEPの暗号化強度も152bitに対応するなど、不正アクセスへの対策も万全と言っていいだろう。

WR6600Hの自体の設定は、他のブロードバンドルーターと同様にウェブブラウザー上から行うが、親子機間の無線通信規格やWEPなどの暗号化関連の設定は、付属ユーティリティー上からでも実行可能。このユーティリティーからウェブでの設定画面も呼び出せるので何かと便利だ

設定変更は付属ユーティリティー、もしくはウェブブラウザーから行なう。アクセスポイントやルーター本体のIPアドレスを失念してしまっても、ユーティリティーから設定画面を呼び出せるのでもしものときも安心だ。無線LANカードモデルは、このほかにカード設定用ツール『サテライトマネージャ』が付属し、周囲の電波状況を検知し、電波状況グラフの中から簡単に選択すべき無線LAN規格に変更できる。通常の無線ルーターでは、初期導入時に親機-子機間の接続設定(暗号キーやSSIDなど)が煩わしいのだが、本機では初期設定用の特殊ボタンがあり、これを押すことで子機側にこれらの設定が自動的に反映される“らくらく無線スタート”機能を搭載している。こういった配慮は初心者にはありがたいポイントだ。

Eternetポートしか持たないデスクトップパソコンやネットワーク対応家電を無線化する『Aterm WL54TE』。リビングなどにLANケーブルを這いまわせたくない人にぜひおすすめしたい
さらに、『Aterm WL54TE』がセットとなるモデルでは、通常有線LANのポートしか持たないネットワーク対応家電などを無線LAN化することが可能になる。ビデオレコーダーなどはリビングに置くケースが多くなるが、美観を損ねない、ケーブルの引き回しが必要ないという点で、無線LANは有線LANよりも優秀だ。詳しい使い方はこちらの記事で詳しく紹介しているので、パソコンだけでなく、ネット家電も含めた家庭内LANを構築仕様としている人はぜひこの機会にチェックしてみてほしい。

なお、本機ではIEEE 802.11a/b/gの3規格を同時に使用することはできないが、上位機種となる『Aterm WR7800H』は、3規格の混在使用が可能になる。すでに導入している無線LAN規格や持っている無線LANアダプターが複数規格にまたがっていて、それらを同時にすべて使えるようにしたいという場合には、こちらの製品がオススメだ。過去の資産を無駄にしないという点でも優秀な選択肢とみていいだろう。

本機のメリットは、どのような環境にでも対応できる柔軟さである。無線LAN規格はどれも一長一短があり購入後に「失敗した」と後悔するケースも少なくないが、トリプルワイヤレス対応ならばそのような心配はない。ルーター本来の機能的な不安点もなく、安心して購入できる無線LANルーターといえるだろう。オフィスと自宅で異なる無線LAN規格を使い分けたい、マンションなので他製品との干渉が心配、自宅が広く電波が届くかわからないといったユーザーに強くお勧めしたい製品だ。


SPEC
製品名 Aterm WR6600H
WAN 10/100BASE-TX×1(Auto MDI-X対応)
LAN 10/100BASE-TX×4(Auto MDI-X対応)
対応無線LAN規格 IEEE 802.11a/b/g、Super AG対応
無線セキュリティー機能 ESS-IDステルス機能、WEP(64/128/152bit)、WPA-PSK(TKIP)、WPA-PSK(AES)、MACアドレスフィルタリング
サイズ 約幅27×奥行き125×高さ172mm
重量 0.3kg

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