――開始当時の苦労などがあればお聞かせください。
まず内部的には出版社でないこと。“情報を発信する”ことへのノウハウがまったくない状態から手探りで始めなければならなかったのが大きいです。
また、秋葉原のショップとの繋がりもなかった。だから最初は、これはみんな夢見るんですが(笑) ショップさんから価格情報をファクスしていただいて更新しようと思っていました。ただ、やっぱり毎週定期的に…となると、何らかの事情で遅れたり、届かなかったりと成り立たない。それで実際に店頭で調査させていただくわけですが、最初は不審がられたりもしました。店長さんへは話が通っていても、現場の方までは…。現在はスーツを着て回っていますが、最初は私服だったもので、本当にアヤシい。こちらも最初ははじめてですから周りの目を気にしつつドキドキするじゃないですか。こそこそと、逃げるように(笑)
あとは単純に断られたり、ですね。当時ですからページビューじゃなくヒット数聞かれて、申し訳ないが仕事に差し障るのでと断られたことが何度かあります。後になって以前断られたショップから「ぜひ来てほしい」とお願いされたこともあります(笑)
それからこれは笑い話ですが、ロシアとかから「売ってくれ」っていうメールが今も来たりします。ウチは販売サイトではないと断りを入れているのですが、価格情報メインだから勘違いする人は結構いますね。
――現在、エルミタージュ秋葉原のスタッフは何名なのですか？
常時関わっているスタッフは3～4名です。メインは私と古賀で、大量のデータ処理が必要な金曜日などには1、2名増えます。実際に秋葉原を回っているのは基本的に私ひとりです。
――何店舗回っているのですか？
うーん、覚えてない(笑) ………(実際に店名を挙げて指折り数え)14、5店ですね。私自身が慣れたのもあって、開始当初の倍程度にはなっているんですが、それでもこれ以上増やすと、価格情報を控える際の時間的なタイムラグがかなり出てしまうんですよ。その日のうちに価格が変わってしまうので…。現在も、昼12時過ぎから閉店までと、ほぼ時間いっぱいかかっていますし、これ以上は難しいかもしれません。どうしても似たような価格になる系列店よりも別のショップの方が、読者のみなさんも見たいと思うので、現在回っていないショップさんを今後は開拓していきたいんですが。
――ショップを回る順番というのはあるのですか？
決まったルートがありますね。夕方遅くなって新製品を入荷することが多いショップを後半にまわしつつといったところです。ショップさんには「もっと遅く来てほしい。1番最後に来てほしい」という要望をいただくこともあるんですが、それにすべて応えて行くと、あっち行ったりこっち行ったりになってしまいますから「申し訳ないんですが」と。
――帰社してから更新作業に入るわけですが、それにはどの程度かかりますか？
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| 5年間かけて作り上げ、能率の向上に役立ったチェック用の価格表。増田氏はこれを持ってアキバへ行く |
帰社して、始めるのがだいたい21時頃。それで、0時から…遅くとも深夜1時までにはすべての更新を終了するようにしています。価格データの処理作業能率が5年かけて飛躍的に向上したので、ショップが増えてパーツの種類が増えても対応できています。最初の1年は、慣れてないですから全部終わったら午前4時とかになっていましたね。「調べたデータをいかに早く上げるか」にすべてを賭けています。特に金曜日、あらゆるサイトの中でもっとも早く価格表を上げることで「土曜日に秋葉原へ出かける人が前日のうちに価格チェックできる」のを最重要視しています。
――価格表の入力にはどれくらいかかるのですか？
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| “増田氏にしかわからない”メモ書きの数々。差詰め「増田フォーマット」といったところだ |
CPUなりHDDなり、どれでも1項目あたり30分くらいですね。それで、できあがり次第順次アップロードしていくという。たぶん他の人には理解できないだろうメモ書きをベースに処理していくとそれくらいで終わります。
――入力用端末のスペックというのは…
端末はテキスト処理だけですからね。たいしたスペックではありませんよ。1台はWinChipで動いてます(笑) たまに「Pentium 4使いたいんですが、これこれと相性はありますか」とかいったメールを読者からいただくんですが、使ってないからわからない(笑)
――月曜日に価格情報を更新する理由は？
法人さんは土日に買いには行きませんよね。また、月曜日から木曜日まではそれほど価格が動かない。そういった意味で、ある程度長く使える価格情報を求める人に応えた格好です。
