松下電器産業(株)は、松下グループの総合情報受発信拠点“パナソニックセンター(Panasonic Center)”(所在地:東京/有明)を14日にオープンするが、本日6日に関係者向けの事前見学会を行なった。
14日にオープンする“パナソニックセンター”(東京都江東区有明2-5-18)。延床面積は1万5788.65平方メートル(約4800坪)で、本棟と別棟(有明スタジオ)の2棟構成(写真は本棟)。フロア数は本棟が地上4階、有明スタジオが地上2階。総工費は土地代を含めて150億円。開館時間は11時~18時(カフェは11時~19時)、休館日は毎週月曜日と年末年始。入場料金は無料(ミュージアムは有料) |
パナソニックセンターは、同社の21世紀における事業ビジョンである“ユビキタスネットワークの実現”と“地球環境との共存”を具現化する拠点として開設されるもの。全館にギガビット光ネットワークを構築し、外部との接続はメトロイーサネット(100Mbps)を利用。また、施設内の各所に高精彩大型映像装置を設置し、コンテンツ配信センター内で制作/編集/エンコード処理されたHD映像をIPネットワーク経由で配信する。
建物外壁のうち、左側のグレーがかって見える部分が“アストロウォール”。同センター建物のガラス外壁の内側に設置された横長L字型映像表示装置で、室内からの視界を遮らず、自然光をとりいれながらの映像表示が可能。公共情報やオリジナル映像を映し出すことで、有明地区の情報発信機能のひとつとして活用できるという |
パナソニックセンターのネットワーク概念図 |
また地球環境への取り組みとして、同センターでは太陽光や風力などの自然エネルギーを活用しており、消費エネルギーを従来の施設より31.4%削減できるという。また、雨水/中水の利用による水資源の有効活用、使用済み家電製品をリサイクルした建材の採用、生ごみ処理などを行ない、廃棄物の削減も図っている。
“ハイブリッドタワー風かもめ”。風力発電と太陽光発電を組み合わせ、商用電源を不要にした独立型照明システムで、パナソニックセンターを囲むように設置されている。最上部に太陽光パネル、その下にサボニウス風車(薄紫色の羽部分)を装備しており、発電部の下に蓄電池と照明(風車の下の白い部分)がある |
1F“デジタルネットワークショウケース”は、松下グループの最新デジタルネットワーク技術/製品/サービスを実稼動で提案するフロア。DVDやSD対応機器、モバイル機器、ディスプレーといったパナソニックブランドの最新機種を体験できる。
デジタルネットワークショウケース |
パナソニック最新製品サービスの体験スペース |
“クリエイティブラボ”。AVC機器による映像の編集や音楽のダウンロード、モバイル機器の使いかたなどを紹介するラボ&セミナースペース |
“デザインギャラリー”。新たなデザインスタイルを来場者と共に創造していくことを目的としたデザイン展示スペース |
また、任天堂(株)とのコラボレーションによるエンターテインメント体験スペース“Nintendo Game Front”がある。同スペースは、松下のデジタル機器を利用して、任天堂の最新ゲームを無料で楽しめるスペース。『ニンテンドーゲームキューブ』や『ゲームボーイアドバンス』、松下のDVD/ゲームプレーヤー『Q』で新作ソフトをプレイできる。また、ゲーム画面の表示には松下のプラズマディスプレーパネルや液晶テレビ、高精細ビデオプロジェクターを利用しており、大画面でのゲームプレイが可能となっている。
Nintendo Game Front |
Nintendo Game Frontでは、任天堂の新作ゲームを体験できる。従来のゲーム体験イベントのように立ったまま試遊台でプレイする形式とは異なり、体験コーナーはすべて椅子付き。家族でゆっくりゲームを楽しめるような空間にしたという |
デモコーナーでは、DVDホームシアターサウンドシステムによる臨場感溢れる音と、液晶プロジェクターによる迫力ある映像を楽しめる。空いている場合は、このデモコーナーで体験プレイも可能という |
