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【関西帰省企画第2弾】システム安全、バグ退散! 関係者の尊崇を集める神社はその名も“電電宮”!!

2001年06月16日 14時06分更新

文● 編集部 中西祥智

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電電宮のある法輪寺の藤本高仝(こうぜん)副住職に、お話をうかがった。

[ASCII24編集部] どのような人々がお参りにくるのか?
[藤本高仝副住職] 以前はやはり、電気・電波関係の人が多かった。家電メーカーなども。しかし、最近は通信事業者やISP(Internet Service Provider)、ソフトウェアの開発者なども訪れるようになった。
法輪寺 藤本高仝(こうぜん)副住職
法輪寺 藤本高仝(こうぜん)副住職
[編集部] どのようなことを祈りに来るのか?
[藤本副住職] たとえば、京都のあるソフトウェアベンダーの開発者などは、とにかく考えの及ぶ範囲のバグはつぶした。でも、気づいていないだけで、まだバグがあるかもしれない。しかし、納期がせまっていて、もうこれ以上バグ探しをしている時間はない。もはや人知ではどうしようもなく、神にすがるしかない。そういった思いでここに来て、電電明神様におすがりする。

神様に管轄はない

[編集部] だが、電気電波の神様とソフトウェア業界では少し違うのでは?
[藤本副住職] 神様に管轄はない。神とは本来全知全能であって、特定の分野だけ、ということはない。たとえば、天神様にしてもそうだ。菅原道真の霊を鎮めるため(※5)に天満宮が各地に建てられたが、そもそも天神様は雷の神様だった。それが、菅原道真は非常に学のある人だったということで、やがて学問の神様へと変わっていった。このように、神様が何についての神様かというのは、それぞれの時代の人々が便宜上つけているもので、本来神様に分野などはない。時代に応じて、変化していくものなのだ。
※5 無実の罪で大宰府に左遷され、不遇のうちに死んだ道真の死後、政敵藤原時平とその一族を次々に不幸が遅い、時の皇太子は急逝し、天皇も病に臥せり、そして宮中に雷が落ちた。人々は道真を雷神として恐れ、鎮めるために天神様として祀った。

[編集部] つまり、本来はどの神様を拝んでもいいのだと?
[藤本副住職] 本質的にはそういうことだ。もっとも大切なことは、ただ一心に祈るということ。人知を超えた何かに誓うことで、その人の心が安らぎ、また努力しようとする。宗教とは本来そういうものだ。祈ることが重要であり、その対象は問わない。ただ、それではあまりにもやりにくいというので、何々の神様という形になっている。
[編集部] ご利益はあるのか?
[藤本副住職] 多くの人々が集まり、お参りするうちに、神様はだんだん意味を持ってくる。その中で成功した人はご利益があったと言えば、周囲の人は、我も我もと祈り、努力するようになる。そんな人々がどんどん集まるうちに、何かしら人知を超えた力がうまれるのだ。

時代の先端を行くのは僧侶!?

説明してくださった藤本副住職は、実は10年来の筋金入りのMacユーザーだ。現在お使いの機種は『Power Macintosh730/180』と『PowerBook G4』だそうだ。主に書類製作や会計処理、信者の住所管理などの事務処理と、インターネット、Eメールに使っておられるという。

法輪寺のほかのお坊様方にも、携帯電話を使っている方がおられた。袈裟と携帯電話というのは、かなり正反対の取り合わせに見えた。その方に尋ねると「古来、寺院は大学のようなもので、文化や流行の最先端だった。僧侶も文学から医学まで、あらゆる最新の知識を身に付けていた。それを考えれば、僧侶が携帯やiモードを使っていても、何の不思議もない。むしろ当然のことなのだ」というお答えが帰ってきた。

後日、この話を藤本副住職にメールで(法輪寺にはホームページもメールアドレスもある)伝えると、こんなお答えが帰ってきた。「仏教はインドで誕生して以来、常にアグレッシブに進化しています。日本でその進化が停滞しているのは、戦後の50年間ぐらいです」

つまり、仏教が古いというのは、たかだかこの50年の話に過ぎないということだ。過去2000年以上、仏教は、僧侶は常に新しかったということなのだろう。そして、今後もまた、そうなるのだろうか。ドラクロワ(Eugene Delacroix)の“民衆を導く自由の女神(La Liberte guidant le peuple)”(※6)のように、IT革命の先頭を、携帯情報端末を掲げて走るのは、誰あろう、僧侶なのかもしれない。

※6 フランスの“7月革命”に熱狂したドラクロワが書いた絵。自由の女神が、三色旗を掲げて人々を率いている。ちなみに、7月革命はフランスで2度目の革命。ナポレオン帝国の崩壊後、返り咲いたブルボン家の王を民衆が追放し、オルレアン公ルイ・フィリップを国王に据えた。しかし、この“7月王政”も長続きせず、3度目の革命“2月革命”でフランスは2度目の共和国になる。そして、その共和国の大統領に選ばれたのが、ナポレオンI世の甥のルイ・ナポレオン・ボナパルト。やがて、彼は伯父と同じ道をたどり、皇帝ナポレオンIII世になる。

ASCII24でも・・・・・・
ASCII24編集部でも、電電宮のお札を祀っています

ASCII24編集部でも、電電宮のお札を祀っています。パソコン、インターネット、IT関連業界の皆様、京都嵐山散策を兼ねて、お参りに行くことをお勧めします。

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