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ガス冷マシンを作ろう! 第3回

ガス冷マシン完全自作編 ~その3~

2001年03月21日 20時01分更新

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■コンプレッサー起動

運転中のガス枕。コンプレッサーを運転すると内部に勢い良く液化ガスが循環し、激しく沸騰する。配管が白く見えるのは霜が付いているため。

 ついに、ついにこの時がやってきた。もう一度ゆっくり配管を確認し、そこいら中を気が済むまで指差確認して、電源コンセントを接続する。そして緊張の一瞬。電源スイッチを押す。しかしながらコンプレッサーはウンともスンとも反応しない。あせりながら良く確認してみると「満水ランプ」が点灯している。これは本来の除湿機として使用する際、除湿した水のタンクが満水になると動作が止まるためのスイッチを取り外してしまったためで、常に満水状態になってしまっているのだ。原因が解れば「なーんだ」ということで、この回路を直結してやると「満水ランプ」は消灯した。



運転中のガス枕。アクリル部分は熱伝導率が低いためそれほど冷えない。

 もう一度電源スイッチを押すと今度は見事コンプレッサーが動き始めた。液化したガスが勢い良く循環しているのが目視で確認できる。内部で激しくガスが沸騰し数十秒でガス枕の金属部分が凍結し始めた。そのまま運転を続けると戻り側の配管が、途中のアキュームレータまでびっしり凍りついてくる。状態としてはガスの量が多すぎて低温向きの設定ではないようだが、ペルチェ素子とは比べ物にならない圧倒的なパワーでガス枕が冷えている。大成功だ!! あとはこれをCPUに取りつければガス冷マシンの完成だ!!



運転中の冷却装置。配管の根元までバッチリ凍結する。ガス量を減らした方が到達温度を低く設定できる

「やったぜかあちゃん、イヤッホー」てな具合で調子に乗って運転しつづけるも、除湿機改@ガス冷CPUクーラーはご機嫌に冷えつづける。「こっ、これならいける」と、やっとガス枕起動編を書き始めることができました。

 しかし…。半日程経ってガス枕を良く見ると…。アクリルのケースに細かいヒビがびっしり走っているではないですかっ!! しかも微妙に成長中。ガスケースは爆発すると恐ろしいので、強度的には非常に大きな余裕を持たせてあったハズなのだが、何故だ。なぜだぁ~!! もしやフロンガスでアクリルが溶けているのだろうか? マズい。非常にマズい。これでは常用できない。塩ビ製にするべきだった。それとも金属で作り直すか…。アクリルでケースを製作すれば中が見えるというのももちろんだが、熱伝導率が低いので組み込み時の結露対策が容易になるのと軽量化も狙いだった。しかし爆発しては元も子もない。内部の観察はできたし、時間的にももう後がないので、爆発する前に安全パイで金属製のケースを製作することにしよう(また時間とお金がかかるのが痛いが…トホホ)。

 というわけで、まだまだ前途多難ではありますが、次回はついにマザーに組み込みです。結露対策が悩みどころではありますが、ついに自作ガス冷機の威力を検証します。本家Vapochillも新製品が発売されて、自作マシンが負けるわけにはいかないのだ!! 目指せAthlon1.5GHz!! 自作マシンの凄さを見せつけるのだぁ!!

参考にさせて頂いたウェブサイト

ガス冷却を実践されている諸先輩方より貴重な情報をいただきました。この場を借りてお礼を申し上げます。

ガス冷却の第一人者apkさんのページ。キャピラリーチューブの長さについて、コンプレッサーについてなど、様々な情報をいただきました。 妥協を許さない工作技術の鬼のようなmasamotoさんのページ。規制フロンについてのご指摘、代替冷媒について他、貴重な情報をいただきました。

*注意

除湿機、冷蔵庫、クーラー等の冷凍機には高圧ガスが使用されており、分解すると、凍傷、失明、爆発などの危険があります。また、これらの機器を分解・改造した場合、一切の保証が受けられなくなります。さらに、CPUのメーカー規定周波数以上の動作は、CPUや関連機器を破損したり、寿命を縮める可能性があります。その結果によるいかなる損害についても、筆者およびデジタルバイヤー編集部、製造メーカー、販売店はその責を負いません。機器の分解・改造は自己の責任において行って下さい。なお、この記事中の内容は筆者の環境でテストした結果であり、記事中の結果を筆者およびデジタルバイヤー編集部が保証するものではありません。この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできませんので、あらかじめご了承ください。

【筆者プロフィール】森本琢司氏。本来はペルチェなどを使ったオーバークロック系、冷却系に一番関心があるのだが、趣味でPC改造も数多く手がけている。ハンドニプラーやその他工具を使っての改造は得意中の得意

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