(株)セルシスは3日、コンシューマー向けのアニメーション制作ソフト『RETAS! LITE』(レタスライト)と、マンガ制作ソフト『ComicStudio』(コミックスタジオ)を8月10日に発売すると発表した。
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『RETAS! LITE』シリーズのパッケージ。標準機能を搭載した『Standard Pack』(右)と、作画ソフト『PencilMan LITE』(左) |
アマチュア向けアニメ制作ツール『RETAS! LITE』
『RETAS! LITE』は、同社のアニメーション制作支援ツール『RETAS! PRO』のライトバージョン(機能縮小版)。RETAS! PROが、作画ソフト『PencilMan』、スキャニングソフト『TraceMan』、撮影台ソフト『CoreRETAS』、ラインテスト用ソフト『QuickChecker』、ペイントソフト『PaintMan』、レンダリング専用ソフト『RenderDog』で構成されているのに対し、RETAS! LITEは、動画取り込み用のスキャニングソフト『TraceMan LITE』、彩色作業用のペイントソフト『PaintMan LITE』、タイムシートを利用して合成や出力を行なう撮影台ソフト『CoreRETAS LITE』、作画ソフト『PencilMan LITE』の4製品で構成される。
『TraceMan LITE』は、作成した動画をスキャンするためのソフト。最適なスキャン解像度を自動的に計算する“解像度自動割り出し”や、スキャンした画像を自動的にフォルダに振り分ける“画像自動振り分け”、ワンキーで次々とデータをスキャンできる“連続スキャン”といった機能を搭載する。
『PaintMan LITE』は、TraceMan LITEでトレースした動画に色を塗るためのソフト。色トレース線を自動的に彩色する“自動色トレース”のほか、塗りあふれのチェック機能、途中で途切れている線をチェックし自動的につなげる機能などを搭載する。
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ペイントソフト『PaintMan LITE』の画面 |
『CoreRETAS LITE』は、タイムシートを利用して、彩色した動画データの合成や出力を行なうソフト。アンチエイリアス機能や特殊効果フィルターなどが用意されている。
『PencilMan LITE』は、アニメのレイアウトや原画、動画を作成するためのソフト。ペンシルサイズは6種類用意されており、作成した画像は最大8枚まで重ね合わせてチェックすることが可能。
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PencilMan LITEの画面。タイムシートに添って作画が可能 |
RETAS! PROとの違いは、TraceMan LITE、PaintMan LITE、PencilMan LITEについては、LITE版専用の画像フォーマットを利用しており、RETAS! PROをはじめとする他のソフトと画像データと互換性がない。また、CoreRETAS LITEは、出力できる画像サイズが640×480ピクセル以内に限られており、DDR(デジタルディスクレコーダー)にレコーディングできない。PencilMan LITEは、PencilMan LITE専用の動画フォーマットと、LITE版専用画像フォーマットのみ利用可能となっている。
対応OSは、TraceMan LITE、PaintMan LITE、CoreRETAS LITEが、Mac OS 8.0以降(Mac OS X未対応)、およびWindows 98 SE/Me/2000。PencilMan LITEがWindows 98 SE/Me/2000。いずれの製品も、プロテクトキーを使用するため、プロテクトキー接続用のUSBポートが必須となっている。また、PencilMan LITEは、ワコム製のペンタブレットが必要。
なお、パッケージ製品として店頭販売されるのは、PencilMan LITE、およびTraceMan LITEとPaintMan LITE、CoreRETASの3製品をセットにした『Standard Pack』の2製品。TraceMan LITE、PaintMan LITE、CoreRETASの単体製品は、セルシスの通信販売でのみ提供される。
価格は、Standard Packが5万8000円、PencilMan LITEが3万4800円。TraceMan LITEの通販価格は2万9800円、PaintMan LITEが2万9800円、CoreRETAS LITEが4万9800円。
