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【WPC EXPO 2003 Vol.17】東芝、MPEG-4関連製品や燃料電池などを参考出展――メインステージは白が基調のリビング感覚!!

2003年09月20日 07時19分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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東芝のコンパニオン
全体が白で統一された東芝ブースと、東芝のコンパニオン

今年1月に“dynabook”(欧文小文字)にリブランドして、家庭での利用を前面に打ち出す製品展開を図ってきた(株)東芝。WPC EXPOの同社ブースも白い壁と床で構成され、モデルハウスのリビングルームを見るような独特の雰囲気をかもしていた。



リビングルームでくつろぐ風景を模したメインステージ
リビングルームでのノートパソコンの活用を例示した東芝のメインステージ

会場でまず目を引いたのは、2002年1月に松下電器産業(株)と共同で設立した液晶事業の新会社、東芝松下ディスプレイテクノロジー(株)の、高精細(229dpi)液晶ディスプレーや有機ELディスプレーなどの試作品。まだ実用化には量産技術の確立が必要とのことだが、有機ELディスプレーは2005年ごろの量産を目指して、省電力化や大型化の研究を進めている。

“インプット・ディスプレイ”
参考出展された“インプット・ディスプレイ”。画面表示はカラーだが、スキャナー機能がモノクロのため、取り込んだ結果を表示している画面はモノクロに映っている

変わったところでは、イメージスキャナー(入力)とディスプレー(出力)を1枚に集約した“インプット・ディスプレイ”が参考出展された。3.5インチサイズで、入力は960×240ドット/モノクロ64階調の2次元光学センサーとして、出力は320×240ドット/26万色表示の透過型液晶パネルとして機能する。技術的には、低温ポリシリコンTFTパネルをベースに光センサー素子を液晶画素の中に組み込んだもので、用途としてはバーコードの取り込みやパスワード入力に代わる掌紋認証などが考えられる。今後は、イメージセンサーのカラー化や高精細化に向けて研究を進めるとのこと。

東芝が開発中の燃料電池 高濃度メタノールタンク
東芝が開発中の燃料電池。セットのノートパソコンがLibrettoのため、余計に大きく見えてしまうように思うのだが……。会場では実際に燃料電池で稼動していた掌に収まるほど小さな高濃度メタノールタンク。密閉されて入るものの、内容の注入や交換をどのような仕組みで行なうか、まだまだ課題が残されている

次世代バッテリーとして注目を集めている“燃料電池”を、東芝でも参考出品している。燃料に高濃度メタノールを使用し、カートリッジ交換で供給を行なうという試作品は、サブノートパソコン“Libretto”に接続され、約5時間の駆動が可能だという。ただし、サイズはLibretto本体の1/3程度、厚みはLibrettoの1.5倍ほどあるほか、燃料に使う高濃度メタノールが人体に有害(皮膚からの吸収もあるため)なため、エンドユーザーへの供給方法を慎重に検討する必要があるなど、実用化はまだ先という印象だが、日本電気(株)や(株)日立製作所など各社が研究を進めている分野だけに今後の進化は加速されると思われる。

“MPEG4応用パーソナルビデオサーバ” パソコンでパーソナルビデオサーバの映像を再生中
MPEG-4と無線LANの通信機能、小型記録デバイスを組み合わせて新たな可能性を探る東芝のコンセプトモデル“MPEG4応用パーソナルビデオサーバ”パソコンでパーソナルビデオサーバの映像を再生中

ブース奥にはMPEG-4デバイスのコンセプトモデルがいくつか展示されている。一昔前の(ちょっと大きめな)ポータブルCDプレーヤーのようなB6サイズの本体に、無線LANアダプターを接続するPCカードスロットと動画を記録するSDメモリーカードスロット、TVチューナーおよびMPEG-4変換ユニット(CODEC)を内蔵。アンテナをつなぐだけでTV番組の録画、無線LAN経由での配信が可能という“MPEG4応用パーソナルビデオサーバ”は、同社のMPEG-2形式で記録/配信する家庭用ビデオサーバー『TransCube』を小型化したような製品だ。移動中の時間も無駄にしたくない、忙しい現代人のニーズに応える製品になりそうだ。セットで展示されていた小型ディスプレーやノートパソコンのWindows Media Playerで見られる再生画面は、通常のビデオデッキで録画したものとさほど遜色のない画質を実現していた。

“MPEG4 Mobile Viewer” カメラ部
“MPEG4応用パーソナルビデオサーバ”とセットで展示されていた“MPEG4 Mobile Viewer”を構成する主要パーツ“MPEG4 Mobile Viewer”のカメラ部は背面の右上にある

そのモニターとして展示された小型ディスプレー“MPEG4 Mobile Viewer”も、MPEG-4を活用したコンセプトモデル。MPEG-4の再生機能と無線LAN/Bluetooth対応の無線通信機能、1.8インチサイズで20GBのHDD、VGAサイズで記録可能なCMOSカメラとVGA表示の4インチ低温ポリシリコンTFT液晶ディスプレーを搭載する。バッテリーはリチウムイオン(2000mA)を内蔵し、外出先でも半日程度の利用が期待できる。パソコンやHDD/DVDレコーダーの普及でデジタルビデオを撮り溜める時代にピタリのポータブルビデオプレーヤーが登場しそうだ。

電子書籍ビューアー“SD-book”
電子書籍ビューアー“SD-book”。カラーTFT液晶ディスプレー搭載

今月10日に行われた“電子書籍コンソーシアム”の発足記者会見で発言されていた、東芝の電子書籍ビューアーが東芝ブースで確認できた。“SD-book”の名前で参考出展されたこの電子書籍ビューアーは、左右に縦型のカラーTFT液晶パネル(表示解像度は640×960ドット)を内蔵。電子書籍の著作権保護機能に対応するSDカードスロットを持ち、Flash Playerも標準搭載する。実機はまだ厚ぼったく、販売に至るまでには薄型化や軽量化などが課題と説明していたが、カラー表示できる端末の登場で電子書籍への期待も高まる。

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