ブロードコムジャパン(株)は8日、都内で記者説明会を開催し、シングルチップでIEEE 802.11b準拠の無線LANソリューションを提供する小型モジュール『AirForce One BCM4317』および関連リファレンス製品群を開発、パートナー企業向けに出荷を開始したと発表した。参考価格は、1万個ロット時で12~13ドル程度(約1500~1600円)。主な用途は、携帯電話やPDAなど、小型で消費電力を低く抑えたいデジタルデバイスを想定している。
米ブロードコム社の主席技師で工学博士のスティーブン・パーム氏と、同氏が手に持つ『AirForce One BCM4317』 |
AirForce One BCM4317は、従来ベースバンド・プロセッサとMAC(ミディアム・アクセス・コントローラー)、および2.4GHz無線コントローラー、RFモジュール、パワーアンプなど複数チップで構成されているIEEE 802.11b準拠の無線LAN機能を1チップに集約し、周辺回路を合わせても14.8×26.5mmという50円玉程度のサイズに収めた小型モジュール。従来のMini PCIモジュール(50×60mm)と比較すると、約87%の小型化を実現している。
従来のIEEE 802.11bのシステム構成図(miniPCIモジュール) | AirForce One BCM4317のシステム構成図 |
省電力化も図っており、データ送信時の消費電力は500mW(“Centrinoモバイルテクノロジ”と比較すると約70%オフ)、受信時は300mW(80%オフ)、待機時は主要な回路のほとんどに通電しない“SuperStandby(スーパースタンバイ)モード”に入るため5mW(97%オフ)で済むという。
AirForce One BCM4317と『Intel Pro/Wireless 2100』(miniPCIモジュール)のサイズ比較 |
説明会では、代表取締役社長 兼 米ブロードコム(Broadcom)社アジア地区セールス担当バイスプレジデントのニック・シャムルー(Nick N.Shamlou)氏、米ブロードコム社の主席技師で工学博士のスティーブン・パーム(Stephen R.Palm)氏が列席し、製品開発の背景などを説明した。
代表取締役社長 兼 米ブロードコム(Broadcom)社アジア地区セールス担当バイスプレジデントのニック・シャムルー氏 | PocketPCにAirForce One BCM4317ベースの無線LANモジュールを搭載して、ブロードコムのロゴを読み込むデモを行なっているスティーブン・パーム氏 |
パーム氏は、「無線ネットワークの需要は高まっている。現在はノートパソコンに限って標準搭載が進んでいるが、今後はすべてのモバイル・デジタルデバイスに搭載が進むだろう。例えば、携帯電話やPDAなどの情報デバイス、MP3プレーヤーやビデオデッキなどのエンタテインメント機器、さらにデジタルカメラも撮影した結果をすぐに自分のウェブサイトにアップロードしたり、ケーブルレスで印刷したり、お気に入りの音楽を自分の車に無線でダウンロードすることもできるようになる」と将来像から切り出した。続けて、「そのための重要な要素が、“サイズ”“パワー(消費電力)”“コスト”であり、さらに適切なインターフェースを持つこと、OSのサポート(Windows/Windows CE/Linux/独自組み込みOSなど)があること、組み込む機器の設計・製造が容易であること、既存機器と共存できること、互換性や信頼性が高いことなども必要とされる」と、新製品のメリットをアピールした。
なお、関連リファレンス製品群として、SDIOインターフェースを持つ『BCN94317SD』、CFインターフェースを持つ『BCN94317CF』、背面にBluetoothモジュールを追加して無線LANとBluetoothの2つの無線通信機能を実現する『BCN94317SB』の3製品が発表されている。