●メモリ電圧を高くしてみる
GA-8IRXPに標準で装備されたDIMM電圧設定画面。規定電圧に+0.3Vまで昇圧可能だ |
メモリベースクロックを266MHzにセットした場合の動作は、PC2700スペックDIMMを使用することである程度の改善が見られたものの、CPUの限界をドライブするところまで到達しなかった。ならばとメモリ電圧を高くしてさらなるオーバークロックを試みる。言ってみればこれが最後の切り札だ。ありがたいことに、GA-8IRXPは規定メモリ電圧に対して最高+0.3V(0.1Vステップ)のメモリ電圧が設定可能である。目標のクロックまであともう少しだ。ここは一気に+0.3Vをセット。その結果、先のテストで突き当たったメモリクロック310MHzの壁を突破し325MHzの動作を実現するに至った。メモリクロックだとたかだか15MHzのアップではあるが、これはFSB設定クロックで言うと122MHzに到達しておりCPUは2.44GHzで動作していることから、概ね目標値に相当するクロックと言っていいだろう。
このようにあの手この手を駆使した結果、266MHzのメモリベースクロックでCPUをフルにドライブできる準備が整った。おそらくこのシステムにおけるベスト・パフォーマンスが得られるハズだ。その結果は各ベンチマークスコアの表を参照していただくとして、今回のターゲートとなっているライバルマシン(AthlonXP)のデータ、特に3D関連についてはビデオカードのグレードが異なっている。さらにOSも違うことから改めて同じ条件でベンチマークテストを実施した。したがってそれぞれのスコアはそのまま比較できる値であることを付け加えておく。
テスト条件一覧表
テスト4 | テスト5 | EP-8K7A | |
---|---|---|---|
CPU | Pentium4 2.0AGHz | Athlon XP 1500+ | |
FSB設定クロック | 123MHz | 122MHz | 155MHz(×10.5倍速) |
CPUクロック | 2.46GHz | 2.44GHz | 1.62GHz(実クロック) |
メモリクロック | 246MHz | 325MHz | 310MHz |
コア電圧 | 1.75V | 1.75V | 1.85V |
メモリ電圧 | +0V | +0.3V | +0.4V |
AGP電圧 | +0V | +0.3V | - |
CAS# Latency | 2 | 2 | 2 |
Activate to Precharge delay | 5 | 6 | 4 |
DRAM RAS# to CAS# Delay | 2 | 2 | 2 |
DRAM RAS# Precharge | 2 | 3 | 2 |
DRAM Idle Timer. | 0 | 8 | - |
SDRAM PH Limit | - | - | 8 |
SDRAM Idle Limit | - | - | 8 |
SDRAM Trc Timing | - | - | 6 |
Super Bypass Mode | - | - | Enabled |
さて、ベンチマークテストの結果を比較してみると当初、圧倒的に開きがあったSuperπの計算時間であるが、こちらの表から、テスト4の計算時間はAthlonXP1800+に相当しており、テスト5の条件ではAthlonXP1900+より速い数値となっている。しかしAthlonXP1500+をオーバークロック状態で動作させた場合に比較すると、やはり1ラップ以上の遅れ(時間にして5秒)をとってしまう。この辺りは、整数演算が得意なAthlonXPに歩があるようだが、ウカウカとはしていれない状況かも知れない。一方、3D系ベンチマークテストの結果をみるとPentium4は先の整数演算での遅れを取り返すかのごとくAthlonXPのベストスコアを抑え、特に3D mark 2001では顕著な差をもたらしている。
これらの結果からNorthwoodコア版Pentium4はライバルマシン(AthlonXPシステム)のパフォーマンスに十分わたりあえる素質があると言えるだろう。無論、個体差によって各々のクロックマージンに余裕があればもはやAthlonXPは道を譲らなければならない。ただ、「あともう少しクロックが上がってくれたら…」。今回はそんな印象を抱いたオーバークロックテストであった。