電電宮のある法輪寺の藤本高仝(こうぜん)副住職に、お話をうかがった。
法輪寺 藤本高仝(こうぜん)副住職 |
神様に管轄はない
時代の先端を行くのは僧侶!?
説明してくださった藤本副住職は、実は10年来の筋金入りのMacユーザーだ。現在お使いの機種は『Power Macintosh730/180』と『PowerBook G4』だそうだ。主に書類製作や会計処理、信者の住所管理などの事務処理と、インターネット、Eメールに使っておられるという。
法輪寺のほかのお坊様方にも、携帯電話を使っている方がおられた。袈裟と携帯電話というのは、かなり正反対の取り合わせに見えた。その方に尋ねると「古来、寺院は大学のようなもので、文化や流行の最先端だった。僧侶も文学から医学まで、あらゆる最新の知識を身に付けていた。それを考えれば、僧侶が携帯やiモードを使っていても、何の不思議もない。むしろ当然のことなのだ」というお答えが帰ってきた。
後日、この話を藤本副住職にメールで(法輪寺にはホームページもメールアドレスもある)伝えると、こんなお答えが帰ってきた。「仏教はインドで誕生して以来、常にアグレッシブに進化しています。日本でその進化が停滞しているのは、戦後の50年間ぐらいです」
つまり、仏教が古いというのは、たかだかこの50年の話に過ぎないということだ。過去2000年以上、仏教は、僧侶は常に新しかったということなのだろう。そして、今後もまた、そうなるのだろうか。ドラクロワ(Eugene Delacroix)の“民衆を導く自由の女神(La Liberte guidant le peuple)”(※6)のように、IT革命の先頭を、携帯情報端末を掲げて走るのは、誰あろう、僧侶なのかもしれない。
※6 フランスの“7月革命”に熱狂したドラクロワが書いた絵。自由の女神が、三色旗を掲げて人々を率いている。ちなみに、7月革命はフランスで2度目の革命。ナポレオン帝国の崩壊後、返り咲いたブルボン家の王を民衆が追放し、オルレアン公ルイ・フィリップを国王に据えた。しかし、この“7月王政”も長続きせず、3度目の革命“2月革命”でフランスは2度目の共和国になる。そして、その共和国の大統領に選ばれたのが、ナポレオンI世の甥のルイ・ナポレオン・ボナパルト。やがて、彼は伯父と同じ道をたどり、皇帝ナポレオンIII世になる。ASCII24編集部でも、電電宮のお札を祀っています |
ASCII24編集部でも、電電宮のお札を祀っています。パソコン、インターネット、IT関連業界の皆様、京都嵐山散策を兼ねて、お参りに行くことをお勧めします。