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タカラ、Java携帯でも操縦できるヒューマノイド型ロボット『DREAM FORCE 01』を発売

2001年01月30日 21時19分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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(株)タカラは30日、ラジオコントロールや携帯電話で操縦できるヒューマノイド型ロボット『DREAM FORCE 01(ドリーム フォース ゼロワン)』(以下、01)を、大陽工業(株)と(株)インデックスとで共同開発、今秋発売すると発表した。

ヒューマノイド型ロボット『DREAM FORCE 01』。全高は35cm。ラジコンまたは携帯電話で操縦できる。写真は試作機で、デザインやカラーは若干変更される場合もある

おもちゃとして楽しめるエンターテインメント性を持ったロボット

01は、'95年よりタカラと(有)ジェノイド・プロトデザインが協力して企画したアイデアを元に、無線玩具メーカーである大陽工業と、携帯電話向けコンテンツ制作会社のインデックスと共同で開発したもの。

本体は、頭部、胸部、腕、腰、足といったユニットで構成されており、各部にモーターを内蔵している。ヒューマノイド型というだけあって2足ロボットだが、本田技研工業(株)の『ASIMO』やソニー(株)の『SDR-3X』のような2足歩行ではなく、足底に車輪(タイヤ)を装備し、2足で歩いているような感じで車輪走行を行なう2足保持歩行を行なう。腕を前後に動かし、足も片足ずつ交互に運ぶことで人間の歩く姿を再現している。前進、後進、片足を軸にしての旋回が可能。

また手は軽い物体をつかめるように開閉でき、手首も回転する。手足などのユニットは取り替え可能で、オプションでさまざまなパーツを用意するという。特に、CCDカメラを搭載した頭部オプションは、カメラに映る映像を受信して別モニターなどに表示できる受信ユニットを同梱しており、これによりロボットが見ている映像を別モニターで確認できる。

16bitマイコンを搭載しており、全高さは35cm、奥行き14cm、横幅18cm、重量は1.4kg。歩行速度は現段階では時速1kmだが、商品化の際は時速1.6km程度になるという。関節自由度は、頭部×1、腕×2、手首×2、足×2、腰×1、胸×1。メイン電源は本体後部に装備されている。電源は充電式バッテリー(6V)で、充電時間90分で15~30分程度駆動する。大容量バッテリーもオプションで用意するという。

開発コンセプトは操縦する楽しみ

01は、ユーザーが自分で操縦できることが特徴だが、ラジオコントロール(ラジコン)で操縦するモデル『DRERAM FORCE 01 ラジオコントロールタイプ(仮)』と、Java対応携帯電話で操縦するモデル『DREAM FORCE 01 携帯電話(JAVA対応)タイプ(仮)』が用意される。

コントローラーは、ラジコンカーのものと形状、操作法ともあまり変わらない

ラジオコントロールタイプは、その名の通りラジコンカーを操縦するように01をコントローラーで操作できるもの。手足などのユニットに搭載されているリニアモーターをコントローラーで制御し、前進、後進、左右旋回、おじぎ、手首の回転、手首の開閉、上半身のひねりなどを操作できる。コントローラーのレバーを使って歩行速度や身体の傾き加減もコントロール可能。

発表会場で行なわれた、ラジコン操縦によるデモ。01がジェンガ(積み上げられた木片ブロックを片手で1個ずつ抜き、上にのせていくゲーム)に挑戦!
見事にブロックを抜いた01。会場からは歓声が上がった

携帯電話タイプは、インデックスの携帯電話用制御システム『Mobile Accessible Remote-control System(MARS)』を塔載する。ユーザーがJava対応携帯電話で操縦指示を行なうと、その指示がJavaアプリケーションによりセンターサーバーに送信される。そして01本体に組み込まれたMARSが、搭載されているPHSモジュールをコントロールしてセンターサーバーと通信して情報をやりとりし、その情報(ユーザーの操縦指示)を元に各部のモーターを制御することで遠隔操作を実現する。またMARSは、過去のユーザーの指示や結果を保存できるため、同様の指示が再度送られてきた際、よりスムーズに動けるようになるという。

