日本アイ・ビー・エム(株)は21日、米IBM社が現地時間の20日、ナノチューブ・トランジスターの開発に成功したと発表した。カーボン・ナノチューブは、炭素原子で構成された髪の毛の5万分の1の直径の円筒状分子。
カーボン・ナノチューブを利用したCNFETの構造 |
同社の研究チームが開発したのは、トランジスターの高速化に必要な相互コンダクタンス値(導電性の尺度)が世界最高というカーボン・ナノチューブ・トランジスター“CNFET(carbon nanotube field effect transistor)”。従来のMOS型電界効果トランジスター(MOSFET)に類似した構造を持ち、伝導チャネル上のゲート電極とチャネルを薄い誘電体で分離させることで、単層壁のCNFETを形成したもの。トランジスターのオン/オフに必要な感度や低電圧時の高相互コンダクタンスなどですぐれた電気特性を示したとしており、単位幅あたりの相互コンダクタンスが、シリコンを利用した現在最高性能のトランジスター(プロトタイプ)の2倍以上という。将来のシリコン・トランジスターに代わる素子として現実的な選択肢になるとしている。