(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモは2日、神奈川県横須賀市の研究開発本部“ドコモR&Dセンタ”を報道関係者に公開した。 “横須賀リサーチパーク”と呼ばれる都市近郊型研究開発拠点の一角に3つの研究施設が並び、交換機から端末、マルチメディアまで移動通信システムの全ての分野と将来に備えた基礎技術の研究活動を行なっている。
この日は、2005年導入に向けて開発中の第3世代移動通信方式“W-CDMA”の通信技術“HSDPA(High Speed Downlink Access)”の伝送実験システムが公開された。HSDPAは、下り最大14.4Mbps/平均2~4Mbpsという高速な下り専用のデータ通信方式で、W-CDMAの下り最大384kbpsと比較すると約35倍のスピードになる。また、W-CDMAがセル(無線基地局のカバーできる範囲)内で384kbpsの均一の速度が出たのに対し、HSDPAは場所に速度が依存し、基地局の近くでは最大速度が出やすく、逆にセル端(無線基地局のカバーできる範囲の端)では平均速度が遅くなる。
研究開発本部無線ネットワーク開発部 尾上誠蔵氏は、HSDPAの導入の狙いについて、伝送高効率化によって1ビットあたりのコストが約3分の1以下になることと、メガビット級高速データ通信による新たなサービス展開が可能になることを挙げている。ビットコストの低減については、「新規の基地局を設置する場合、装置自体はHSDPAの機能自体は従来よりも若干割高になるがトラフィックが増えるので、1ビットあたりの割り算をすると、例えば装置単価が2割増しになったとしても、スループットが4倍になれば、差し引き3分の1になる」と尾上氏は説明した。既存の基地局に対しては、基地局の装置に格納されているカードの中からベースバンド部のカードのみを取替え、それとソフトウェアの機能追加を行なうだけでHSDPA対応が可能であるという。