01がワイングラスにワインを注ぐというデモも行なわれた。現段階では携帯電話用制御ユニットがはがきサイズのため01に搭載できないが、今夏までにユニットを名刺サイズにし、01に搭載するという。01と携帯電話を使って、離れたところにいる彼女にワインを注いであげましょう

タカラは、01をエンターテインメントロボットとして楽しむだけでなく、01を携帯電話で遠隔操縦することで、留守中に外出先から家の中の様子を確認したり、赤ちゃんをあやしたり、ペットにえさをやったりといったことが可能になるという。家の中をチェックするガードロボットは、専用の警報ランプやサイレンなどを搭載、異変を感知すると警報を鳴らす仕組みにしたいとしている。

大人向けのモデルも用意

また、バトルを楽しめる大人向けモデル『DREAM FORCE 01 Pro(仮)』も用意するという。上記のモデルが子供やファミリー層を対象にしたものであるのに対し、Proはロボットやメカニカルなものが好きな大人をターゲットにしたモデル。動きも01に比べるとシャープで、相手を殴るなどのバトル向けの操作が可能。また、装甲パーツは殴られるとすぐにはがれるようになっている。また、胸部中央に電源スイッチがあり、3回胸部を殴られると電源が切れる仕組みだという。

こちらは参考出展された大人向けの『DREAM FORCE 01 Pro』。01は子供が遊ぶことも考え素材はプラスチックなどを使用しているが、Proはメカやロボットが好きな大人をターゲットとしているため、デザインが異なる。写真は試作機でアルミなどを利用しているが、担当者は「このままでもいいくらい」。記者も個人的にはこちらのほうがメカメカしていて好き
頭部にCCDカメラを搭載、このカメラ映像をヘッドマウントディスプレーに出力すれば、ユーザーがロボットのコクピットにいるような感覚でバトルを楽しめる
デモで利用されたヘッドセット型のディスプレー。片目でロボットから見た映像を確認できる。米MicroOptical社の製品をタカラが研究用として採用したもの
Proの足底。前と後ろに車輪を装備している。キャタピラーにしたほうが動きはいいが、サイズが大きくなりすぎてしまうので、車輪にしたとのこと。デザイン面にかなりこだわっているという
Proの背面。背中に電源(この試作機はニッケル水素電池)を装備している

価格は、01のラジコンタイプが4万8000円、01携帯電話タイプが7万8000円、Proが9万8000円。発売時期は今秋で、最初にラジコンタイプが登場、その後、携帯電話タイプ、Proと順次発売されるという。発売元はタカラ。また、海外メーカーにOEM供給する予定もあるという。

01およびProの原型となったジェノイドの『FiGHBOT(ファイボット)』。このFiGHBOTから、商品化、量産に向けて、コンセプトの異なる01とProという2モデルが開発された
FiGHBOTの装甲パーツが叩かれて外れた様子。Proもこれと同様に、バトル中に相手に殴られるとすぐに装甲がはがれるようになっている

本日都内ホテルで行なわれた発表会で、タカラ代表取締役社長の佐藤慶太氏は、「'95年にジェノイドと当社とで2足歩行型ラジコンロボットのプロジェクトをスタートさせた。その後大陽に参画してもらい、量販に向けてのコストダウンや技術面で協力、さらに携帯電話で遠隔コントロールを行なう技術でインデックスにも参画してもらい、4社でプロジェクトを進めてきた」

「昨年ホンダやソニーの2足歩行ロボットが発表されたが、業界は異なるが同じような夢を持って開発されていると深い感銘を受けた。われわれの経営理念は、生活文化の創造に向け、夢や憧れを形にして提供すること。01は、消費者に買ってもらい生活の中で楽しんでもらう目的で開発した。音声機能などを搭載することも技術的には可能だが、コストを度外視しないとできない。01は10万円以下で提供する」

「01は名の通り1型であり、ユーザーからのフィードバックを受けながら、02、03、そして10と作り続けたい。毎年1モデルずつ進化できれば」と語った。

右から、タカラ代表取締役社長の佐藤慶太氏、大陽工業取締役部長の馬場清氏、インデックス代表取締役社長の落合正美氏

タカラは、01の初年度販売目標を、シリーズトータルで5万台出荷(売上10億円)としている。なお、この01シリーズは3月22日~25日まで東京ビッグサイトで開催される“2001東京おもちゃショー”に出展される。

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