建前上「動きません」、しかし……
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| 2000円のエプソン「MJ-500C」。現行PMシリーズの一世代前と言えば聞こえはいいが、性能には世代以上の差が |
ではそのジャンクプリンタを詳しく見ていこう。
エプソンMJ-500C。モデル発表は95年、解像度は360dpi。丁度インクジェットプリンタのカラー化が進み、プリンタの主要勢力を張るようになった頃である。カラー黎明期ということもあり、カラー印刷はできるものの、インクカートリッジを白黒からカラーのものにいちいち交換せねばならない。
お値段は2000円。テストプリントはできたがドライバディスクが欠品であり、それにモデルとしての古さが加わりジャンクのお仲間となったようだ。しかし、こちらからしてみれば印刷できさえすればいいのである。ドライバディスクがなくたって、ファイルをメーカーのサイトから拾ってくればよいわけだし、最近のOSならばデフォルトでドライバが入っている可能性が高い(これが古いパーツの強み)。この程度はヘのカッパと言えるのだが、やはり一般のライトユーザー層を重視するチェーン店だけに、「不良品だ！」と言われるのを恐れているのだろう。
もちろん、この品を選んだのも考えあってのことである。2～3000円のプリンタの中には、もっと最近のモデルもあったのだ。しかしポップに書かれた「ACアダプタ欠品」の一文が私を踏みとどまらせた。ACアダプタ欠品は痛い。その機種に会うACアダプタのみをどうやって手に入れろと言うのか？
さて、ぞんざいな扱われ方からして、店員さんを呼んで「これくださーい」とやるのも似合わない。棚から引きずり出して両手に抱え、レジに直行。ここでも「動きません」と念を押され(ええわかってますって)、支払い。と、それだけである。レジにはムキ身のプリンタが居座ったまま。あの、そりゃ箱はないだろうけど袋にいれるとかそういうのは……ないんですね。そうですか、わかりました。実はもしかしたらと思って手提げ袋を持参したのが大正解。かくして、予想通り駅までの寂しくも長い道のりをプリンタを引きずって歩くはめになったのであった。
何はともあれ、動作チェック。テストプリントはできたとのことなのでそう心配はなかったが、やはり古さが古さだけに不安がよぎる。シリアルケーブルで接続し、電源ON。
ぎーーーがちゃん、ういーんういーんういーん、
ぎ、ぎ、ぎ、がちゃこんがちゃこん…
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| さすがはWindows 2000、ドライバはデフォルトで用意されていた |
……ウルサっ！ その上いっこうにスタンバイする気配がない。
昔はみんなこうだったのね、と妙な感慨に浸る間に、Windows 2000がディスクを要求し、デフォルトドライバインストール完了。さすが年代物である。そしていよいよテストプリント開始。
ぎーがちゃこん、くいーーーーーーん、
ぎ、ぎ、がちゃこんがちゃこん…………(しーん)…………
お、止まった止まった。やはりダメか？
がちゃこん！(どきっ！)
くいーーーーーーん……
ず……ちーちー、ず……ちーちー、ず……ちーちー、ず……
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| 解像度の低さゆえジャギーは出るが、虫眼鏡で拡大でもしないかぎり、読む分には十分 |
……感動的な遅さである。
そうなのだ、こういう時代を経て、今の爆速インクジェット時代があるのだ。そしてプリントされた画質だが、意外や、読める。よくよく見ると、ちょっとインクが粘って糸を引いていたりするが。……まあ気にしない。読めればいいのである、読めれば。えい。
まあ、2000円と思えば納得できるし、テキスト打ち出しのみなら実用にも耐えるだろう。大体一度に大量に印刷する機会などそうそうないのだし、ならば騒音も遅さもこんなものだと思ってしまえば気にならないはずだ。なかなか悪くないお買い物であった。たぶん。
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| インクタンク。設計はモノクロ時代のままなので、タンクを換えて「カラーも出せます」という程度 |
ではおまけにカラー画質を見てみよう、と、ここで私は気が付いた。
………カラーカートリッジ、まだ売っているのか？
大体モノクロカートリッジも、切れたらどうするのだ？ それにヘッドが詰まったらどうする？ まだ売っているとしても生産停止は時間の問題に決まっている。
……どうやらこいつは、2000円の元を取るまでの命になりそうである……。
