電力会社や放送局から、家電メーカー、通信事業者、ソフトウェアベンダーまで、幅広い人々を護持する業界の“守護聖人”のような神様が京都に存在する。
その神様の名は“電電明神”、そして祀っている社が“電電宮”だ。電気電波を生業とする人たちが祈願に訪れる神社があるというのは、いかにも家電王国・電子立国・ゲーム大国のニッポンである。
その電電宮の社務所の壁一面に貼られた半紙には、さまざまな祈りの言葉が綴られている。
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不具合撲滅! バグ退散! |
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2000年のクレームゼロ! 2000年問題の関係だろうか |
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大規模故障“0” |
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ライバル新聞社も仲良くシステム安全を祈願 |
電電宮、および電機電波関連の物故者を祀る“電電塔”を建立した人々は、それを祀り、守るために、1979年(昭和54年)に“電電宮並びに電電塔奉賛会(電電宮護持会)”を結成した。電力会社、在阪のテレビ局、家電メーカー、通信事業者など、幅広い企業が参集している。
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電力会社や放送局から、家電メーカー、通信事業者、ソフトウェアベンダー、そしてコンピュータメーカーと、さながら業界会社名簿といったおもむきの電電宮護持会の面々 |
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関西の電気電波関係の御三家? |
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TTNet発見!! 東京を中心に活動する企業が、はるばる京都まで電電明神のご加護を求めてやってきた |
電電宮護持会は関西の企業の比率が高いが、全国各地の企業の名も数多く記されている。
業界の方々の間では長らく有名ながら、一般消費者は自分の銀行貯金を預けたコンピュータシステムや毎日の電化製品が、京都の神社に守られているなど想像もしていないに違いない。
しかし、ASCII24の読者なら誤解せずに読んでいただけると思う。高度経済成長期を裏で支えた家電ブームの時代も、70年代の本格的コンピュータリゼーションや超LSIプロジェクトの時代も、そして、パソコンとインターネットとワイヤレスのいまの時代も、どれも、けっして合理主義だけで片付くような仕事ではない。そこには、技術に携わる人々の、さまざまな思いが込められているのだ。
電電宮にはどのような歴史があるのか、取材してみた。
