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スウェーデンのRTOSメーカーがソフトボートと組んで日本市場に進出

2000年11月28日 19時37分更新

文● 編集部 佐々木千之

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スウェーデンのリアルタイムOSメーカーであるEnea OSE Systems社は28日、都内で記者発表会を開催、アジアで最初の法人を日本に設立し、2001年2月に業務を開始すると発表した。日本における業務は、日本総代理店である(株)ソフトボートと協力して行なうとしている。

日本法人である“エネア・オーエスイー・システムズ株式会社”は27日付けで設立された。所在地は東京都千代田区、資本金は3000万円で全額スウェーデン本社が出資している。代表取締役社長は在日スウェーデン大使館主席商務官の山田茂鋭(しげとし)氏が暫定的に務めるが、2001年2月に予定されている本格的業務開始までには、新社長を発表するとしている。

馬渕恒夫社長日本総代理店であるソフトボート代表取締役社長の馬渕恒夫氏

スウェーデンのEnea OSE Systems社(以下Enea社)は、同じくスウェーデンでコンサルタント業務を行なっているEnea Data社の子会社。'96年にリアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)『OSE(オーエスイー)』や分散システムを扱う部門が独立する形で設立された。

OSEは、試験認証を行なう企業であるドイツのTÜV(テュフ)プロダクトサービス社によって、国際電気標準会議(※1)が定めた、“システムエラーまたは障害が生命の危害を引き起こす可能性がある市場における商用のオペレーティングシステムに要求される安全性の認証”を受けた最初の商用RTOSであるという。

※1 IEC:International Erectrotechnical Commission

OSEでは、“メッセージ・ベースド・アーキテクチャー”と呼ばれる構成となっていることが特徴で、これによって強力なオペレーティング・システムコールを提供し、多くのアプリケーションはシステムコールのサブセットのみで簡潔にプログラミングできるとしている。コードレベルのサイズで比較すると、ほかのRTOSのアプリケーションコードよりも60~75パーセント小さくてすむという。

サポートするCPUが多いことも特徴としており、IBM社/モトローラ社のPowerPCシリーズ、アーム社のARMシリーズ、テキサス・インスツルメンツ社やルーセント・テクノロジーズ社の各種DSP、モトローラ社の68000シリーズ、MIPSテクノロジーズ社のMIPSアーキテクチャーシリーズ、さらにZ80や68HC11などの8bit/16bitプロセッサーもサポートしている。

OSEがターゲットとする分野は、テレコミュニケーション、データ通信、自動車、医療機器、産業機器、コンシューマー向け電気製品など多岐にわたっている。日本においては、6月に総代理店契約を結んだソフトボートを通じて製品やサービスを提供するが、一部の大手顧客に対してはエネア・オーエスイーが直接にやりとりをすることもあるとしている。

オードリー・ルーベン氏Enea社のキー・アカウント・マネージャーでのオードリー・ルーベン氏

日本においては、すでに日本ビクター(株)が自社のテレビに組み込むOSとして採用を決めており、そのほか自動車のエンジン制御用としても商談が進んでいるという。2001年12月までに3億円の売り上げを見込むとしているが、長期的には、Enea社の世界全体売り上げの15パーセント以上になると見こんでいるという。Enea社のキー・アカウント・マネージャーでのオードリー・ルーベン(Adrian Leufven)氏によると、エネア・オーエスイー・システムズ(株)は同社のアジア地区最初の事務所であり、日本のみならずアジアの拠点として活動を行なっていくという。特にアジア地区では今後、テレコミュニケーションおよびデータ通信市場が伸びると見ており、OSEの販売に注力するとしている。

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