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オーバーチュア、広告費に応じて表示順位が変わる広告型検索サービスを2003年Q1に開始

2002年06月27日 20時34分更新

文● 編集部 佐々木千之

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オーバーチュア(株)は27日、都内で記者発表会を開催し、スポンサーの広告費に応じて表示順位が変わる広告型検索サービス“スポンサード・サーチ・サービス”を2003年第1四半期に開始すると発表した。このサービスはオーバーチュア自身の検索サイトのほか、ポータルサイトを通じて提供の予定で、“goo”を運営する(株)エヌ・ティ・ティ エックス(NTT-X)および“Lycos Japan”を運営するライコスジャパン(株)とのパートナー契約を同時に発表した。

オーバーチュア(株)は、2002年1月に米オーバーチュアサービス(Overture Service)社が100%出資による日本法人として設立。米オーバーチュアは1997年設立の企業で、当初は検索エンジン“GoTo.com”を運営していたが、“Pay-for-Performance”と呼ぶビジネスモデルに基づいたスポンサード・サーチ・サービスを1998年に開始、2001年10月にはドメインを“www.overture.com”に変更している。

米オーバーチュアサービス社長兼CEOのテッド・マイゼル氏
米オーバーチュアサービス社長兼CEOのテッド・マイゼル氏

米オーバーチュアはこれまで、米国に続いて2000年に英国、2002年2月にドイツでスポンサード・サーチ・サービスを開始、2002年第3四半期にはフランスでも開始の予定。アジア太平洋地域では日本が初の進出先となる。

オーバーチュアが提携している米Yahoo!における、スポンサード・サーチ・サービスの表示例
オーバーチュアが提携している米Yahoo!における、スポンサード・サーチ・サービスの表示例。通常の検索結果はこの下に表示されている

オーバーチュアのスポンサード・サーチ・サービスは、パートナーサイトにおいて一般ユーザーが検索を行なった際に、検索結果表示画面の上部に(通常の検索とは別に)該当の検索キーワードに合致する企業サイトを表示するもの。このスポンサード・サーチ・サービスの表示順序は、スポンサーとなる企業が各キーワードごとに行なう入札で、高い価格を付けた順が基準になる。この入札価格はユーザー1人が表示結果をクリックしてその企業サイトを訪れたときにオーバーチュアに対して支払う金額となっている。

オーバーチュアのクリック数と平均入札価格の推移グラフ
オーバーチュアのクリック数と平均入札価格の推移グラフ。これをかけたものが売り上げになるという

2002年第1四半期における1クリックあたりの平均入札価格は0.24ドル(約28.8円)。日本では最低入札価格を25円に設定する予定という。すでに欧米で開始しているサービスでは、スポンサー企業は約6万社、2002年第1四半期に約6億クリックを集めたとしている。

スポンサー企業がオーバーチュアに支払う広告費は、一般ユーザーが自社サイトリンクをクリックして訪れない限り発生しない(※1)ため、広告予算が少ない中小企業でも効果的なインターネット広告を出せるメリットがあるという。オーバーチュアのスポンサード・サーチ・サービスの検索結果は、各企業が設定したキーワードと企業が提供する情報の適合性をオーバーチュアがチェックし、校正したサイトタイトルと説明を最終的が表示されるので、高品質なサービスを提供できるとしている。

※1 スポンサード・サーチ・サービスを利用したい企業は、最初に1万円を支払う必要があるが、一種のプール金で、一般ユーザーがサービスを通じて該当企業のサイトを訪れるごとにこの1万円から料金が徴収される。登録料や月額基本料などは徴収しないという。

米オーバーチュア社長兼CEOのテッド・マイゼル(Ted Meisel)氏は、アジアのインターネット人口が2003年に欧米を追い抜くというデータや、日本のB2C市場が急速に拡大しているデータを示し、「アジアはエキサイティングな市場だ。ADSLの普及によって一般のユーザーが日常的にインターネット検索を利用するようになり、インターネットショッピングも増加する」と期待を示した。

オンラインショッピングのきっかけとしては“検索結果”が効果的だという
オンラインショッピングのきっかけとしては“検索結果”が効果的だという

オーバーチュアのスポンサード・サーチ・サービスは、一般ユーザー(消費者)がある商品を購入しようとしたときに、ポータルサイトなどでその商品情報を探すという行動をとることが多いことや、検索結果のうち上位にあるものほどクリックされる傾向にあることをうまく利用したサービスだ。

スポンサード・サーチ・サービスのメリット
オーバーチュアのスポンサード・サーチ・サービスは、広告主、一般ユーザー、ポータルサイトにそれぞれメリットがあるとしている

インターネット広告として一般的なバナー広告は、ユーザーの目に触れた回数+クリックして訪れた人数によって広告費が決められている場合が多いが、ある程度まとまった資金(広告費)が必要で、スポンサーは比較的大企業の割合が高い。これに対してオーバーチュアのサービスでは、実質的に効果(クリック)がない限り料金が発生しないため、少額の予算で試験的に利用することもできる。このため、これまでインターネットサイトを使って販売を行なっていながらも、インターネット広告は打っていなかった中小規模の事業者の利用が期待できるサービスと言える。事実、同社のスポンサー企業6万社のうち中小企業が大きな割合を占めるとのことで、日本でも中小企業がポイントだとしている。

オーバーチュア(株)代表取締役社長の鈴木茂人氏
オーバーチュア(株)代表取締役社長の鈴木茂人氏

1つ問題となるのは、どれだけの一般ユーザーの目に触れる形でスポンサード・サーチ・サービスを提供できるかということだ。オーバーチュア代表取締役社長の鈴木茂人氏は、今回発表したNTT-Xとライコスジャパンとの提携のほか、さらにパートナーを増やすとしており、“Yahoo!”や“excite”“@nifty”“BIGLOBE”“So-net”などのポータルサイト/ISPに対して交渉すると思われるが、このうちどのくらいと提携できるかが日本での成功の鍵になるだろう。

オーバーチュアの欧米でのパートナー
オーバーチュアの欧米でのパートナー

記者発表での質疑応答では、“Google”との比較も出たが、「Googleも最近スポンサード・サーチ・サービスに近いサービスを開始したが、我々には4年間の経験というアドバンテージがある」(マイゼル氏)と自信を見せた。

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