日本アイ・ビー・エムの「ViaVoice ミレニアム for Macintosh 日本語版」は、Macintosh版で市販されている日本語音声認識ソフトとして唯一のソフトだ。
Macintosh版はWindows版(Windows版のレビューはこちら)と異なり、アプリやフォルダの操作を行うナビゲーション機能と、音声合成による読み上げ機能を省いて、音声で文章を入力する「ディクテーション機能」に特化したソフトである。
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エンロール部分はほとんど現Windows版と同じ。 |
エンロール自体はWindows版と変わらず、1分間のクイックエンロールと、童話を含む4つの文章を読み上げるフルエンロールが用意されている。ただし、Macintosh版で使用されている音声認識エンジンは、現Windows版のひとつ前のバージョンにあたるためか、クイックエンロールだけでは認識精度が低いので、30分程度と多少時間はかかるが後から文章を訂正する手間を考えたら、フルエンロールを実行しておいたほうがいいだろう(詳細は認識精度比較で解説)。
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Mac版でもやはり画面上部にVoiceCenterのバーが表示される。でも機能はMacのメニューバーにあるViaVoiceマークをクリックして呼び出す。 |
エンロールを終えて起動すると、やはり画面上部(といってもMacのメニューバーの下だが)に、ViaVoice Centerバーが表示され、付属の音声入力専用エディタ「SpeakPad」が表れる。さっそく入力してみると、ときどき文章の中に、言った覚えのない言葉が挿入される。これは、音声認識エンジン内のノイズ対策が、現Windows版のように強化されていないので、どうしてもちょっとした音やため息に近い音などが勝手に入力されてしまうのだ(現Windows版にはほとんどそうしたことがない)。こうした余計な言葉が入っていることに気が付かずに入力を続けていると、ふと画面を見たときに、まったく違う文章になっていることがある。
うまく入力するためのコツとしては、VoiceCenterの左端にある「マイク」ボタンをこまめにオン/オフしながら入力してみよう。
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語句の修正は、「単語修正○○(修正したい単語が入る)」と発声し、修正ウィンドウ内にある正しい語句の番号を「○番を選択」と言う。 |
ナビゲーションができないとはいっても、SpeakPad内なら、誤認識された単語の修正やフォントサイズの変更、色つけなどの編集は声で行える。方法も簡単で「単語修正○○」といって表示された修正ダイアログボックスにある正解の番号を「○番」と発声すればいいだけだ。フォントの書体やサイズ変更も、「単語選択○○」といい、単語が範囲選択されたら、「これを太字」といえば書体が太字になる。
機能として搭載されているツールは、既存のテキスト文書を読み込んで解析し、一覧で表示された未登録の単語をユーザーが選択して音声認識辞書に登録する「ボキャブラリエクスパンダ」と、住所のように頻繁に使う数行のテキストを「私の住所」というだけで入力したい場所に挿入できる「ディクテーションマクロ」の2つとなる。
Windows版と比べると、機能が限られるのでどうしても見劣りしてしまうが、大量の書き原稿や印刷された物をテキスト化しなければならないMacintoshユーザーにとってはかなり便利なソフトであろう。
製品名 | ViaVoice ミレニアム for Macintosh |
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価格 | 1万4800円 |
会社名 | 日本アイ・ビー・エム |
問い合わせ先 | 0120-04-1992 |
URL | http://www.ibm.co.jp/ |
動作環境 | |
CPU | iMac、iBook、Power Mac G3/G4(Cubeを含む)、およびPowerBook G3に搭載されたPowerPC G3-266MHz以上のプロセッサ |
メモリ | 64MB |
空きHDD容量 | 300MB以上 |
対応OS | Mac OS 9/9.0.4 |
仕様比較 | |
導入後最初の起動時間 | 26秒 |
簡易エンロール時間 | 46秒49 |
フルエンロール時間 | 23分6秒80 |
音声認識辞書(最大) | 約10万語 |
登録可能語句数 | 約90万語 |
音声読み上げ機能 (音声合成エンジンの搭載) |
× |
Webブラウズ機能 | × |
メールチェック機能 | × |
音声コマンドカスタマイズ機能 | × |
句読点の自動挿入機能 | × |
声によるマウス操作 | × |
声によるキーボード操作(押す) | × |
語彙のまとめ登録機能 | ○ |
ICレコーダ対応 | × |
WAVEファイルからの書き起こし | × |
付属アプリ | 特になし |
