じっくりと風景を焼き付ける
撮影サンプル1。使用フィルムはポラカラー679。露光時間は約5秒。撮影サンプルはいずれもフラットベッドスキャナで取り込んだもの。 |
撮影にあたっては三脚孔固定金具に三脚をしっかりとセットして構図を決める。ファインダとしては、紙製の栞のようなパーツが付いていて、カメラ側面の前上端に貼り付けて使うようになっているが、カメラ後部からだいたいの見当を付けるのと大して変わりない。構図を決めたらそっとピンホールをふさぐテープを剥がす。露光時間の目安はカメラ後部に表が印刷されており(組み立て時に貼り付けるのだが)、晴天下においては10~15秒、曇天ならば数分間程度となる。必要な時間だけ露光してからテープを貼り直せば「撮影作業」は終了だ。
撮影サンプル2。使用フィルムはポラカラー679。露光時間は約10秒。露光時間が長いため、風で揺れる木の先端や人や車は写らないが、それを効果として利用しても面白い。 |
使用するフィルムはインスタントフィルムのなかでも「ピールアパートフィルム」と呼ばれるもので、撮影後にカメラからフィルムを引き抜いた際に現像定着処理が始まり、一定時間(フィルムの種別と気温によって異なる)が経過したらフィルム上の用紙を剥離することで現像が停止する。剥がした時点では処理液でフィルム面が濡れているが、キットには乾燥用のボックスも付属している。
撮影サンプル3。使用フィルムはタイプ669。露光時間は約15秒。少々露出オーバー気味だが、タイプ669は露光時間が長くなればなるほど青みが増して他の色が弱くなる。 |
実際に、この大きな箱と三脚を持ち運び、細心の注意を払ってじっくりと露光するという作業をしてみると、カメラの原点を体感しているような気分になる(最初期の銀板写真であるダゲレオタイプは30分の露光時間を必要とした)。できあがりのほうも、独特の味わいのある結果となり、長時間露光すると青っぽくなるポラロイド独特の色合いもおもしろい。とくにタイプ669は青くなる傾向が強いため、色再現性を重視するならばポラカラー679を使用したほうがよいだろう。
また、使用していて気になった点としては、フィルムを引き出す際に三脚取り付け金具を貼り付けた両面テープがはがれやすく、一度両面テープがはがれたりずれたりすると三脚上でもぐらついてしまう。パッケージに入っているものよりも強力な両面テープを購入するなどして貼り直すことをお勧めする。
高画質で気軽に風景をスナップするのもよいが、写真の原点に帰るピンホール写真を一度体験してみてはいかがだろうか。
レンズ | ピンホール(0.3/0.4mm) |
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使用フィルム | タイプ669/タイプ606/ポラカラー679/タイプ665/ポラパンプロ100 |
焦点距離 | 約80mm |
シャッター速度 | 手動 |
開放絞り | 0.3mm径:F266/0.4mm径:F200(いずれも計算値) |
本体サイズ | 約15(W)×11.7(D)×13(H)mm |
重量 | 約500g |