ついに出た、夢のマンガ制作ツール『ComicStudio』
『ComicStudio』は、マンガのネーム作成から下書き、ペン入れ、仕上げ、文字入れ、印刷まで行なえるマンガ制作ソフト。
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マンガ制作ソフト『ComicStudio』のパッケージ。さすがに8月10日の東京ビッグサイトには間に合わないけど、12月ならバッチリOK!! マジで欲しい |
同社独自開発の“ベクトルマップテクノロジー”により、ペンタブレットで入力した線データをリアルタイムでベクトルデータに変換できるため、ペンで描いたタッチをそのまま画面上で再現できる。筆圧感知タブレットに対応しており、ペン先の形状やペンの種類を設定可能。さらに、線の書き始めと書き終わりのタッチが自動的に細く滑らかになるペンの“入り”と“抜き”の設定も行なえる。線のぶれをリアルタイムで滑らかに整える補正機能も搭載する。
また、従来のグラフィックソフトでは、アミ点トーンが表示解像度によってモアレが出たりつぶれたりしてうまく表示できなかったが、ベクトル化技術により最適なアミ点で出力できる。アミ点の数やグラデーションの濃度などを変更できるほか、任意の画像ファイルを取り込んでオリジナルのトーンを作成できる“マイトーン”機能も搭載する。
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ネーム作成から印刷までマンガ制作作業をこれひとつで行なえるComicStudio。ネームのセンスや絵柄、さらにタブレットが使いこなせるかどうかは個人の能力だからこの際置いておくとして、やってるうちにだんだん腕がだるくなるあの面倒な消しゴムかけが要らない! あのクソ高いトーンを買わなくてもいい! 好きなフォントで文字を簡単に入れられる! どうよ?! |
ComicStudioでマンガを作成するには、タイトルとページ数、原稿サイズを指定し、鉛筆ツールを使って画面上のページにネームを作成する。ネーム作成後は、コマの領域を選択してコマに下書きを行なう。次に下書きをベースにしてペンツールで清書(ペン入れ)する。ペンの設定はGペン、丸ペン、かぶらペン、スクールペンから選択可能。描いた線はリアルタイムでベクトルデータ化されるため、線を太くしたり曲げたりといった修正も容易に行なえる。
ペン入れ後、仕上げを行なう。線画にベタやホワイトを入れたり、選択範囲にトーンを貼ったりできる。集中線の自動作成も可能。続いてフキダシの中のセリフをキーボードで入力する。縦書き/横書きが可能で、さまざまなフォントを利用できる。最後に、印刷範囲を指定するトンボを付け、プリントアウトすると印刷原稿ができ上がる。
ComicStudioの対応OSはWindows 98 SE/Me/2000。価格は3万4800円。
また、同社は、専用ウェブサイト“ComicStudio Web”で、ComicStudioで制作されたアマチュアマンガ作品を掲載し、読者に配信するサービスを8月に開始する。作品登録およびマンガコンテンツ配信は無料。さらに、ComicStudioで制作したマンガデータをダウンロードし閲覧/印刷するための専用ビューア『ComicStudio ビューア』を無償配布するという。
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本日行なわれた発表会に登場したマンガ家のモンキーパンチ氏は、ComicStudioについて、「(ComicStudioを)使ってみたがペンと同じ感覚で使えた。こんなソフトができれば労働時間を短縮できるし、通信で原稿を渡せる。Windows版しかないので、早くMacintosh版が出るといいね。また、次のバージョンではカラーも使えるようにしてほしい」と感想を語った。なお、Macintosh版のリリース時期は未定とのこと |
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同社代表取締役の川上陽介氏は、「マンガやアニメを核としたトータルソリューションを提供することがわれわれのビジョン。ツール分野にとどまらず、マンガやアニメなどをデジタルで流通させる仕掛けや、マンガ家と出版社、編集部、アシスタントをネットワークでつなげる仕組みなども視野に入れて事業を進めていく。われわれだけではできないので、パートナーと連携してビジネスを作り上げていく」としている |
