日本アイ・ビー・エム(株)は20日、ウェブアプリケーションサーバー“WebSphere”シリーズの最新版『IBM WebSphere Application Server V5.0.2』(以下WAS5.0.2)と、Java/ウェブ統合開発環境の最新版『WebSphere Studio V5.1』(以下WS5.1)を発表した。発売日はWAS5.0.2が同日、WS5.1が29日。
ソフトウェア事業WebSphere技術部長の早川ゆき氏 |
価格はWAS5.0.2が135万円、アプリケーション開発用の『WebSphere Studio Site Developer V5.1』(以下WSSD5.1)が14万3000円、開発に加え、パフォーマンス分析なども行なえる『WebSphere Studio Application Developer V5.1』(以下WSAD5.1)が62万円。価格は、IBMソフトウェアのボリュームディスカウント“パスポートアドバンテージ”の“パスポートアドバンテージ・エクスプレス(PAX)”を適用した場合のライセンス料金(1年間のバージョンアップ、保守料金を含む)。
IBM WebSphere Application Server V5.0.2
WAS5.0.2の特徴は、サーバーのCPU負荷を見て、次のサイクルで各サーバーにどの割合でリクエストを割り振るのかを決定する“動的ワークロード管理”、緊急時にクラスターを切り替える自動フェイルオーバーに対応した“バックアップ・クラスター機能”、新SOAPエンジンの採用によるウェブサービス実行のパフォーマンス向上、異なるベンダー間のSOAPエンジンの相互接続性を向上させるための仕様“WB-I Basic Profile 1.0”のサポートなど。
WS-Securityの利用例。SOAPのヘッダーにユーザーのログイン情報を載せて運んでいる |
ウェブサービス用の新機能には、SOAPのヘッダー部分にセキュリティーのための情報を埋め込み、シングルサインオンなどにも利用可能な“WS-Security(ドラフト準拠)”、ウェブサービスをJ2EEの定義の中に含め、J2EEアプリケーションとして実行/管理可能にするという新規格“JSR109(Web Sevices for J2EE)”の実装などが用意された。
発表会に出席した、ソフトウェア事業WebSphere技術部長の早川ゆき氏は「これまではテクノロジープレビュー扱いだった各種技術を実装することで、セキュリティーも向上した。より信頼性の高いウェブサービスの実現で、ウェブサービスはJ2EEと同じように実用段階に入った」と述べ、今後ウェブサービスがカバーする分野が拡大することを示唆した。
SOAPエンジンの速度比較 |
また、Apache SOAP 2.3 Web Services Engineから、SAX(Simple API for XML)ベースに変更された新型エンジンは、WebSphere Application Server V4.0ベースの環境と比較して20%以上の高速化が果たされているという(同社調べ)。
対応プラットフォームは、Windows 2000/NT、Windows Server 2003、AIX、Solaris、Red Hat Linux、SuSE Linuxなど。前バージョンの対応プラットフォームに加え、Linux on iSeries/pSerieもサポートすることで、同社のサーバー“@Server”全モデルのLinuxへの対応が完了した。
WebSphere Studio V5.1
Javaコードからクラス図を生成 |
WSSD5.1は、Javaやウェブアプリケーション、ウェブサービス、XML、RDBなどの開発環境と、ウェブサイト/ページデザインソフトを1つにまとめた統合開発環境。WSAD5.1では、前述の機能に加え、Javaコードからクラス図を生成し(またはその逆)、コードの可視化やクラス図作成の労力削減を行なえるUML(Unified Model Language)ビジュアライゼーションソフトや、パフォーマンス分析、コンポーネントテストツールなどを追加したパッケージ。
対応プラットフォームは、Windows 2000/NT、Windows Server 2003、Red Hat Linux、SuSE Linux。
移行支援サービス
また同社は、『WebSphere Studio V3.0/V3.5』、および日本BEAシステムズ(株)のウェブアプリケーションサーバー『BEA WebLogic Server 5.1/6.1』(最新バージョンは8.1)からの移行支援サービスを開始することも発表した。
ソフトウェア事業WebSphere事業部長の山下晶夫氏 |
ソフトウェア事業WebSphere事業部長の山下晶夫氏は、「移行ツールにはWSAD5.1を使い、移行後顧客はそのままWSAD5.1でサイト/サービスを開発することができる」と述べ、同社のスペシャリストからWSAD5.1を使った移行のスキル・ノウハウを獲得することで、移行後の開発にも役立つことをメリットとして挙げた。なお、移行サービスの件数・売上高については非公開とした。