さらに、(株)ダウンロードステーション、ネスレジャパングループとのコラボレーションによるブロードバンドカフェ“E-FEEL(イーフィール)”も設置されている。E-FEELは、パナソニックセンター内で唯一ドリンクや軽食を楽しめるスペース。カフェ内に据え置きのパソコンでは、ブロードバンドインターネットを体験可能。また、他のネットワークで使用しているパソコンを設定変更せずに施設内ネットワークに接続できる“ゼロコンフィグレーションシステム”を採用しており、来場者が自身のパソコンを持ち込んでも、面倒な設定をせずにブロードバンド接続を行なえるという。そのほか、NTTドコモの公衆無線LANサービス“Mzone”も提供する。カフェ内のディスプレーや据え置きパソコンでは、ダウンロードステーションが提供する各種コンテンツを閲覧可能。
ブロードバンドカフェ“E-FEEL” |
カフェ内の据え置きパソコンコーナー |
2F“くらし・環境ショウケース”は、ネット家電や暮らし/環境サービスなどを利用した新しい生活スタイルを体験できるフロア。その中にある“Future Life-Style Lab.(フューチャーライフスタイルラボ)”は、近未来(2005~2010年)の暮らしかたを提案し、来場者と共に新たなライフスタイルを想像していくための実証実験スペースで、さまざまなネット家電を実際に体験できる。
“Future Life-Style Lab.(フューチャーライフスタイルラボ)”内にいるコミュニケーションロボット。対話機能を搭載し、家族間のコミュニケーションを円滑に保つためのとりつぎ役となるロボットで、家族間の伝言を保存したり、各家電機器の作業状況を報知したりできる。例えば、冷蔵庫のドアが一定時間以上開いていると「冷蔵庫のドアが開いてるよ」と教えてくれる |
「かわいい」と声をかけると、「テレチャウナ~」と恥ずかしそうにする |
写真左の端末は“Kステーション”。ホームサーバー内のコンテンツやインターネットからの情報を検索できる家庭内情報端末の中核となるもの。椅子に座りながらタッチパネル形式で操作可能 |
テーブルミキサー(右)とテーブルレンジ(左)。テーブルに内蔵されたIHにより、コードレスで利用できるミキサーと電子レンジ。ミキサーはそのまま電磁波で稼動、電子レンジは電磁波を電気に変換することで動作するという |
近未来のトレイ“健康トワレ”。トイレを使用すると、機器が自動でその人の健康管理してくれるシステムで、体重や体脂肪、潜血、蛋白を自動検出する。また、トイレに入るときにその人の身長を検知して、便座の高さを自動調整する。そのほか、検出結果を専門医師宛てに送信することで、健康に関するアドバイスも受けられる |
“エコステーション”では、松下グループおよびパナソニックセンターの環境への取り組みを紹介するスペース。写真は太陽光発電による現在の発電電力を示したもの。本日は雨天のためほとんど発電されていないが、天気の良い日は目盛りの半分以上にまでなるという |
“リビングプラザ”。キッチンやバス等の製品や暮らしに関するサービスを提案する設備ショウルーム |
1Fと3Fにある“林原自然科学博物館 Dinosaur FACTory(ダイノソアファクトリー)”は、林原自然科学博物館(岡山市)の恐竜研究の成果や標本と、松下電器の最先端IT技術を融合させたデジタルネットワークミュージアムで、実動事業運営施設として展開される。入館料は大人800円、中人400円、小人200円。
デジタルネットワークミュージアム“林原自然科学博物館 Dinosaur FACTory(ダイノソアファクトリー)”。入口は1Fにある |
ブラキオサウルス・アルティソラックスの標本は全長25m、高さ12mで、1Fから3Fまで吹き抜け展示されている。写真は4Fから見た様子。ちょうど3F部分に頭部がある |
3F部分。頭部が出迎えてくれる |
同館は、“展示物に対する来館者ひとりひとりの興味や見学ペースに対応した情報提供の実現”を目的に、携帯情報端末(PDA)とBluetooth、ウェブサイトを利用したミュージアムシステムを構築している。見学者がPDAを持って展示場に入るとPDA画面にそのコーナーの地図が表示され、各展示物横に設置されている専用ポールの近くに来ると、その展示物の解説が自動的に再生される仕組み。
