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EUROPA UNIVERSALIS

EUROPA UNIVERSALIS

2001年04月16日 18時58分更新

文● culi

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外交をとるか戦争をとるかはおサイフ次第――

予算の割り当てと財政。これはカルヴァン派に改宗したすぐ後なので、安定度(Stability)に支出のほとんどを割り当ててある。「Take BankLoan」ボタンが借金の申し入れだ。実は、破産してもゲームオーバーにはならず、安定度の低下などのペナルティーを受けるだけだ。

 各国の収入源は、年頭に入る「人頭税/関税収入」と、毎月入る「所得税/物資生産収入/貿易収入」の2種類からなる。支出のほうは陸海軍ユニットの生産などに加え、毎月の収入から陸海軍技術や貿易技術、国家の安定度向上のために支出を割り当てることができる(割り当てを多くすると、技術の進歩が早まる)。
 だが、ゲームの各国経済も当時の各王室経済と同様にきわめて貧弱なため、軍事支出などがちょっとかさめば、国庫はあっという間に火の車。銀行家から借金はできるものの、担保のない借金はいずれ破綻するのが当然の帰結だろう。こんな経済事情を根本的に改善するには、領土を拡大して貿易収入を確保していくのが一番確実だ。新領土をヨーロッパに求めれば戦争は不可避だし、海外に求めれば原住民や他国の海外領土との衝突が、やはり必至となるのだ。



イングランドによるスコットランド併合(左は併合前、右は併合後)。歴史上では1707年に両国は連合しているが、ゲームではいくつかの条件が整えばいつでも可能。

 そこで、いよいよ外交、戦争の出番となる。外交交渉は、頼りになる同盟国を増やしたり「開戦理由」を得るためだけではない。同じ宗派で友好度が高い国に対しては、属国化や併合によって領土を拡張することもできるのだ。特に史実で他国との合同を実現したイングランドやブランデンブルク(のちのプロイセン)などにとって有効な手段となるだろう。



戦闘は、同じエリアに敵味方が入ったとき発生する。大国間の戦争はブラッディになるが、原住民や海賊との戦闘なら戦力差さえ保てばあまり損害も受けない。ただし、士気が低い軍は少数の敵に負けることも珍しくないので、士気だけは常に維持しておきたい。

 一方、このゲームにおける戦争は、大きな消耗を強いられる割に実利が少ない。無為に戦争を拡大すれば、戦闘のたびに減る兵力の補充だけで経済が破綻状態になるのが関の山だ。ほかのゲーム以上に、一定の戦争目的(敵国の数エリアの割譲を目指す、など)のための行動に限定し、目的を達成したら速やかに交渉を始めたほうがいい。



プレイヤーの思い入れを自由に追求しよう!

 このゲームの一番の魅力は、「歴史のif」をかなりリアルに体験できる点ではないだろうか。歴史上では没落したスペイン世界帝国の栄光を追求するもよし、オスマントルコでヨーロッパ征服を目指すのも自由。なにしろ300年あるから、戦争で1回や2回敗退しても、国家が崩壊しない限り、リベンジする余裕はたっぷりある。
 加えて、Civシリーズなどに比べるとEUのシステムは単純で、プレイがしやすい。細かい事象は適度に抽象化されていて(たとえば経済関係など)、じっくり考える場面はそれほど多くないので(さすがに戦時には進行スピードを遅くしないと対応できないだろうが)、慣れてくればグランドキャンペーンでもサクサク進められるようになるだろう。
 反面、抽象化されたことで細かい歴史の再現ができなくなっている点が不満な人もいるかもしれない。たとえばイングランドをプレイヤーが担当していると、チャールズ1世からクロムウェルへの政権移行が革命のイベントもなしに平穏に行われてしまったりする。ただ、細かなルールを詰め込んだ結果ビッグゲーム化して、プレイが面倒になるのも困りものなので、スマートな改善のためにはひとひねりほしい気もする。
 すでに公式Webサイト上では、ユーザー作成シナリオが続々と公開されるなど、本家のEU(ヨーロッパ連合)ではそれなりにウケているようなので、この種のタイトルに興味のある方は、なんとか英語版を入手してプレイしてみていただきたい(どこかの国内メーカーが、これ読んで日本語版権を取ってくれるといいんだけど)。

   
開発元Paradox Entertainment(スウェーデン)
発売元Strategy First(米国・カナダ)
対応OS Windows 95/98/NT 4.0 SP4/2000
CPU Pentium-200MHz以上
メモリ 64MB以上
ビデオカード DirectX 7.0a以降完全互換、ビデオメモリ2MB以上
HDD 空き150MB
CD-ROM 8倍速以上

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