このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

NV-DHE10/NV-DH1

NV-DHE10/NV-DH1

2001年07月18日 00時00分更新

文● 山之内 正

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

NV-DHE10/NV-DH1

松下電器産業

19万5000円(NV-DHE10)
13万円(NV-DH1)

松下のD-VHSデッキは、HSモード対応&MPEGエンコーダ/デコーダ搭載の上位モデル「NV-DHE10」と、ストリーミング録画専用の普及モデル「NV-DH1」の2モデルがある。両者の違いを踏まえつつ、それぞれの特徴を調べていこう。

MPEG2エンコーダを装備するも、
デジタル録画を重視した作りの「NV-DHE10」

リモコン
録画予約はリモコン上部にあるフタを開いて行う。あらかじめ予約内容をリモコン側で設定してから転送するタイプ。
 2000年9月、BSデジタルの試験放送スタートと同時に店頭に並び、ハイビジョン録画(HSモード)に最初に対応したD-VHSデッキが「NV-DHE10」だ。ただ、発売時期が早いこともあって、最新機種に比べると機能がやや乏しいのは否めない。特に、BSデジタル放送のデジタル録画に的を絞っているためか、アナログ放送の録画には制約がある。
 アナログBSチューナを積んでいないほか、HSモードへのエンコード記録にも対応していない(STDやLS3でのデジタル録画は可能)。また、日本ビクターの高級機「HM-DH30000」や日立製作所の「DT-DR20000」「DT-DR3300」が内蔵しているGRT(ゴースト・リダクション・チューナ)も本機には内蔵ない。したがって、BSデジタルの高画質番組をそのまま録画(ストリーム記録)するのが主な目的というユーザーが、本機の対象となるだろう。
 なお、DV入力(DVコンバータ)は省かれているので、デジタルビデオカメラなどで撮影したDVテープをD-VHSにデジタルダビングするという用途にも向いていない(アナログ入力端子経由となる)。



フロント部&操作部
フロントパネルを開けると、録画や再生など基本的な機能に関するボタンが用意されている。なお、フロント部での操作のほとんどはリモコンからも実行可能だ。

フロント部&操作部
背面には出力端子2系統、入力端子2系統、そしてi.LINK端子が2ポート用意されている。ただ、コンポーネント出力はD1端子×1のみで、BSデジタルチューナからのHD画像をスルーで表示させることはできない。

 大型のフラップドアを配したデザインは高級感があり、D-VHSデッキのなかでは作りがしっかりしている。i.LINK端子はリアパネルに2系統あり、一方をBSデジタルチューナに、もう一方をほかのD-VHSデッキなどと接続が可能。なお、i.LINKの設定と接続機器の認識に関して、いまのところ最も安定した動作が期待できるのが、本機をはじめとする松下製品同士の組み合わせである。i.LINK接続をアクティブにしておけば、チューナやハイビジョンTVのリモコンから本機を操作できるほか、ハイビジョン放送や標準放送など信号の種類に応じて録画モードを自動的に選択することも可能だ。D-VHSのストリーム記録では共通の標準機能だが、番組データの保存やマルチビュー番組の記録、AAC音声の記録などにも、すべて対応する。BSデジタル放送を録画した場合、番組の頭出しを助ける「プログラムナビ」に番組タイトルが自動的に記録される。
 ストリーム記録時の画質はオンエア時と実質的に同等で、高品質だ。これはアナログビデオではどう逆立ちしても真似できない、D-VHSならではのメリットと言える。また、HSモードでデジタル録画した画像でも、間欠再生ながらサーチ(早送り/早戻し)時に画像を出せるのは嬉しい特長だ。ただし、サーチから再生モードに移行する際、画面が出るまでにはかなり待たされる感がある。一方で、巻戻し(や早送り)から再生キーを押した場合には比較的早く画面が出てくる。このあたりは、アナログのビデオデッキと同等の操作感とはいかないようだ。

 日本ビクターの「HM-DH30000」などとは異なり、本機のMPEGデコーダはHD信号のデコードには対応していないので、本機で録画したHD番組を再生する場合は、i.LINKでBSデジタルチューナに接続し、そちらのデコーダを利用する(つまり、BSデジタルチューナの電源を入れておく必要がある)。この操作手順を理解し(慣れてい)ないと、ハイビジョン番組の再生がやや面倒に感じるかもしれない。コンポーネント出力はD1端子のみで、BSデジタルチューナのHD画像をテレビにスルーで表示させる機能はない。
 地上波のエンコード記録(デジタル録画)では、受信画像と録再画像の差はかなり小さい。GRTを積んでいないため細かく見ていくと輪郭の切れがいまひとつだが、解像度は比較的高く、ノイズもよく抑えている。いくつか種類を替えてエアチェックしてみたが、スタジオ収録の番組などではオンエアとほとんど区別がつかないクオリティだ。一方のLS3モードはS/N比は優れているが、解像度が低くあまり画質は上がらない。デジタル画像はアナログ的ノイズは確かに少なく映像はなめらかだが、どこか平板な印象がつきまとうものだ。そうはいってもアナログビデオにありがちな“輪郭の乱れ”や“色のふらつき”はほとんどないので、S-VHSよりは映像的に安定しており、安心して見ていられる。音質は中高域が素直で、低域はどちらかというと軽めになった。声が細身にならず、しっかりと響く。

 機能は限定されているし、アナログ放送のエアチェックについては割り切る必要があるが、本機の安定した動作と信頼性の高さは特筆すべきものがある。特に松下製のBSデジタルチューナまたはチューナ内蔵のハイビジョンTVを使っているなら、連携機能の有効性を含めて、本機は有力な候補となるだろう。

メインメニュー
リモコンの「メニュー」ボタンを押すと、メインメニューが表示される。ここでは、i.LINKで接続した機器の設定や、プログラムナビのデータなどを確認できる。

i.LINK機器設定
i.LINKで接続されている機器の一覧がここに表示される。現在、i.LINK機器の接続と設定で比較的安定した動作を見せているのが、松下電器産業の製品だ。

録画一覧
予約設定を一覧表示した画面。松下製BSデジタルチューナ(内蔵TV)と接続している場合、チューナ側にも自動的に予約が登録される。

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン