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OSCARアライアンス、“2002年オープンソース・ビジネス・アワード”の受賞者を発表

2002年12月19日 00時00分更新

文● 編集部

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OSCARアライアンスは、オープンソースの普及、啓蒙に貢献した個人、団体、企業を表彰する“2002年オープンソース・ビジネス・アワード”受賞者を発表し、18日に表彰式を行なった。

表彰式のもよう
“2002年オープンソース・ビジネス・アワード”表彰式。OSCARアライアンス会長の堀内英紀氏(左端)から、(株)ダブリュー・ディー・アイ 管理本部 情報システム部 部長の杉山弘高氏(中央)にトロフィーが、同社営業本部 資材部 マネージャの戸田和人氏(右端)に記念品が授与された。

第1回にあたる今回は、8件の応募があり、その中から2件の受賞が発表された。受賞団体と選考理由は以下のようなものだ。

(株)ダブリュー・ディー・アイ
同社の運営する“カプリチョーザ”や“Hard Rock Cafe”などのレストランチェーンに、1999年に公開されたオープンソースの受発注システム『Cervesa』を導入し、現在では直営店および取引先計124社で利用していること、また、自社向けに作成した操作マニュアルを公開するなど、『Cervesa』の普及、促進に貢献したことから、オープンソースを積極的かつ有効に利用している企業として表彰された。
(社)日本医師会総合政策研究機構
日本医師会のシンクタンクとして、医療現場のIT化を促進するための“日医IT化宣言”に基づき、オープンソースのレセプトシステム『ORCA』を推進しており、医療機関のレセプトシステム導入コスト削減に貢献したこと、医療機関向けのシステムであることから、GPLではなく利用に制限を設けたライセンスを作成し、運用面にも配慮したことから、医療におけるオープンソース活用の先進事例として表彰された。

表彰式ではまず、OSCARアライアンス会長である、(株)ビジネスブレイン太田昭和 取締役社長の堀内英紀氏が挨拶し、海外と日本ではビジネスの意志決定の速さに差があると語った。

(株)ビジネスブレイン太田昭和 取締役社長の堀内英紀氏
(株)ビジネスブレイン太田昭和 取締役社長の堀内英紀氏

堀内氏は自身の体験をもとに、米国の政治家や経営者は自分のビジネスに関わるリスク情報を得ると、問題解消のために素早い行動をとることを紹介。日本政府の取り組みなどが話題になっている一方、米国と比べて意志決定に時間がかかることを指摘し、「我々は民の立ち上げでオープンソースを進める」「来年には草の根の動きが大きくなるだろう」と語った。

引き続き、受賞者の発表を(株)日経BP 主席編集委員である北川賢一氏が行なった。

株)日経BP 主席編集委員である北川賢一氏
株)日経BP 主席編集委員である北川賢一氏

北川氏は米IDCの調査結果などから、来年にはLinuxがUNIXを追い越すとし、今回の“2002年オープンソース・ビジネス・アワード”について「時宜を得ている」と挨拶。受賞者の発表と選考理由の説明を行なった。

(株)ダブリュー・ディー・アイの営業本部 資材部マネジャーである戸田和人氏は、『Cervesa』導入について「我々は飲食業であり、特にオープンソースに関係があったわけではない」としながらも、『Cervesa』については「同業他社が利用していたので信頼して導入できた」と挨拶した。

(株)ダブリュー・ディー・アイ 営業本部 資材部マネジャーの戸田和人氏
(株)ダブリュー・ディー・アイ 営業本部 資材部マネジャーの戸田和人氏

戸田氏はまた、飲食業界のシステム導入について、「顧客によりよいサービスを提供することとシステムは別」であるとし、「システムについては(同業他社との)横の連携は当たり前で、このような考え方はオープンソースの考え方とも近いのではないか。こういったコラボレーションする事例が今後増えて行くことで面白い世の中になれば」との考えを示した。

戸田氏に『Cervesa』導入に際しての問題点をうかがったところ、「『Cervesa』があるのを知っていても、実際に導入する時にどこに頼めばよいのかがわかりにくい。今回我々はは(株)テンアートニとのつながりがあったから導入が可能になったが、そうでないとなかなか難しいのではないか」とのことだった。また、(株)ダブリュー・ディー・アイ 管理本部 情報システム部 部長の杉山弘高氏は、「これまでシステムを購入してきたSI企業との関係もあるため、簡単にシステムを入れ替えるということはできない。今回はASP契約であったから、比較的スムーズにシステムを移行できた。SI企業がオープンソース導入に積極的にならないと、システムを導入する顧客だけではオープンソースを推進するのは難しいのではないか」という問題点を指摘していた。

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