このページの本文へ

NTTドコモ、“ドコモR&Dセンタ”の施設見学会を開催――高速データ通信技術HPDSAの伝送実験システムを紹介

2004年03月03日 23時58分更新

文● 編集部 伊藤咲子

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモは2日、神奈川県横須賀市の研究開発本部“ドコモR&Dセンタ”を報道関係者に公開した。 “横須賀リサーチパーク”と呼ばれる都市近郊型研究開発拠点の一角に3つの研究施設が並び、交換機から端末、マルチメディアまで移動通信システムの全ての分野と将来に備えた基礎技術の研究活動を行なっている。

ドコモR&Dセンタ1号館の正面 常務取締役 研究開発本部長の木下耕太氏
ドコモR&Dセンタ1号館の正面(1998年3月竣工)。現在は4棟目の研究施設用ビルを建設中常務取締役 研究開発本部長の木下耕太氏。研究開発本部は、3つの研究所と7つの開発部を含む12の組織を抱えている
ドコモのR&D活動の全体図 研究開発要員数の推移
ドコモのR&D活動の全体図。「現在は、3Gが開発フェーズで、2010年くらいを狙った4Gが研究フェーズ」(木下氏)研究開発要員数の推移(1998~2002年度)。2002年度の研究開発要員は1200人弱で、そのうち900人以上が研究開発本部に属しているという
研究開発費用の推移

この日は、2005年導入に向けて開発中の第3世代移動通信方式“W-CDMA”の通信技術“HSDPA(High Speed Downlink Access)”の伝送実験システムが公開された。HSDPAは、下り最大14.4Mbps/平均2~4Mbpsという高速な下り専用のデータ通信方式で、W-CDMAの下り最大384kbpsと比較すると約35倍のスピードになる。また、W-CDMAがセル(無線基地局のカバーできる範囲)内で384kbpsの均一の速度が出たのに対し、HSDPAは場所に速度が依存し、基地局の近くでは最大速度が出やすく、逆にセル端(無線基地局のカバーできる範囲の端)では平均速度が遅くなる。

研究開発本部無線ネットワーク開発部 尾上誠蔵氏は、HSDPAの導入の狙いについて、伝送高効率化によって1ビットあたりのコストが約3分の1以下になることと、メガビット級高速データ通信による新たなサービス展開が可能になることを挙げている。ビットコストの低減については、「新規の基地局を設置する場合、装置自体はHSDPAの機能自体は従来よりも若干割高になるがトラフィックが増えるので、1ビットあたりの割り算をすると、例えば装置単価が2割増しになったとしても、スループットが4倍になれば、差し引き3分の1になる」と尾上氏は説明した。既存の基地局に対しては、基地局の装置に格納されているカードの中からベースバンド部のカードのみを取替え、それとソフトウェアの機能追加を行なうだけでHSDPA対応が可能であるという。

研究開発本部無線ネットワーク開発部 尾上誠蔵氏 無線アクセスネットワークの2010年までの展開
研究開発本部無線ネットワーク開発部 尾上誠蔵氏NTTドコモによる無線アクセスネットワークの2010年までの展開。2004年中には、W-CDMAの仕様“Release 99”最新版への対応、新800MHz対応基地局の導入が予定されている。HSDPAの導入は2005年の予定
HSDPA導入によるビットコスト低減 HSDPAとW-CDMAのデータ速度のイメージ
HSDPA対応によって1基地局あたりの収容加入者数は3~4倍になるが、装置単価は数割高くなる程度なのだというHSDPAとW-CDMAのデータ速度のイメージ
データ速度とカバレッジ HSDPA伝送実験用の基地局
HSDPAは、基地局の近くで最大速度が出やすく、逆にセル端(無線基地局のカバーできる範囲の端)で平均速度が遅くなるHSDPA伝送実験用の基地局。赤い丸のシールが付いているのが、HSDPA対応のカード(ベースバンド部)
HSDPAスループット特性の実験 HSDPAでウェブにアクセスしているパソコン
基地局周辺(屋外)でだいたい7~8Mbps、屋内の閉じた空間なら14Mbpsの通信速度が出る手前はW-CDMA(FOMAカード)で、奥の3台はHSDPAでウェブにアクセスしている。アニメーションをふんだんに使っているドコモの900iの情報ページにアクセスしたところ、体感でHSDPAはW-CDMAの2~3分の1程度の時間で表示できた
HSDPAによる、Windows Media Playerを使ったストリーミングのデモ


筋肉の動きを検出する音声認識技術のデモ 筋電信号を読み取る装置
これは現在研究中の筋肉の動きを検出する音声認識技術のデモの様子。モデルは、声を出さずに、口を母音の形に大きく動かしている モデルが装着している筋電信号を読み取る装置。頬、唇の上、あごの下の3点に当てていた
5母音の認識制度は90%以上 3D音響再生型電話のデモンストレーション
現段階で5母音の認識制度は90%以上あり、今後は子音の認識や、英語の認識などの研究を進めていくという撮影は許可されなかったが、3D音響再生型電話のデモンストレーションを体験することができた。位置センサーが取り付けられた室内で、アンテナの付いたヘッドホンを付けると、相手のいる方向から音が聞こえる。相手が自分の真後ろにいるとして、何もしなければ真後ろから、時計回りに顔をねじれば右耳の方から、逆周りに顔をねじれば左耳の方から音が聞こえる


カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン