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「競合はITRON」OSEシステムズ、日本での戦略を説明――IPv6対応製品も発表

2001年08月21日 20時17分更新

文● 編集部 中西祥智

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リアルタイムOSのメーカーであるオーエスイー・システムズ(株)(※1)は21日、都内で記者懇談会を開催し、日本における事業方針についての説明を行なった。

※1 スウェーデンのOSE Systems社の日本法人。2000年11月に設立された。親会社がEnea OSE Systems社から2001年6月に社名を変更したのにあわせて、エネア・オーエスイー・システムズからオーエスイー・システムズに社名を変更した。

同社はリアルタイムOS(RTOS)『OSE』の開発・販売を行なう。同社代表取締役社長のオードリアン・ルベーン(Adrian Leufvén)氏は、まずRTOSについて説明した。ルベーン氏はRTOSは一般的なOSとは違って「時間をコントロールできるOS」だとしている。WindowsやLinuxなどの非リアルタイムOSでは、実行しているプログラムの数が増えると実行速度が低下し、新たな処理を受け付けられない。しかし、RTOSでは確実に割り込みが可能なように設計されており、たとえば携帯電話の基地局などで使用すれば、重い処理を実行しているときでも端末からのアクセスが可能になる。

代表取締役社長のオードリアン・ルベーン氏
代表取締役社長のオードリアン・ルベーン氏

ルベーン氏は『OSE』の狙う分野として、

  1. 携帯電話、無線機器、PDA、カーナビゲーションなどの機器
  2. 携帯電話の基地局、ゲートウェイ、ルーター、スイッチなどのインフラ・機器
  3. 飛行機、自動車、医療機器などの安全性が重視される分野

の3分野を挙げた。

また、「これまで同社や親会社であるスウェーデンのOSE Systems社は、『OSE』を先進のRTOSとして開発する段階にあった。しかし、今後はマーケティング・販売にフォーカス」し、本腰を入れて普及を図る姿勢を示した。もっとも、ヨーロッパの携帯電話向けRTOSなどでは、『OSE』はすでに高い市場シェアを得ている。同社は「世界で2番目に大きな市場」として日本市場を次のターゲットにしている。

日本市場への参入について、ルベーン氏は「一般的に難しいといわれるが、日本企業は新技術を駆使した製品を導入することには比較的オープンであり、それほど難しくはない」としている。ただし、日本で新しいことを始めるためには、時間がかかるために「忍耐力が必要」だという。そして、その日本市場における『OSE』の“Competitor(競合相手)”が、“ITRON”だ。

ITRONは、日本では携帯電話を始めとして多くの機器に使用されており、実質的な標準RTOSとなっている。だがルベーン氏は、『OSE』はITRONに比べて

  • 高性能である
  • ITORNにはないメモリー保護機能を実装しており、安定性が高い
  • コスト面などで有利

だとしている。特にコスト面について、これまでは多くの企業がITRONを基にRTOSを社内で開発してきたが、企業の合理化策によって、今後は安価かつ高性能な商用のRTOSを購入するようになるとし、『OSE』の普及にとって今がチャンスだという。また、ITRONからの移行を促すために、『OSE』上でITRONのアプリケーションやAPIの動作を可能にするインタープリターを年内に準備するという。

さらに、ほかの商用RTOSとの差別化についてだが、ルベーン氏は『OSE』を“New Generation”のRTOS、そのほかの商用RTOSを“Old Generation”と呼ぶ。他社のRTOSは、複数プログラム間での同期を取るために、共有フラグの一種である“セマフォ”や、“メールボックス”を利用し、そこでロスが発生するという。しかし、『OSE』はそれらを使わず、“メッセージ・パッシング・アーキテクチャー”によってタスク間の通信や同期を行なう。そのため、安定した分散処理などが行なえるという。加えて『OSE』は、Power PCやARMなどのプロセッサーだけでなく、米TI社や米モトローラ社、米アナログ・デバイセズ社の多くのDSPにも対応していることで優位に市場を開拓できるとしている。

また、今後日本市場向けに(株)日立製作所の32bitRISCプロセッサー『SuperH(SH)シリーズ』への対応、有力企業2社とのパートナー提携(9月発表予定)などを行なう。日本法人設立からまだ半年だが、すでに日本ビクター(株)やソニー(株)、日本電気(株)、富士通(株)などが『OSE』を導入しているという。

同日の記者懇談会で、ルベーン氏は『OSE』のIPv6対応についても発表した。スウェーデンのInterpeak社のIPv4/IPv6双方に対応するプロトコルスタック『IPNET』と『OSE』を統合する。出荷はすでに7月30日から行なっており、第3世代携帯電話のメーカーなどを主な対象に提供していくという。

同社の初年度の売上目標は約8000万円。謙虚な数字だが、ルベーン氏は実際に収益を上げるのは「来年以降」だとしている。世界全体でOSEシステムズの売り上げは年率50%以上の伸び率を示しており、今後日本法人では年率100%以上の売上増を目指す。また、中期的には世界全体の売り上げの15~20%を、日本法人で占めたいとしている。

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