突然、PCパーツショップ店頭に“樹脂用染料”と記された小瓶が並び始めた。見るからにPCパーツとは関係なさそうな化学薬品然とした外観の小瓶の中に入っているのは、CD-ROMドライブなどの光学ドライブやFDDといったデバイスのフロントパネルが用いている合成樹脂を黒く染め上げる液体だ。これは大阪化成品という企業製で、日曜大工ショップなどで販売されているものだが、パーツショップに並んだのはおそらく今回がはじめて。
小瓶に付いてくるペーパーによれば、
- 染色するプラスチックに付着している汚れや油をキレイに落とす。
- 染色対象の素材が十分に浸る分だけ、小瓶の中の原液と水を1:20の割合で混ぜ合わせる。
- 混ぜた液体を、鍋に入れて火にかけ温める。
- 染色対象の素材を染めるに適した温度になった状態になったら、火力を弱めて染色対象の合成樹脂(プラスチック)を液体の中に漬ける。
- 染色対象の素材を液体の中で数分転がす。
- 引き上げてみて、染まっていたらすぐに水で洗い、布で軽く拭いて自然乾燥させる。
…という、まるで小中学校の理科や家庭科のような工程を経ると、プラスチックを見事に染め上げられるという。(4)(5)の温度や漬ける時間によって濃さを調整できるようで、ペーパーには“アクリル系やナイロン系などは70℃程度で3~5分”といったように、それぞれのプラスチックに応じて何℃で何分ほど染めればいいかが記されている。ちなみにドライブ類のフロントパネルはグラフト共重合体の“ABS樹脂”を採用しているものが多いが、さすがにPC用ではないため、ズバリ何℃で何分染めればいいのか説明はなく、実際に試行錯誤してみるほかない。
染め方や染めた後についての注意も書かれている。やすりなどでこすると取れてしまうそうだ |
黒いPCケースというのは昔から人気があり、最近はデバイスベンダ側で黒いパネルを用意している場合もあるが、なかなかすべて黒いドライブで揃えるのは難しい。それだけに黒いPCケースを持っていて、すべて真っ黒に統一したい場合には重宝しそう。ペーパーにはこのほか赤、青、黄、緑、橙、茶、空、桃、紫と合計10色のラインアップがあり、これらの登場を期待する声が出てくるかもしれない。
価格は若松通商PS/PLAZAで780円。安価で手を出しやすい一方、決してPCデバイス向けの製品ではない点には注意が必要だ。同店ではキレイに染まらなくても保証はしないとしているほか、ペーパーには「染色液の臭いがキツいので、換気に気を付ける」「洋服に付かないよう気を付ける」といった使用上の注意も書かれているので、これらを読み、自己責任で行動できる大人向けのアイテムと言えるだろう。
ペーパーに書かれている各種注意書き |