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(財)東京国際映像文化振興会および第17回東京国際映画祭組織委員会事務局は28日、東京・六本木の六本木ヒルズでプレス関係者や映画・映像関係者を集めて、今年10月23日~31日(9日間)に開かれる“第17回東京国際映画祭”の開催概要を発表した。会場には、事務局長の境 真良(さかいまさよし)氏、第17回東京国際映画祭のゼネラルマネージャーの角川歴彦(かどかわつぐひこ)氏、東京国際映像文化振興会の理事長の高井英幸(たかいひでゆき)氏らが出席し、開催の目的や新たに実施する“フィルムマーケット”の詳細などを説明した。
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出席者。左から、事務局長の境 真良氏、第17回東京国際映画祭のゼネラルマネージャーの角川歴彦氏、東京国際映像文化振興会の理事長の高井英幸氏 |
第16回から引き続きゼネラルプロデューサー(GP)に就任した角川氏は、「前回の経験で、日本映画がグローバリゼーション(映画の世界的な競争)に巻き込まれていく渦中を体験した。香港やトロント(オスカー)などの世界の映画祭にも出席して、それぞれのGPとも会見する機会を得た。その中で(映像/映画業界のみならず)フィルムフェスティバル自身がサバイバルゲームの渦中にあると実感した」「フィルムフェスティバルの改革が求められている時期だと思うが、最近の風潮として国が知財(知的財産)を重要視するようになり、映画祭もそれを追い風に発展していく形にするのが重要」と、単にフェスティバルを開催するのではなく、文化事業/公益事業としての発展性を模索している姿勢を強調した。
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会場では昨年の模様が上映された |
また、昨年までは渋谷のBunkamuraのみで行なわれていたが、今年は会場を六本木ヒルズと渋谷・Bunkamuraオーチャードホールの2ヵ所に分けて行なう。これについて、角川氏は「今回は、オープニングを六本木ヒルズで、クロージング(閉会式)を渋谷・文化村オーチャードホールで行なうことになった。昨年話題を呼んだ100mの赤絨毯を、今年はけやき坂に敷いて盛大な開幕セレモニーを行なうので楽しみにしていてほしい」「クロージングにも大きなイベントを考えている。日本映画の振興、アジア地域で最大のフィルムフェスティバルとして、故黒澤 明(くろさわあきら)監督の功績を顕彰するべく“黒澤 明賞”を設定しようと考えている。関係者からも了承を得られそうだ。これは(日本で開催する)東京国際映画祭だからこそ設定できるもの。世界で活躍した映画プロデューサーや映画監督の中で、東京国際映画祭に出席でき、さらに黒澤 明氏を尊敬している人に捧げたい」「(記者からの質問に答えて)第3回までは、GPを中心に有識者数名で選定を行ない、誰もが納得できる人を表彰するつもりだ。4回目以降は業界の活性化を目指して中堅どころなどからも選択していく」と、黒澤 明賞設定の狙いを語った。なお、賞金は映画祭グランプリと同額の10万ドル(約1080万円)を予定しているとのこと。
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第17回東京国際映画祭の開催概要 | 六本木ヒルズと渋谷のBunkamuraの2ヵ所をメイン会場に開催される |
続いて境氏が映画祭の詳細を明らかにした。“映像系イベント”としては
- コンペティション部門
- 35mmフィルムの長編作品を対象に、16本(予定)のエントリー作品から最優秀賞(東京グランプリ)や審査員賞を選定
- 特別招待作品部門
- 国内未公開の話題作品を20本(予定)上映、作品ゲストにより舞台挨拶などを開催
- アジアの風部門
- 日本でも注目を集めているアジアの映像・映画作品を中心に、新作/旧作を織り交ぜて17本を上映予定。新作のうち最優秀作品1本はコンペティション部門に推薦される
- X-Tokyo(仮称)
- 今回から新たにテーマ別、監督別などの切り口で、自由な発想による特集を組み、それにあわせた上映プログラムを実施する
などが紹介された。加えて、“協賛企画”として、
- サテライト上映会
- 昨年も実施されたが、北海道/大阪/九州などの主要都市(開催都市は現時点で未定)を双方向のブロードバンドインターネット回線で結び、舞台挨拶や解説などの映像をやり取りしながら、コミュニケーションを図る遠隔地上映企画を、今年も実施
- 国際Web映像祭
- インターネットを通じて、エントリー作品などをパソコン経由で視聴可能にする新企画。今のところ無料で視聴可能にし、企業や個人で制作された映像、およびブロードバンド専用に制作された映像作品を配信する予定(詳細は現時点で未定)
- 東京アニメ映画際
- 世界で高く評価されている日本のアニメーションを、ひとつの映像文化として世界に発信、紹介していく企画
などを開催。
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東京エンタテインメントマーケット2004の概要 |
さらに、新たな試みとして、“マーケット”開催についても発表があった。これは映画祭本体に先駆けて行なわれるもので、幕張メッセ(日本コンベンションセンター)で開催される一般参加者が入場可能な“東京国際エンタテインメントマーケット2004~コミック・アニメ・ゲーム&フィルムフェア~(通称:エンタマ)”と、六本木ヒルズで開催される映像の上映権/放送権/パッケージ化権/商品化権などを取引するB2B主体(一般入場は不可)の“東京国際フィルム&コンテンツマーケット2004(通称:TIFCOM2004)”という2つが予定されている。エンタマは10月22日(ビジネスデー)、23/24日(一般参加可能)の3日間開催され、一般参加者の反応を見ながら商談が行なえる場として、映像・映画ビジネスの発展に寄与したいという。TIFCOMは10月25~27日に開催され、国内外の映像関係者のほか、金融機関も招いて、商取引に必要なツールを一堂に集めたビジネスの場として盛り上げたいとしている。