また、館内には遠隔操作可能なカメラが設置されており、PDAでカメラを操作することで恐竜との記念撮影が可能。撮影した画像はPDAで確認できる。さらにこれら記念写真などのPDAの履歴情報はシステムにアップロードされ、専用ホームページにそのユーザーの個人ページを生成、ユーザーは家や学校などから自身の個人ページにアクセスして履歴情報や写真を閲覧できる。
専用のPDAとヘッドフォンのセットを装着することで、ミュージアムシステムが提供する展示物の情報を得ることが可能 |
ティラノサウルス・レックス全身骨格標本。写真左のポール付近に立つと、ティラノサウルスの情報がPDA上で再生される |
4F“ビジネスプレゼンテーションショウケース”は、企業ユーザー向けに松下グループのビジネス関連事業を紹介するスペース。なおこの4F部分はビジネスユースのため、一般ユーザーには公開されない。
4Fビジネスプレゼンテーションショウケースの“システムソリューション”コーナー。同社のパブリックビジネスにおける製品システムをデモを交えて紹介するゾーン(一般非公開) |
コアシステム&テクノロジーについて実機展示を中心に紹介するゾーン(一般非公開) |
コンテンツ配信センター。コンテンツを制作、蓄積し、パナソニックセンターの館内外へ配信するシステムで、実稼動状態で展示している(一般非公開) |
201X年の暮らしを体験できる“フューチャーコミュニケーションスタイル”。コミュニケーションの未来形を実証実験するゾーンで、写真は未来の書斎をイメージした展示。椅子の前にある端末を操作することで、さまざまな情報を閲覧できる(一般非公開) |
別棟の“有明スタジオ”は、最新デジタル収録システムを利用して、ブロードバンド向けコンテンツの収録や次世代サービスの実験を行なえる本格的な収録スタジオ。Aスタジオは、地上波デジタル放送に向け、HD/SD双方に対応するデジタルスイッチャーを導入しており、HD/SDどちらの収録、生放送も可能。150坪のスタジオ空間でバラエティーや音楽番組、ドラマなどを収録できる。Bスタジオは、epやCATV向けの番組収録が可能なSDスタジオ。30坪のスタジオと、PCバーチャルスタジオシステムを装備する。同社は吉本興業とのコラボレーションにより、ブロードバンドによる参加型双方向エンターテインメントサービスの実証実験を行なう。また両社は、スタジオを運営する新会社を設立するとしている。
別棟の有明スタジオ |
同社専務取締役の田中宰氏は、「パナソニックセンターは、当社の21世紀における事業ビジョンである“ユビキタスネットワーク社会の実現”と“地球環境との共存”を具現化するための世界に向けた総合情報受発信拠点であり、コラボレーションハブだ。最新ネットワークテクノロジーを全館に導入、ユビキタスネットワーク社会を見据えたみすえたさまざまなシステムを実稼動展示し、実証実験を行なう。また、環境エネルギーへの取り組みも提案していく。“未体験の夢と快適を、あなたの声と創りたい”がセンターのテーマ。可能な限り、見て触って実体験できるよう工夫を凝らしている」
「パナソニックセンターは、既存のショールームと異なり“受”に力を入れる。従来ショールームは発売した商品を見て、買ってもらうためのPRの場だが、パナソニックセンターの展示物の多くはまだ商品化されていないもの。技術の可能性やわれわれの思いを展示物を通じて来場者に受け取ってもらい、それに対する来場者の声を聞きたい。来場者とのコラボレーションを通して新しい価値を創造したい。来場者と共に考え、人々の意見を集めて実証実験を重ね、その成果を新たな製品やサービスに反映し、世界に発信していく。来場者と共に創造する感動を味わえる場にしたい」としている。
左から、パナソニックセンター所長の光澤彬氏、松下電器産業専務取締役の田中宰氏 |
なお同社は、14日と15日にパナソニックセンターのオープニングイベントを開催する。14日と15日にはBSフジの情報バラエティー番組『ヤングライブニッポン』の公開生放送が行なわれるほか、14日19時からはavexアーティストたちによるスペシャルライブ、15日18時からはBSフジのオークション番組『史上最大のオークションショー』の生放送がそれぞれ実施される。