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【特別企画】アプリケーションサーバで変わるWebサービス(第2回)~IBMのWebSphere製品群~

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■WebSphere Application Server

 WebSphereブランドのコアとなるアプリケーションサーバである。非常に多くの機能を簡潔に述べると、さまざまなWebサービスとトランザクションエンジンとしての制御機能、スケーラビリティと可用性の両立を高レベルで実現し、自立型コンピューティング環境の構築と、WebSphereブランド各製品やTivoliブランド製品との連携で、計画から設計、開発、運用まで優れたサービスを提供する。他社製品に比べ、一歩抜きんでていると言いたいが、これはユーザーの判断にお任せしたい。  製品ラインナップは5つに分かれ、システム規模と用途に応じて選択する。表5に価格が安い順に一覧とした。
 WebコンテナとしてのServlet/JSPを使用するだけであればExpress、EJBコンテナが必要な場合はエディション名が特にない製品であるWebSphere Application Server Base、負荷分散とクラスタリングによる高い稼働率と拡張性が必要で、UDDIを使ったWebサービスを実現する場合にはNetwork Deploymentとなる。なお、Enterprise Editionは、J2EE標準以外のJ2EE拡張機能を搭載している。
 For z/OSは最も可用性が高い、zSeriesという稼働率が99.999%を誇るメインフレーム向けのWebSphere Application Serverである。

WebSphere Host Integrationの相関図
【表5】WebSphere Application Serverのエディション
エディション 用途
Express 小規模向け
シングルサーバ向け
Network Deployment 複数サーバ分散環境用
Enterprise Edition J2EE拡張仕様の提供
For z/OS zSeriesサーバ用(最も可用性が高い)

WebSphere Studio

 WebSphere Studio(以下、Studio)は開発環境である。最も大きな特長であり、ほかの開発ツールにないアドバンテージは、どんな言語や環境でも作れるということに尽きる。実際にはパースペクティブというプラグイン形態で、操作対象となる言語から切り離した基盤のみを提供していて、作成する対象に応じてプラグインを切り替える方針だからだ。プラグイン作成のための仕様は公開されているので、誰でも作成することができる。UMLやC#、C++といった言語への対応から、データベース設計に自動テストツールまで、商用製品からフリーのものまで非常に多くのプラグインが存在する。
 なお、Eclipseというオープンソースの開発環境があるが、これはIBMが開発していたWebSphere Studioの基本機能を公開したもので、それに独自の付加価値とサポートを提供している製品がWebSphere Studioである。  WebSphere Studioは、基本的には用途に合わせて付属するパースペクティブの種類と数で差別化されており、必要に応じて選択することとなる。上位エディションは下位エディションの機能をすべて含む。表6に価格の安い順に一覧した。

【表6】WebSphere Studioのエディション
エディション 用途
Site Developer Servlet/JSP/Struts構築
Application Developer EJB、ClearCase
Application Developer Integration Edition ビジネスプロセスモデリング
Enterprise Developer COBOL、PL/I開発

 Eclipseに該当する共通基盤は、WebSphere Studio Workbenchと呼び、IBM独自の付加価値が含まれている。
 EJB実装を行わないJava開発であればSite Developer、EJBやWebサービス開発、Rational Clear Caseを使ったリポジトリ管理を行うのであればApplication Developer、システム統合など、より大規模なプロセスモデル設計を行うのであればApplication Developer Integration Edition、ホストのCOBOLやPL/I言語の開発をオープン系の開発プロセスに統合する必要があればEnterprise Developerを利用することになる。

 COBOL開発向けにはさらにプラグインとして、HLL/Workbenchと呼ばれる製品をEnterprise Developerに追加したものもある。COBOLジェネレータやホストのデータディクショナリ、日本語でのオンコーディングや仕様書の自動作成といった機能で、形骸化したCOBOLシステムをeビジネス対応させることができる。
 このほかWebSphere Studio関連の製品として、WebSphereブランドの名前は付かないが、先ごろIBMと統合したRationalの製品で、Rational XDE Modelerと、XDE Testerという製品がある。XDE Modelerは UML設計を、XDE Testerはテスト作業をWebSphere Studio上で行うことができる。

WebSphere Host Integration

 ホストコンピュータ(メインフレーム)に触れたことがない諸兄にはわかりづらいかもしれないが、3270と呼ばれるホストで使われるプロトコルがある。その内容を解析してHTML化することと、その逆の処理を行う製品が中心となるのが Host Integration製品である。既存のホストアプリケーションの改修には一般的に膨大なコストがかかり、誰もが暗いトンネルの中にいる感覚を覚えてしまうなかで、一筋の光明といえる製品だ。原則的にホストアプリケーションの修正が必要ないため、比較的安価にホストアプリケーションをWeb化することができる。簡単な相関を図7に示す。

今後の流れ

 オンデマンドなビジネス、ユピキタスなコンピューティングが実現する社会。わかりづらく感じるが、「いつでもどこでも必要なときに必要なだけ」という意味なので難しいことでもない。過保護で非常にわがままなお嬢さんお坊ちゃんの発想とも共通しそうなので、贅沢な話かもしれない。逆に、今までは到達不能だったリソースへのアクセスを容易にすることも実現できそうだ。
 そういった抽象的だが大きな可能性と価値を秘めたシステムを提供する一連の製品群が、IBMの場合はWebSphereとなる。
 ここで最新情報をお伝えしておこう。原稿を執筆している8月20日に、WebSphere Application Serverのマイナーチェンジバージョンである5.0.2と、WebSphere Studioの新しいバージョンとなる5.1が発表された(http://www.ibm.com/jp/software/websphere/)。

 前者はグリッドコンピューティングにアプリケーションサーバを対応させるため、負荷状況に応じてトランザクションを割り振る機能が追加された。今までは稼動する前にハードウェアの処理能力に応じた振り分け比率を設定するだけであったが、負荷が低いサーバに優先的にトランザクションを割り振ることができるようになる。したがって、アプリケーションサーバを増設する際に処理能力の差から割り振りの割合を微調整する必要がないため、ダイナミックに増設したり切り離したりすることが可能となる。同時に、サポートプラットフォームがIBMのzSeries上で稼動するLinux、pSeries(AIXが稼動するUNIXサーバ)とiSeries(AS/400と呼ばれるサーバ)で稼動するLinuxに加え、Solaris 9、Windows Server 2003まで広がった。
 WebSphere StudioはWebSphere Application Server 5.0.2と同様に、WS-I (http://www.ws-i.org/)の最新規格への対応、UML作成プラグインが付属したことなどが大きなポイントとなる。今回は下位2つのエディションである Application DeveloperとSite Developerが対象だが、Rational XDE Modelerとの相違など、製品を入手して次回に報告したいと思う。

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