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エディロール、MIDI音源『SD-90 STUDIO Canvas』などを展示する商談会を開催――「一家に一台、非常に便利! 」

2001年09月07日 20時26分更新

文● 編集部 中西祥智

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ローランド(株)の100%子会社であるエディロール(株)は6日、新製品展示商談会を開催し、MIDI音源やオーディオキャプチャー製品など8機種の新製品を披露した。

商品プレゼンテーション
商談会でのプレゼンテーション。ギタリストの中野豊さんとキーボーディストの鈴木賢さんが、実際に新製品を使った演奏を披露した
商談会
商談会。1列に並んだ新製品の前でも、周囲に設けたブースの中でも、スタッフが熱心に新製品の説明を行なっていた

商談会ではプレス向けのプレゼンテーションも行なった。まず、エディロールの近藤公孝取締役社長が、ローランドの製品戦略について、説明した。

エディロールの近藤公孝取締役社長
エディロールの近藤公孝取締役社長。「一家に一台、非常に便利! 」などのセールストークを連発していた

ローランドは従来より、製品の分野ごとに別のブランド名を使用する“マルチブランド”戦略をとってきた。ローランド本体はシンセサイザーや電子ピアノなどを扱う“Roland”および業務用オルガンなどの“Rodgers(ロジャース)”の2ブランド、100%子会社のボス(株)がギターのエフェクターを扱う“Boss”、同じく100%子会社のローランド ディー.ジー.(株)がパソコンなどの周辺機器を製造・販売する。エディロールは、(株)エディロール・インターナショナルという社名で、1999年よりローランドのDTM(Desk Top Music)商品の販売を委託されていたが、2001年4月1日に現在の社名に変更し、新ブランドの設立となった。

エディロールの扱う製品は、以下の8つのカテゴリーになる。

  • デジタルオーディオ
  • “Canvas”シリーズ(MIDI音源)
  • MIDIキーボード
  • 音楽ソフトウェア
  • ソフトウェアシンセサイザー
  • スピーカー
  • MIDIインターフェース
  • それらのバンドル製品

また、今回の新製品から、すべてオープンプライスになる。近藤社長によると、「価格競争が激化する中、販売店の利益を守るため」の処置という。従来製品は、これまで通りメーカー希望小売価格を設定する。

サックスのかすれるような音も再現

今回、プレゼンテーションで披露した8機種の中の目玉は、MIDI音源『SD-90 STUDIO Canvas』と、USBオーディオインターフェースの『UA-5 AUDIO Capture』の2機種。両機種とも、実際にミュージシャンが演奏に使用して、その音の良さをアピールした。

『SD-90 STUDIO Canvas』は、従来の『SC-8850』などの“SOUND Canvas”シリーズの上位機種となるMIDI音源だ。プロのレコーディングスタジオに迫る品質を目指して、シリーズ名をSOUND CanvasからSTUDIO Canvasに変更したという。

『SD-90 STUDIO Canvas』
『SD-90 STUDIO Canvas』

近藤社長は、「ステレオサンプリングや4段階のベロシティ―スイッチなど、表現力はSC-8850を大きく上回る」としている。また、音源も従来機種から一新し、管楽器のかすれるような音や、自然なビブラートなどを実現したという。プレゼンテーションでも、キーボードの鍵盤を叩く強さによって、特に打楽器の音が自然に変化していた。

商談スペースの『SC-90』とPowerBook G4
PowerBook G4とキーボードに接続して、商談スペースに設置された『SC-90』。実際にさわってみたが、ピアノの音の自然さには驚いた

MIDI音源部は最大同時発音数128音/32パートで構成され、GM2およびGS規格に対応する。音源は“クラシカル”“コンテンポラリ”“ソロ”“エンハンスド”の4グループに分けて格納しており、すべて同じオーケストラの演奏を利用しているため、自然な切り替えが可能だという。エフェクト機能はマルチエフェクトが3種類、そのほかリバーブ/コーラスがそれぞれ6種類。オーディオ部は最大24bit、48kHzのAD/DA変換が可能で、専用DSPを使った本格的なエフェクト機能を利用できる。

