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EUROPA UNIVERSALIS

EUROPA UNIVERSALIS

2001年04月16日 18時58分更新

文● culi

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宗教戦争も仇敵関係もみんな真っ正面からルール化

 だが、EUの一番のユニークさは、300年間のヨーロッパ/世界史で特徴的な要素を、ゲームシステムの中に大胆に取り入れた、そのチャレンジ精神に尽きる。たとえば、1519年に始まるルターの宗教改革以来、16~17世紀前半まで続いた新旧両キリスト教の争い。この複雑な状況をどう表現したか?

宗派の設定。右は宗派別の地図で、灰色がカトリック国、濃い青がプロテスタント、少し薄い青がカルヴァン派。十字架表示は、国家とは宗派が違うエリア。改宗すると国の安定度が「5」も下がるので、反乱の1つ2つ起きるのは避けられない。タイミングを見て改宗しないと、国中が騒乱状態になりかねないので注意!

 ゲーム中の宗教は、キリスト教(カトリック/プロテスタント/カルヴァン派/正教)とイスラム教(スンニ派/シーア派)、およびそれ以外の「異教」に分類され、各国(の君主)と各エリアのそれぞれに宗派が設定される。そして一部のエリアは、宗教改革関連のイベントに連動して、旧教から新教に自動的に改宗が起こる。君主たちについては、コンピュータが指揮する国は特定の時期に自動的に改宗するが、プレイヤーの国では、改宗の可否も時期も自由に決められる。新たな入植地(コロニー)では、当初異教の原住民が存在しても、コロニーが大きくなると、次第にプレイヤーの信じる宗派に改宗されていく。
 自分の宗派と他宗派との間では「寛容度」が設定できる。たとえば自分がプロテスタントの場合、プロテスタントの寛容度を高く設定すると、その分だけ他の宗派、宗教の寛容度が低くなる。するとどうなるか? 他宗派の国家との友好度がどんどん下がってしまうのだ。逆に同じプロテスタントの国家との友好度は上がる。また、自分の領土内に他宗派のエリアがあるときに極端に非寛容な設定をすると、そのエリアに反乱(蜂起)が起きる可能性がグンと上がる。もちろん、すべての宗教と対等に接するような設定もできる。



イングランドの外交マップ。左の「Permanent Casus Belli」とあるのが、設定された「開戦理由」だ。このマップでは、開戦理由を持つ対象国は赤で表示される(黄緑は婚姻関係のある国)。

 あるいは、17世紀までヨーロッパのほとんどの争いの直接・間接的原因となった、ハプスブルク朝スペイン/オーストリア vs. ヴァロア/ブルボン朝フランスの争い。この歴史的状況に対しては、「開戦理由」というルールで対応している。開戦理由を持つ国家同士は、友好度が次第に下がっていく。開戦理由なしで戦争を始めると、その国の社会の「安定度」がドーンと下がる(=国内で反乱が起きやすくなる)。この開戦理由は、普段は特定の行為をする(軍事同盟から一方的に離れる、王室間の婚姻を破棄する、など)ことで与えられるが、スペインとフランスのような仇敵同士は、当初からお互いに開戦理由を持っているのだ。したがって、この両国は、他国に対してよりもずっと簡単に戦争が始められる。両国はそれぞれヨーロッパ中に同盟国を組織しているから、結果として、スペインとフランス二国間の争いは、すぐに西ヨーロッパ全体の争乱に拡大してしまうのだ。



シンプルだがリアリティのある探検/入植システム

 大航海時代の探検/入植ゲームはすでにいくつもあるが、EUのシステムはCivシリーズの「Colonization」とアートディンク「アトラス」のミックスというイメージが近いのではないかと思う。

陸海の探検。左の陸軍ユニットのリーダーSmithは、未知の土地を探検できる能力を持つ。その南のSANTEEに駐留している陸軍のリーダーは、すでに知っている土地にしか移動できない。事情は海軍もほぼ同じだ。

 ゲーム当初は「征服者」「探検家」能力を持つリーダーが指揮する陸海軍ユニット以外は探検ができない(後に、陸海軍の技術レベルが上がればリーダーなしで探検できる)。そこで、16世紀一杯ぐらいは、コロンブスやコルテス、ピサロ、ドレイクといったリーダーたちが未知の世界に挑む展開になる。といっても、アトラスなどとは違い、EUの地形は現実の世界地図そのままなので、現代の我々には陸地のある場所の推測は付いてしまうのだが。



HOCHELAGA(右の地図の濃い緑のエリア)では、原住民とコロニーが共存している。アメリカでは500~1500人程度の小さな原住民社会が多いが、インドなどには2万人の部族国家エリアもあり、こういうところの好戦度が高いと、交易所を維持するのも困難だ。

 発見した土地には、「交易所」か「コロニー」のどちらかを設置できる。交易所は、そのエリアの産物の貿易収入を得る拠点だ。一方コロニーは、いずれ都市にまで成長させられる。ただし、どちらもその国に登場する「入植者」の数だけしか設置できないところがミソだ。キリスト教国の場合、入植者は「カトリック<プロテスタント<カルヴァン派」の順で多く登場する。たとえばイングランドは、新教に改宗するまではほとんど入植者が出てこないため、早期に海外拠点を築くのはかなり難しくなっている。
 コロニーのレベルが6を超える(7回以上入植に成功する)と、そのコロニーは都市に成長する。こうなって初めて、本国の都市と同じように陸海軍部隊を作ったり、城壁を建設したりできるようになる。
 その土地に原住民がいる場合、その「好戦度」が高いといきなり戦いになることもあるが、原住民を刺激しないようにうまくコロニー建設を進めれば、コロニーが都市になった時点で原住民も都市の住民に組み込まれる(その分人口が増える)。



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