このページの本文へ

“LIBRIé”『EBR-1000EP』

“LIBRIé”『EBR-1000EP』

2004年05月25日 00時41分更新

文● 歌田 明弘

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

読みやすく、持ち運びやすい点に賭けてほしかった

 想像以上に読みやすかったのでついディスプレイの話ばかり書いてしまったが、ディスプレイじゃなくて、端末のレビューをするんだった。

 うーん(と、にわかに歯切れが悪くなる(苦笑))。よくある批判に、「メーカーのエンジニアはとかく機能をあれもこれも盛りこんで使いにくい装置を作る」というのがあるが、まさにそれを地で行ってしまったのではないか。出版社などからは、普及台数を増やして電子書籍を売るために「端末の値段をできるだけ安くしろ」という強いプレッシャーがあっただろうし、また持ち歩いて本を読むための端末だから、消費電力も節約する必要がある。先に書いたように、いったん表示されれば電力を食わないが、ページ送りや検索、メニュー選択などには電力を使う。コストや消費電力などの制約があったためか処理速度が遅く、例えば、内蔵辞書の範囲設定やメニュー項目の選択などをするときの反応が明らかに遅い(※2)。処理能力と機能が見合っていない。

※2 編集部注:例えば読書中、文章中のわからない単語を調べるために内蔵辞書の検索機能を使うとする。ジョグダイヤルを1回転させて検索対象にする文字を1つ増やすと、ジョグダイヤルを回転させてから画面にその動作が反映されるまで体感で約1秒かかる。長い単語は、文字の数だけ時間が余計にかかる

操作部 文字を入力
リブリエの操作部QWERTY形式のキーボードから、文字を入力(“しおりメモ”機能)

 こうした点は、キーの設定にも言える。辞書検索やメモ書きなどのために文字入力用のハードウェアキーを搭載しているが、それを除けばキーの数はそんなに多くはない。しかし、ページ送りだけでキーやジョグダイヤルなど3通りの方法がある。注が出てきたときなど、場面によって使い方が変わったりしている。まあゲームをしていて、「見つけたアイテムの思いがけない能力を発見するのが好き」みたいな人は、マニュアルを読んであれこれ試してみればいいし、ともかく読めればいいという人は注釈そのものを無視すればいいだけのことかもしれない。ただ、処理能力が限られているのなら、今回はとりあえず読みやすく軽量で持ち運びやすい点に賭けて、あとのよけいな機能を盛りこまず、価格を下げることに専念すればよかったように私は思う。あれこれ機能があるとついやってみたくなって、結局、「使いにくい端末だな」という印象を持たれることになるのではなかろうか。ページ送りについても、画面下のゲージに犬のアイコンが出てくる設定を選べるようになっているが、犬がどちらを向いているか確認してページをめくらないと、しょっちゅう送る方向を間違えてしまう。インターフェースには、工夫の余地がまだかなりあるのではないか。

犬のアイコン
犬のアイコン(画面左下)がどちらを向いているか確認してページをめくらないと、前に読んだページに戻ってしまう

 電子書籍のデータは、USB接続かメモリースティックを使ってパソコン経由でリブリエに読み込む形をとっている。しかし、いつでもどこでも本を選んで読めるようにするためには、リブリエがインターネットに直接接続できるようにすることも必要だろう。また、電子ペーパーはカラー化を目指しているようだし、ウェブサイトの閲覧に対応すれば、通勤途中にニュースを読むこともできる。こうしたことも期待したい。

 さしあたり、リブリエの電子書籍は“TimeBook Town”のサイトで会員になって購入する。月会費(210円)はいったん会員になると退会するまでクレジットカードから自動引き落としになる。また、この端末で読めるのは“BBeB”(Broad Band e-Book)という独自フォーマットの文書だけで、電子書籍は2ヵ月のレンタル方式である。どんどん新しくレンタルをしないと、一部の無料コンテンツを除き、2ヵ月経つとリブリエで読むものがなくなる。リブリエの購入にあたってはそうしたランニングコストも理解しておく必要があるだろう。





カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン