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【番外編】荒野か新大陸か? 郊外型ジャンクライフ

2001年02月01日 22時00分更新

文● 水野

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 屍肉をあさるハイエナのごとく、掘り出し物を探すあてもなくアキバの裏通りをさ迷い歩く日々。私は疲れた、そうだ京都行こう……いやだから、そんな金はないんだってば。ならばせめて、近場で静かな町へ……。ああ都落ち。
 何ともローテンションな始まりで恐縮だが、ともかく「ジャンクでGO!」第4回である。

 

 いや、都落ちは都落ちなのだが、実の所結構ワクワクしながらだったりする。つまりは、ここらで気分を変えて一度アキバを離れ、郊外のジャンク市場に目を向けてみよう、ということである。なにしろジャンク業界は巡り会いが命、相場通りの買い物をした所で記事にはならぬ。ならば需要が多く、価値が確定し、市場として完成したアキバより、ハゲタカの標的になりにくい郊外の方が掘り出し物がコロッと見つかるかも知れない、というわけだ。「Akiba2GO!」というタイトルからは外れてしまうが、新たなフロンティアを求めての番外編としてお付き合いいただきたい。

 

そうだ、川越行こう

蔵造りの町並み
川越名物(らしい)蔵造りの町並み。明治の大火の後建てられた元祖耐火建築の家々が現在も残る

 そんなわけで、私は西武新宿線に乗り込んだ。目指すは武州川越、はるか昔の戦国時代から続く、東京に最も近い城下町である。新宿からは1時間少々、アキバからから約2時間である。そして降りて一目、ああ女子高生が素朴だ…さすがにスカートは短いが。駅前には大型店舗が立ち並ぶが、そこから10分も歩けば畑にネギが青々と植わっている、そんな土地である。

 この土地を選んだのはほかでもない。日本全国に爆発的に広がりつつある某中古書店チェーン、その系列のデジタル関連中古ショップが、ここにあるのである。
 同じく全国展開しているそのお店、郊外もしくは地方の出店がほとんど。その中で最も近く電車で行きやすところ、で浮上したのが川越というわけだ(ただし、1店だけ23区内にあることを後で知った……)。

 市内にそのお店は2店舗。まず1つ目の、市街地内にあるお店へ。まず最初に感じたのは、アキバ近辺のジャンク屋のようなあやしさが全く感じられないこと。店内は明るく広々としている。そして品揃えもパソコン関連はメインの1つではあるけれど、オーディオ関連(スピーカやらアンプやら、ギターやベースまで!)、家電(テレビ、電話、FAXなど)、中古ゲームソフト・音楽CDといったものが大きな面積を占めている。そしてお目当てのパソコン関連も、マザーボードやビデオカードといった「基板系」の品揃えは少々乏しく、その代わりプリンタ/スキャナ/モニタなどの周辺機器が主である。

 さらに面白いのは、そもそも商品が「中古品」と「ジャンク品」で明確に分けられていること。「中古品」の方は最長1年の保証が付き、ちゃんとビニールに包まれ陳列されているのに、「ジャンク品」となると店の隅の「ジャンクコーナー」という一角に集められ(心なしかそこだけ薄暗い気もする)、ご丁寧に「ここに並んでいる品は全て壊れています」というPOP付きの棚に詰め込まれているのである。個々の品を見れば、「ドライバ欠品、電源入る」あるいは「テストプリント色がおかしい」など、どういう状態の品なのかはわかるのだが、前もって「動きません」と釘を刺しておくあたり、ある意味非常に親切と言えるだろう。慣れていればとうに承知のことなのだが……。初心者が「安いから」と安易に買ってしまわないように、ということだろう。そう言えば、今回の取材を申し込んだ際にも「ジャンク品が手軽に扱えると誤解されると困るので……」と、チェーン店名は伏せ、店内の撮影も禁止、となってしまったのである。いや、気持ちは解るしこれはこれで立派だが……写真、どうしよう………。



車でおいでませ、完全郊外型中古店

道中
道中。大地の恵みに感謝したくなる風景である

 お店としては非常に興味深いものの、いざジャンク品を探すとなると品揃えは今ひとつ。そこで、本川越駅から歩いて約20分のところにある、国道バイパス沿いのもう1つのお店に行ってみることにした。
 人家もまばらになり畑が広がる中に大きな道路がどかんと通じる、典型的な郊外の風景を歩くこと十数分、歩行者など私1人で心細い思いをしているうちに、周囲の自動車ディーラーやゴルフ洋品店にも負けない大きな店舗が目に入る。ラーメンショップと供用の大きな駐車場で、車での乗り付けを前提にしていることが想像できる。



郊外のショップ
ラーメンショップと供用の巨大な駐車場。国道バイパス沿いということもあり、私のように徒歩で訪れる者はほとんどいない。なお“店名伏せ”のため、写真左端の建物が今回訪れたショップだということでご理解いただきたい

 さっそく入ってみると……さすが、市街の店舗に比べ段違いに広い。そして何より感動的なのが、市街の店舗と同じく奥まった位置ではあるものの、アキバのジャンク屋の2、3店は楽勝で飲み込めるほどに広大なジャンクコーナー。スバらしすぎる! さっそく大漁り開始…するとあるわあるわ、怪しい品々。セガの「メガドライブ」が2500円だの、田原俊彦のシングルレコードがズラリだの、ソニーのワークステーションだの……。パーツ関係がメインのアキバとは全く違う、まさにごった煮の品揃えがたまらなく新鮮である。いや、パーツ関係に特化したアキバの方がむしろ特殊なのかも、という気にすらなってくる。
 その辺りの怪しい品々の誘惑も強かったのだが、一応パソコン関係のサイトの、実用性を重視する(つもり)のコーナーなのでそこはぐっとこらえ、選んだ一品は……プリンタである。ジャンクのプリンタ、アキバではあるようでない、郊外ならではの買い物であろう。



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