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スピーチワークス、日本法人設立を発表――音声認識、音声合成の普及で

2001年11月16日 19時49分更新

文● 編集部 中西祥智

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米SpeechWorks International(スピーチワークス)社は15日、記者発表会を開催し、日本法人である“スピーチワークス・ジャパン株式会社”の設立と、日本における事業の本格展開を発表した。

米スピーチワークスは、音声認識や音声合成など、音声によるインターフェースを開発し、通信事業者向け、またCRMおよびボイスポータル向けに販売する企業。以前より日本でもサービスを提供してきたが、パートナー企業のニーズに応えるため、2月2日に日本法人を設立し、夏ごろより本格的に稼動させたという。

まず、音声認識の利点について、米スピーチワークスのスチュアート・パターソン(Stuart Patterson)CEOは「収益を増やし、コストを低減し、他社との差別化を図ることができる」と強調した。たとえば、同社の顧客企業がコールセンターに導入した実績では、オペレーターを介した通話の平均コストが1回あたり1.25ドル(約150円)だが、音声認識システムでの通話は1回あたり10~20セント(約12~24円)と、約10分の1になるという。

米スピーチワークスのスチュアート・パターソンCEO
米スピーチワークスのスチュアート・パターソンCEO

具体的な事例として、パターソン氏は米ユナイテッド航空(United Air Lines)社の例を挙げた。ユナイテッド航空は4年前、社内向けのフライト予約サービスにスピーチワークスのシステムを導入した。音声認識でフライト予約を行なうことで、待ち時間は従来の20分から即時対応に改善したという。その成功を受けて、ユナイテッド航空はコンシューマー向けのフライト情報サービスに、音声認識システムを導入した。ユナイテッド航空のフライト情報サービスは、すでに60%を自動応答化していたが、スピーチワークスのシステム導入後は98%を自動化した。年間の通話件数は200万件増加して3000万件になり、また通話1件当たり1ドル(約122円)節約でき、数日で投資を回収できたという。

次世代モバイルデバイスに音声認識を
次世代モバイルデバイスに音声認識を

今後の展開として、パターソン氏は、音声によるウェブブラウジングや、携帯情報端末への音声認識機能の搭載を考えている。携帯端末について、パターソン氏は「キーボードやスタイラスペンによる入力の限界」に対する答えは、音声入力だと主張した。

今回日本での提供を発表した同社の製品は、音声認識システムの『OpenSpeech』製品群と、音声合成システムの『ETI-Eloquent』および『Speechify』など。OpenSpeechは、VoiceXML対応の音声認識エンジン『OpenSpeech Recognizer(レコグナイザー)』や辞書・文法モジュール『OpenSpeach DialogModules(ダイアログ・モジュール)』などで構成する。

また、同社は音声認識、音声合成とも、ネットワーク対応型と機器埋め込み型の製品を提供しているが、今後、その2つの型を統合し、分散処理の行なえるシステムを提供するという。分散処理によって、単純な機器埋め込み型よりも端末側の負荷を軽減できる。また、ネットワーク型だとネットワーク自体のバックグラウンドノイズを拾ってしまうが、端末側である程度分散処理することによって、ノイズを軽減できるという。

櫻井比呂志スピーチワークス・ジャパン代表取締役社長
櫻井比呂志スピーチワークス・ジャパン代表取締役社長

日本での事業展開について、同社は「携帯電話のボタンでの入力には限界がある。車を運転しながらの入力も無理」だとして、携帯電話向けの音声入力に大きなビジネスチャンスがあると考えている。櫻井比呂志スピーチワークス・ジャパン代表取締役社長は、技術面でのサポート人員、特に音声認識や音声合成を、それと分からないようにデザインする“ユーザーインターフェース・デザイナー”や、最適な辞書を作製する“スピーチ・サイエンティスト”などを拡充するとしている。

スピーチワークス 宅配ピザメニュー
スピーチワークス 宅配ピザメニュー

記者発表会では、同社の製品のデモも行なった。デモは、宅配ピザの申し込みや、フライトインフォメーション。どちらも誤認識はなく、口頭で説明した通りに認識していた。また、システム側が説明しているのをさえぎって話すことも可能で、デモを行なった同社の担当者が何度割り込んで指示しても、正しく認識していた。

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