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「3セグメントで夢のあるサービスを提供したい」と話す(株)エフエム東京の常務取締役の園城博康氏。3セグメント放送は携帯とも連動していくのではないかと話した |
(株)ピクセラと(株)エフエム東京は30日、3セグメントに対応した地上デジタルラジオ受信機の発表とサービスの可能性について説明を行なった。地上デジタルラジオの試験放送は10月10日から東京・大阪で試験放送がはじまる。東京は現状のVHF7chを8セグメントに分け、1セグメント5チャンネル、3セグメント1チャンネルという構成になる。一方の大阪では同じ8セグメントに分割されるがすべて1セグメント放送になる。1セグメントと3セグメントの違いは、下記の表のようになる。このうち、簡易動画も放送可能な3セグメント放送はエフエム東京と(株)ニッポン放送、(株)ジャパンエフエムネットワーク(JFNC)が放送を予定している。
- | 13セグメント(デジタルテレビ) | 3セグメント(デジタルラジオ) | 1セグメント(デジタルテレビ/ラジオ) |
伝送帯域 | 5.5MHz | 1296kHz | 432kHz |
伝送容量 | 19Mbps | 990kbps | 330kbps |
ターゲット | 固定受信向けサービス(HiVision) | 携帯・移動受信向けサービス | 携帯・移動受信向けサービス |
復調回路の消費電力 | 大(300mW) | 中(100mW以下) | 小(70mW以下) |
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左から(株)エフエム東京デジタル放送プロジェクトリーダーの小針俊郎氏、(株)エフエム東京の常務取締役の園城博康氏、(株)ピクセラ代表取締役社長の藤岡浩氏 |
まず挨拶にたったエフエム東京の常務取締役の園城博康氏は、同社がはじめようとしている3セグメント放送について触れ、「(3セグ放送は簡易動画も流すことができるが)テレビとは別の媒体と見ていただきたい。1セグメントでは容量が足りなくなることは明らかなので、3セグメントで夢のあるサービスを提供したい」と話し、まずはコンピューターと接続したPCカード型を使い、我々のモバイル媒体として伸ばしていきたい」と話した。
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サービス例1。3セグメント放送の生ワイド番組では、ジャンル別音楽放送ほかスタジオ内の映像、CMを流しつつ、ダウンロード情報、番組アーカイブデータなどを配信できる | | サービス例2。簡易動画を排除し、音声データ放送を外国語チャンネルにしたり、ジャンル別専門放送にしたりといったサービスも考えられる |
エフエム東京デジタル放送プロジェクトリーダーの小針俊郎氏はサービスの可能性について説明。「ラジオというのは情報を“知る”メディアであり“使う”メディアである」とした上で、通常の放送が進行している背景でチケットを購入するなど新しい収益モデルを確立していきたいとした。また、3セグ放送の特徴のひとつである簡易動画について言及し、「簡易動画は転送帯域を使ってしまうが、私たちが示しているのはひとつのサービスの形。もしも市場の要請が音声チャンネルをたくさん放送して欲しいというのであれば、簡易動画という機能は消すかもしれない」と示唆した。また、「高音質の(音声)チャンネルを3~4つ設けて発信したり、それらを年齢層別に分類するかもしれないし、目的別で分けるかもしれないし、それは今後の課題だ」と話した。いずれにしてもテレビがデジタルに完全移行する2011年前にビジネスモデルを確立してしまいたいと強調した。
これらのサービスに対応した機器として紹介されたのが(株)ピクセラのPCカードだ。実用化サンプルの出荷開始は2004年の第1四半期を目指しており、月産台数は3000台を予定。価格は未定だなど仕様についても未定部分は多いが、チューナー部分は松下電器製を使い、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing )とCardBusコントローラー部分は富士通とピクセラが共同開発していることが明らかにされた。この部分は実際には1チップになるとのこと。今回は世界ではじめて3セグメントに対応した受信機として紹介されたが、1セグメント放送も受信可能だ。データのは専用のアプリケーションで表示することになるが、そのイメージとして紹介されたのが下の画面である。
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ピクセラのカードで受信した放送を専用のアプリケーションで表示したイメージ。3セグメント放送の特徴である簡易動画を表示するエリア(左上)、番組情報ウィンドウ(左下)、番組連動情報ブラウザー(真中)、そしてこれらを操作するボタンパネルといった4つのエリアから構成される |
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2004年第1四半期にサンプル出荷予定の受信機(PCカードタイプ)。2005年には、CFカードタイプも予定。同時に車積用、携帯電話用、オーディオ機器用製品への組み込みも計画中 |
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同じくPDAタイプも計画に上がっている。3.5インチ液晶を採用し、MP3プレーヤー機能やインターネット端末機能も搭載する |
動画フォーマットについては「現在は業界が微妙な段階なので何ともいえないが、柔軟に対応できる」としている。デモではFM東京のスタジオ内でパーソナリティーが話している映像や、ショッピング番組で中央のBMLブラウザーに商品購入のURLが表示されたり、音楽専門放送では楽曲のダウンロードが可能になったりという3セグメント放送ならではのメリットが強調されていた。また録画や録音についての著作権上の問題についてエフエム東京では「基本的にはコピーワンスを原則にしていきたい」と話した。