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DC版「CRAZY TAXI 2」のプロデューサー菅野顕二氏を直撃! 極秘情報も大公開!!

2001年06月01日 00時00分更新

文● 小嶋・澤村/スタジオ百哩

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「バカっぽく、かつクール」な感じのゲームにしたかった

――「クレタク」は、いわゆる車を使った多くのゲームと違って、普段そういうジャンルを遊ばない人にも取っつきやすく、それでいてプレイしていると深みがあるというということで、評判も高いですよね。間口は広く、かつ奥が深く、ゲームバランスが非常に良いという印象なんですが、それはゲームを開発する上で狙ったところなんでしょうか?

菅野】一応考えていましたよ、間口を広くするというところは。たとえば、車に当たったときにその車がハデに吹っ飛んで、自分の車もダメージを受けて一瞬にスピードがグンッと落ちる。でも、すぐに復活して走り出せるとか、そういう点はかなり現実の世界とは離れた部分で作ってあげないと、初めてやったお客さんはストレスがたまるだろうと。
 でも、ゲームですからクリアするためのハードルを与えなくてはいけない。目的地が遠い客はサークルが小さくて拾いずらく、うまく車を止めないと時間のロスをしてしまう、というようなところですね。そういう点で、初めてやる人にとって入り口のところで「プレイのストレスはないけど、ゲーム的なダメージを与える」ということを考えてます。でも、それがうまくいったかどうかは、開発中は分かりませんよね、発売になってユーザーさんに評価してもらわないと。だから、出てからの反応が良かったことは、スタッフ一同喜んでますよ。逆に、前作については悪い評判というのを目にしたことがないんですよ。ダマされてるんじゃないかと、いまだに(笑)。

――みんなでグルになってるんじゃないかと(笑)。



菅野】そうそう(笑)。こいつらグルじゃないかと(笑)。ホントなの? と疑いを持つぐらい……まあ、喜ばしいことなんですけどね。ちょっと今までにない反応でしたね、あれは。

――海外での反応はどうですか? E3にも行かれましたけど、そのときの反響なども含めて。

菅野】セガのブースがクローズだったんで、一般のユーザーさんの反応は見られなかったんですけどね。ただし、E3全体を見渡しても似たようなテイストの類似するゲームはないんですよ。アドベンチャーとかスポーツといろいろジャンルはありますが、自分で言うのもなんですけど「クレタク」のような独特のテイストを持ったゲームは他にないんだな、ということに気づきました。それが「クレタク」は面白いと評価を受ける理由なのかな、と。人気があるんだなと実感したのは、セガオブアメリカ(編注:セガの米国法人)が黄色い車とキャラのコスプレした人を用意して写真を撮るサービスをしてたんですけど、結構並んで撮ってもらってる人が多くて。結構認知されてるんだ、と思いました。

――「クレタク」には、ちょっと、いわゆる洋モノゲーム風のテイストがあると思うんですけど、あのテイストというのはどこから出てきたんでしょうか?



アクション
走っている最中に乗客が見せるリアクションも、「クレタク」の楽しみのひとつ

菅野】一番最初にスタッフと話したのは「バカっぽく、かつクール」な感じにしたいと。最初に西海岸を舞台にしたのも、そういったイメージにしたいというのもあって。タクシーをオープンカーにしたのも、キャラクター同士の絡みを見せるためなんですよ。いわゆるレースゲームって、人間の存在が見えなくて冷たいイメージを感じるじゃないですか。それが、やっぱり人間が出てくると柔らかいイメージを受ける。そう言う意味でオープンカーにした、とか。
 あと、たとえば遅く届けたときは乗客が怒って車を蹴りますよね。あれは、ルールが分からなくてもプレイしている人が「あ、ダメだったんだな」ということを見た目でちゃんと伝えてあげようということなんですよ。それもプレイがダメだったことで、ユーザーが頭に来てネガティブな思考が生まれないようなものにしていきたいと。全てをその方向性で作っていきました。それで、その方向を見つめていったら、ああいったテイストのゲームになったというわけです。

――レースゲームやドライビングゲームは、タイムアタックに代表されるように、プレイしている人たちがどんどんストイックな方向に行ってしまう傾向があって、それ以外の人が取っつきにくくなる、ということがあると思うんです。その点「クレタク」はそういった感じがなくていいなあ、と思うのですが。



アクション
車を飛び越えたり、コースをショートカットしたり……。気軽に楽しめるカーアクションだ

菅野】リピートしてやってほしいという強烈な想いがあまりなかったんですよ。逆に、パッとやってパッと止めて、でいいという。最初はアーケード用の企画だったので、ユーザーの人たちがゲーセンに来て「クレタク」プレイして、終わって「あースッキリした。じゃあ違うとこ遊びに行こうか」という感じになればいいなと。そして、そんな人たちが何人も入れ替わり立ち替わり入ってくるという。連コインするんじゃなくてね。
 ……なんと言うか、お客さんのプレイスタイル、「カッコイイ」プレイスタイルになってくれるといいなっていう想いがあったんです。ずーっとやり込んでいると、疲れるじゃないですか(笑)。そういうゲームももちろんいいんですけど、そればかりじゃなくて、もっと軽いノリでできるものを目指したかったんですよ。だから家庭用でも、家に帰ってきてクレタクでもやろうかってプレイして「あースッキリした」って風呂入って寝る、みたいな。ほんとに空いてる時間にちょっと楽しんでもらえたら十分、というカタチを取りたかったんです。ただ、ヒットメーカー全体がそうなんですけど、「ゲーム自体はしっかり作ろう」という意志がすごく強い会社なんですよ。だからゲーム的には、しっかり作り込んでます。

――プレイスタイルからゲームを考えるという発想はちょっとビックリしました。ゲームというと、どうしても「繰り返し遊んでほしい」とか「ゲームに入り込んでほしい」という姿勢がメーカーさんには多いですが、そうではないものを、と?



菅野】僕個人は、やり込むというのは肩が凝って嫌なんですよ。ゲームはゲームで、フランクに楽しむ。他にも楽しいことってたくさんあるじゃないですか。ゲームを楽しむ時間でも、何時間もかけるんじゃなくて……。もちろん、何時間もかけるゲームが悪いと言ってるんじゃないんですよ、自分もやりますし。ただ、フランクに楽しめるゲームもあっていいんじゃないか、と。



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