パソコンとの接続は、USB経由で行なう。パソコン側のドライバーは、マルチチャンネルでの入出力が可能なASIO(Audio Stream In/Out)ドライバーや、複数Waveデータの同時に再生できるWDM(Windows Driver Model)ドライバーが使用可能。接続端子はUSBポートのほか、2系統のデジタル・オーディオ入出力(1系統は光端子)、MIDI IN/OUTがそれぞれ2ポートなど。本体サイズは幅218×奥行き288.5×高さ90mmで、重さは約2.1kg。消費電力は11W。

対応OSはWindows 98/Me/2000およびMac OS 8.6以降。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は9万円台前半、11月に出荷を開始する。

キーボーディストの鈴木賢氏
『SC-90』を使ったプレゼンテーションを行なったキーボーディストの鈴木賢氏「セールストークではなく、本気でおすすめです! 」

開発にも関与し、同日プレゼンテーションを行なったキーボーディストの鈴木賢氏は、「弱音(ピアノの最も高音部分など)の再現力が豊かで、ベロシティスイッチの切り替えが自然だ」と絶賛した。

端子がいっぱいで便利

『UA-5 AUDIO Capture』は、さまざまなコネクターから入力したオーディオ信号を、USB経由でパソコンに入力するUSBオーディオインターフェース。

『UA-5 AUDIO Capture』
『UA-5 AUDIO Capture』

近藤社長によると、『UA-5』は「コンデンサーマイク(外部電源の供給が必要なマイク)や高解像度のサンプリングを使いたい、というユーザーの要望に応えて開発した」という。

『UA-5』の背面
『UA-5』の背面

幅218×奥行き137×高さ46.5mmのハーフラックサイズに、入力端子としては、コンデンサーマイクに48Vの電源を供給可能なXLRマイク端子×2(フォンジャック兼用で、1端子がハイインピーダンスに対応)、RCAピンジャック、デジタル端子(オプティカル/コアキシャル切り替え)、出力端子がRCAピンジャック、デジタル端子(オプティカル/コアキシャル切り替え)などを装備する。

24bit/96kHzでのサンプリングが可能で、近藤社長によると「数ミリ秒レベルのレイテンシー(遅延)で入出力が行なえる」という。また、UA-5の内部機構をバイパスして出力することも可能で、その場合はほとんど遅延しないという。『UA-5』のドライバーも、ASIO 2.0およびWDMに対応しており、ASIO対応アプリケーションからバイパス機能のオン/オフを設定できる。

消費電力は450mAで、重さは約710g。電源は付属のACアダプターから供給する。対応OSはWindows 98/Me/2000およびMac OS 8.6以降。価格はオープンプライスで、予想価格は3万3000円、10月に発売する。

ギタリストの中野豊氏
ギタリストの中野豊氏「非常にストレートな音で録音できる」

実際に『UA-5』によるハードディスクレコーディングを実演したギタリストの中野豊氏は、「自宅レベルでもコンデンサーマイクの使用は、もはや常識的だ。『UA-5』は端子がいっぱいあって、使いやすい」と評した。

それ以外に展示した新製品は、小型のUSBオーディオインターフェースや、イン/アウトをそれぞれ8ポート装備したPCIカード経由のオーディオインターフェース、USB MIDIインターフェースなど。

『DA-2496』
『DA-2496』24bit/96kHzに対応する、イン/アウトをそれぞれ8ポート装備する、1Uサイズの、PCIカード経由オーディオインターフェース
『UM-880』
『UM-880』USB経由のMIDIインターフェース。パソコンと接続しなくても、MIDIパッチャーとして機能する

プレゼンテーションの最後に、鈴木・中野両氏が『SD-90』や『UA-5』を使用して楽曲を演奏した。中野氏は、「DTMもついにここまできたか、という印象だ」と評価した。

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